柔らかいおかずを美味しそうに作る、高齢者に喜ばれるレシピをご紹介!

高齢者の食事といえば、「柔らかい食事」をイメージする人は多いのではないでしょうか?

実際に高齢者は噛む力や飲み込む力が弱くなり、柔らかい食事の方が食べやすいという傾向にあります。しかしインターネット上の相談や高齢者の食事づくりをしているご家族の声から、「柔らかい食事、特におかずづくりが難しい」「柔らかくなる様に心がけているつもりなのに、あまり食べてもらえない」といった悩みも多く聞かれます。

ご飯等の主食を柔らかくするためには水分量を増やしたり、煮る時間わ増やすといった方法で問題は解決する事が多いですが、柔らかいおかず作りには適した食材を選んだり食材に合った下処理をする等のポイントを押さえる必要性があります。

また、私たちが柔らかく調理したつもりでも、柔らかさの度合いがその人に合わなかったり、食欲が湧かない見た目であったりすると食事が進まないといった事もあります。

今回本記事では柔らかいおかず作りに苦戦してしまう理由をこれまでの経験からピックアップし、高齢者に喜ばれる柔らかいおかずを作るためのポイントをお伝えします。

ポイントを盛り込んだレシピもご紹介しているので、参考にしていただけたら幸いです。

柔らかいおかず作りが上手くいかない理由は主に4つ

柔らかいおかず作りが上手くいかない理由は主に4つ

高齢のご家族や利用者さんのために「柔らかいおかず」を意識して作っているのに、反応があまり良くない…その様な時は、柔らかいおかずを作る際に適していない方法で調理していたり、柔らかさの基準が把握できていない事も原因かもしれません。

今まで食事作りについて相談を寄せて下さったご家族や介助者の方のお話をもとに、柔らかいおかず作りが上手くいかない理由として多かったものをお伝えします。

これらの理由についての対処法は次の章でポイントとしてお伝えしています。

柔らかいおかずに向かない食材を使っている

蒟蒻、イカ、タコ等の弾力がある食材や、こぼうやセロリ等の繊維が硬く長さがある野菜等は食材そのものが高齢者にとって噛み切る事が難しく、柔らかいおかずを調理するための食材としては不向きな食材です。

肉や魚も普通に焼くだけでは身が硬くなり、噛み切りにくくなったり口の中でパサつき食べにくくなるので、下処理や調理法の工夫が必要です。

・柔らかいおかずを調理するのに不向きな食材

弾力があり噛み切りにくいもの イカ、タコ、干ししいたけ、軸の長いきのこ。蒟蒻等
繊維が硬く、長さがあるもの ゴボウ、セロリ、切り干し大根等
焼くと硬くなるもの 肉(挽肉を含む)、魚

柔らかく仕上げるための下処理や調理をしていない

例えば、食材を長く煮て柔らかくしたつもりなのに、食べている人が食べにくそうにしているといった事はありませんか?

その様な時は、おかずを高齢者でも食べやすい柔らかさに仕上げるには、多くの食材で切り方を工夫したり食材を柔らかくするためにタレに漬け込む等の下処理が必要です。

食材に合った下処理や柔らかく仕上げる方法で調理をしないと、時間や手間をかけたのにも関わらず柔らかい仕上がりにならない事も多くあります。

柔らかさの基準がわからない

高齢者の食事の用意をする人からよく寄せられる相談として、「食事をどれくらい柔らかくしたら良いのか分からない」といった内容も多くあります。

高齢者が食べやすい食事を実際に食べた事が無い場合は食べやすい柔らかさの感覚も掴みにくいものです。

同じ調理法でも食材によって仕上がりの状態は違い、歯で噛み切らないと食べられない硬さのおかずは噛む力が弱くなっている高齢者には食べにくい一方、柔らかくしすぎたり、さらさらと粘度が少ない状態では口の中や喉に一気に流れ込んでしまうので、ムセや誤嚥の原因となる事もあります。

高齢者が食べやすい柔らかさの食事を作るためには、食事を用意する人も柔らかさの基準を自身の舌で確かめると感覚を掴みやすくなります。

食事を刻んだり、潰したりといった方法に偏ってしまう

高齢者が食べやすい食事の形態として細かく刻んだ食事や食事をあらかじめ潰して提供するといった方法をイメージする人も多いのではないでしょうか。

噛む力が弱くなった人にとっては食事を刻んだり潰したりする事で食べやすくなる場合もありますが、もともとの食事の原形が保たれないため、全てのおかずを刻んだり潰したりしてしまうと見た目が美味しそうに見えない、口の中でばらけやすいというデメリットもあります。食事の見た目は食べる人の食欲に大きく影響するので、柔らかく見た目も良く仕上がる調理法を取り入れるもが必要です。

柔らかいおかずを美味しそうに作る際のポイント

柔らかいおかずを美味しそうに作る際のポイント

ここまでは高齢者が食べやすい、柔らかいおかず作りが上手くいかない理由についてお伝えしてきました。その理由には食材の選択や下処理、調理の方法等それぞれ対処法があり、柔らかいおかずを美味しそうに仕上げる事ができます。

ここからはその対処法を柔らかいおかずを美味しそうに仕上げるためのポイントとしてお伝えします。

柔らかいおかずに向いた食材を使う

柔らかいおかずを作る際には食材に合った下処理や調理法のポイントを押さえる事も大切なのですが、豆腐等の手を加えなくても柔らかい食材や、肉や魚、野菜の柔らかい部分等の柔らかいおかずに向いている食材を選ぶ事で、比較的調理も簡単になり、誰が作っても安定した柔らかさに仕上がりやすくなります。

肉や魚は比較的脂が多い部位が柔らかく調理がしやすく、牛肉や豚肉であれば、肩ロースやヒレ、価格は高くなりますがサーロイン等が柔らかい部位です。

卵、豆腐、芋類等は挽肉等を調理する歳のつなぎとしても活躍します。トマトや茄子等は皮や種を除く事で皮や種が口の中に残らず食べやすくなります。

【柔らかいおかずに向いた食品】

  • 木綿豆腐、絹ごし豆腐
  • 脂がのった肉、魚
  • 挽肉(つなぎを混ぜて調理する)
  • 芋、かぼちゃ
  • 人参、大根等の根菜
  • ほうれん草、白菜等の葉物野菜の葉先
  • トマト(湯むきして種をとる)、茄子(皮をむく)、ブロッコリー

食材に合った下処理と調理をする

おかずを柔らかく仕上げる際に、食材によっては下処理や調理の方法を工夫しないと火を通した時に仕上がりが硬くなってしまいます。

特に肉や魚は火を通す事で硬くなりやすいので筋切りをしたり、肉の水分を閉じ込めたりたんぱく質を分解する働きがある食品を使用した漬けだれに漬ける事で肉質を柔らかくする処理をする、肉汁を逃がさない様に中火でじっくりと焼くといった工夫が必要です。

ごぼうやセロリ等の繊維が硬い野菜は繊維に向かって垂直に包丁を入れ、繊維を断ち切る事で歯切れが良くなります。

また、人参や大根等煮たり蒸したりする事で柔らかくなりやすい野菜も、隠し包丁を入れる等の下処理を加える事で、柔らかいおかずを更に箸で切り分けたり舌で潰しやすくする事もできます。

・食材 柔らかくするための下処理、調理法

食材 柔らかくするための下処理、調理法
肉、魚 ・フォーク等で身に穴を開けて筋切りをする
・ヨーグルト(肉の水分を閉じ込める)、麹、キウイ(肉のたんぱく質を分解する)等が入ったタレに漬け込み、肉質を柔らかくする
・塩は焼く直前に使う(置いておくと身が硬くなる)
・表面に小麦粉や片栗粉をまぶして焼き、肉汁の流出を防ぐ
・中火でじっくり焼く(肉汁が流れにくい)
・挽肉はつなぎを混ぜて焼く
・魚は焼き過ぎない様にする、煮る、蒸す
繊維が硬く、長さがある野菜(ごぼう、セロリ等) ・繊維をなるべく短く断ち切る様に切る
人参、大根等ある程度の大きさで煮る場合 ・隠し包丁を入れる

出来上がったものは舌で潰せるか確かめる

高齢者が食事を摂りづらくなる原因は噛む力が弱くなる、飲み込む力が弱くなる、口の中で食べ物をまとめにくくなる等様々ですが、「舌で潰せる」柔らかさのおかずは、歯が無い、もしくは少なくても舌で押し潰して食べる事ができ、予め細かく刻んである食事の様に唇の中でばらけたり、さらさらとした粘度が少ないミキサー食の様に口の中や喉に一気に流れ込む事がないので、比較的幅広い状態の人にとって食べやすい柔らかさと言えます。柔らかいおかずを作る際には、「舌で潰せる」柔らかさを基準とし、出来上がりを自分の舌に乗せてみて、舌で潰す事ができれば高齢者にとっても食べやすい柔らかさに仕上がっていると言えるでしょう。

形を残し柔らかく煮る、蒸すといった方法も取り入れる

柔らかいおかずを調理する際に、食事を刻んだり、潰したりする方法に偏ると美味しそうに見えない他、食事をする人の状態によっては刻んだ状態の食事は口の中でまとまりにくく、食べにくい事もあります。

「舌で潰せる」柔らかさに、そして美味しそうな見た目を保ちながら仕上げる事ができる調理法として、細かく刻んだり潰したりせずにその食材が美味しそうに見える形や大きさのまま柔らかく煮る、蒸すといった方法があります。例えば肉じゃがや大根の煮物、根菜や茄子、ブロッコリー等の蒸し野菜、魚の蒸し焼き等はもともとの原型を残しつつ、柔らかく仕上げる事ができるおかずの一例です。

柔らかいおかずを美味しそうに作るためのレシピ

柔らかいおかずを美味しそうに作るためのレシピ

ここからは、お伝えしてきたポイントを活用した柔らかいおかずのレシピをご紹介します。

柔らかく食べやすいだけではなく、美味しそうな見た目に仕上がる調理法にも配慮していますので、是非ご家庭でもお試し頂ければと思います。

ローストビーフ

塩麹を揉み込んで低温調理をする事や、薄切りにして肉の繊維を断ち切る事で柔らかく仕上がるレシピです。炊飯器は低温調理の他、野菜類を蒸す時にも便利に活用できます。

ローストビーフ

<材料(3〜4人分)>
・牛ももブロック肉 300g
・塩麹 30g にんにくチューブ 2cmブラックペッパー 適量◆
・オリーブオイル 大さじ1
・たれ◇
・醤油 大さじ4
・酒、みりん、酢 各大さじ1 砂糖 小さじ2
・生姜、にんにく お好みで

<作り方>
1.ジッパーパックに◆を入れてよく混ぜる。
2.①に牛ブロック肉を入れよく揉み込み、冷蔵庫で1日寝かせる。
3.②を常温に戻し、フライパンにオリーブオイルを熱し、中火で肉の表面を焼く。(タレを作るまでフライパンは洗わない)
4.熱湯を1リットルくらい沸かす。
5.③の粗熱がとれたら、ラップを2重にしてくるみ、ジッパーパックに入れて炊飯器に入れる。
6.炊飯器に④で沸かした熱湯を肉が隠れるまで入れ、保温スイッチを入れて15分置く。
7.⑥の粗熱がとれたら冷蔵庫に入れ、◇を③のフライパンに入れてかき混ぜながらとろみが付くまで煮詰めてタレを作って冷やす。
8.食べる直前に肉を3mm程度の薄切りにし、タレをかける。

(1人分)205kcal 塩分2.1g

鱈の中華風ホイル蒸し

焼くと表面が乾燥し、硬くなりやすい低脂肪の魚も、蒸し焼きにすることで柔らかく仕上げる事ができます。葉物野菜の葉先を加えて蒸しても柔らかく食べられます。

鱈の中華風ホイル蒸し

<材料(1人分)>
・鱈 1切れ
・酒 小さじ1 塩胡椒 少々
・お好みの青味
・にんにく、生姜 チューブ各1cmごま油 小さじ1 醤油 大さじ1/2 酢 小さじ1 酒小さじ1/2 ◆

1.調理直前に鱈に酒、塩胡椒で下味をつけ、青味を乗せホイルで包む。
2.フライパンに水を1cm程入れ、沸騰させ、①を並べて10分程蒸す。
3.◆を混ぜて一度沸騰させて冷まし、②にかける。

(1人分)約120kcal 塩分1.9g

冬瓜の薄葛煮

冬瓜は短時間の加熱でも柔らかくなり、高齢者にとって食べやすい食材です。味をよく含むので、少ない調味料での減塩調理にも向いています。

冬瓜の薄葛煮

<材料(3〜4人分)>
・冬瓜 300g
・カニかまぼこ 1本(細かく切る)
・水200ml
・鶏ガラスープのもと 大さじ1/4
・塩 小さじ1/4
・みりん 小さじ2
・片栗粉 大さじ1/2 水 大さじ1(片栗粉を溶く)

<作り方>
1.冬瓜は皮をむき種をとり、一口大に切る。
2.鍋に①と①が浸るくらいの水、塩少々(分量外)を入れ、5分程下茹でし、ざるにあげる。
3.鍋に②と分量の水、鶏ガラスープのもと、塩、みりんを入れ冬瓜に爪楊枝がスッと入るくらい(10分程)煮る。
4.水溶き片栗粉でとろみを付け、カニかまぼこを混ぜる。

(1人分)約40kcal 塩分0.7g

ポトフ(洋風肉じゃが)

煮込むだけのシンプルな調理法ですが、具材が全てホロホロと柔らかく仕上がります。繊維を断ち切る様に具材を切ると、スプーン等で切り分けやすくなります。

ポトフ(洋風肉じゃが)

<材料(2人分)>
・鶏手羽元 4本
・サラダ油 小さじ2
・人参1/2本(1cm程度の輪切り)
・玉ねぎ1/2個(更に2つに切るか、繊維に向かって垂直に5mm程度の厚みに切る)
・キャベツ100g程度(ざく切りにする)
・トマト1個(湯むきして2つに切り、種を出す)
・じゃがいも1個(皮をむいて2つに切り、水にさらす)
・コンソメキューブ2個
・水500ml
・塩、胡椒 少々

<作り方>
1.鍋に油を熱し、手羽元を入れ、焼き色を付ける。
2.①に水とトマト以外の野菜を全て入れ、沸騰したらコンソメキューブを入れ蓋をし、弱火で1時間程煮込む。
3.最後にトマトを加え、塩胡椒で味を整える。

(1人分)400kcal 塩分2.6g

アボカドとサーモンのタルタル

生の魚や海老、帆立等は包丁でたたく事で自然な粘りが生まれ、柔らかくまとまりの良い食感になります。

また、アボカドは食材そのものが柔らかく、油脂も豊富なので柔らかいおかず作りはもちろん、飲み込みやすい食事にも向いている食材です。

マヨネーズやオリーブオイルをごま油に変えたり、サーモンをマグロのたたきや刺身用の海老、帆立等に変えても美味しいレシピです。

サーモンとアボカドのタルタル

<材料(2人分)>
・アボカド 1個
・刺身用サーモン 100g(包丁でたたく)
・マヨネーズ、オリーブオイル 各大さじ1 塩・胡椒 少々◆
・オリーブオイル 小さじ1(飾り用)
・青味やハーブ等 お好みで

作り方
アボカドは皮をむいて種を取り、フォークの背等で潰し、◆を混ぜる。
器に①を盛り付け、上にたたいたサーモンを乗せ、オリーブオイルと青味等を飾る。

(1人分)約320kcal 塩分0.3g

栄養価計算された柔らかいおかずが届く、宅配弁当も便利

栄養価計算された柔らかいおかずが届く、宅配弁当も便利

ここまでは家庭で高齢者向けの柔らかいおかずを作る際のポイントについてお伝えしてきましたが、最近では柔らかいおかずが揃ったお弁当の宅配サービスを各社が展開しています。

柔らかくて美味しいだけではなく、献立を管理栄養士が監修しているのでカロリーや塩分に制限がある人でも安心して利用できます。もちろん高齢者以外の年代の人でも美味しく食べられるので、柔らかさや食材の組み合わせの参考にお取り寄せしてみるのもおすすめです。

柔らかいおかずは舌で潰せる柔らかさが基本。高齢者サイドに立ち見た目にも配慮を

高齢者の食事として「柔らかい食事」をイメージする人は多いですが、柔らかい食事、特におかずを上手く作れないという人は少なくありません。

食事を刻む、潰すという方法では人によっては食べにくく、誤嚥につながる事もある他、どうしても元の食事の原型が損なわれてしまうので食欲が湧かず、食が進まないといった事もあります。

柔らかいおかず作りが上手くいかない原因としては、食材の選び方や調理法が柔らかく仕上げるには不向きである、食材に合った下処理をしていない、柔らかさの基準がわからない等といった事が挙げられます。

その対処法として、そのものが柔らかい食材や、皮や種を除いて使える野菜、煮る事で柔らかくなりやすい根菜類を使用する事、肉類は柔らかくするために筋切りやタレに漬け込む等の下処理をする事、食材を刻んだり潰したりする方法に偏らず形を保ったまま煮る、蒸すといった調理法も取り入れ美味しそうに仕上げ、舌で潰せる柔らかさをめやすとするといった事があり、それが柔らかいおかずのポイントにもなります。

最近では高齢者向けの柔らかいおかずのお弁当を届けてくれる、弁当の宅配サービスを展開する会社も増えています。

栄養価計算がされているのでカロリーや塩分の制限がある人も安心して利用する事ができ、高齢者の食事を用意する人にとってもおかずの柔らかさや食材の組み合わせの参考になるのでおすすめです。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士