高齢者の食事における副菜の悩み解決!献立の基本や調理のポイントとは!?

食事の献立において、主食・主菜・副菜という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

食事の献立において、主食はご飯、パン、麺等、主菜は肉や魚、卵や大豆製品といった「メイン」と呼ばれるものを指します。

では副菜はというと、野菜やきのこ、海藻を使ったおかずを指します。

副菜はビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む食材を使っているので、私たちの皮膚の健康や免疫機能を守る等身体の調子を整えたり、食物繊維によってお腹の調子を整えたり、最近では認知症発症の原因に繋がる事も分かってきた血糖値を整える働きもあります。

しかし、特に高齢者の食事において、副菜の品数や内容、食べやすく調理をす事に関する悩みが多く聞かれます。

高齢者の食事に副菜を効果的に取り入れるためには、まずは献立の基本を踏まえた上で加齢によって食が細くなる、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった高齢者ならではの食事の悩みに寄り添った対処が必要です。

本記事では、実際の介護者から寄せられる相談をもとに副菜に関する4つの悩みを取り上げ、献立の基本や調理のポイントを交えながら解決に導きます!

高齢者の食事における、副菜に関する4つのお悩み

高齢者の食事における、副菜に関する4つのお悩み

高齢者の食事に関わらず、おかずの品数や食材選びといった献立の基本を知らない人は少なくありません。

また、高齢者の食事においては噛む力や飲み込む力の低下により、家族と同じ内容の副菜を食べる事が難しいケースもあります。

ここでは、高齢者の食事における、副菜に関する4つのお悩みについてお伝えします。

どれくらいの品数を用意したらよいか分からない

毎日感覚で副菜を用意していると、品数が多過ぎたり少な過ぎたりしていないか気になってしまう事はありませんか?

副菜の品数が多すぎると塩分の摂り過ぎに繋がったり、反対に少なすぎるとビタミン、ミネラルといった副菜から摂れる栄養素や食物繊維が不足しやすくなります。

料理の本やインターネット上のレシピは単品で掲載されているものも多く、他の家庭の献立を参考にしようとしても、家庭によって副菜の品数が違い、本来の副菜における「適量」が分からないといった声も聞かれます。

どんな食材をどれだけ使ったらよいか分からない

副菜に使われる野菜やきのこ、海藻等はスーパーでもたくさんの種類が売られています。

そのため、買い物や食事作りの段階で、副菜に使う食材選びに迷ってしまう人も多くいます。

また、野菜やきのこ、海藻に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維を不足なく摂るためにはどれくらいの量の食材を使うかも一つのポイントになりますが、その目安量を最初から把握している人は多くはありません。

そのため、栄養面を意識すればする程、食材選びやどれだけの量の食材を使うかといった悩みが増えてくるのです。

噛む力や飲み込む力が弱くなって食べられない

高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなるため、元々歯応えのある野菜等を使用した副菜は、食材の選び方やその調理法によっては硬くて噛み切れない、飲み込みにくい等といった理由で食べられないといった事もあります。

特に、他の家族と同じ内容の副菜を提供しても食べられない、といった事はよく聞かれる悩みの一つです。食形態の食べにくさは、後にお伝えする残食にも繋がります。

野菜のおかずが残ってしまう

毎日の食事において、毎食副菜が残ってしまうといった事はありませんか?

副菜は主食や主菜に比べて品数が多く、どちらかと言うと肉や魚等の主菜の方がご飯等の主菜のお供になりやすいので、副菜を食べるのは後回しになってしまう傾向があります。

また、先にお伝えした様に、その人の噛む力や飲み込む力に食事の硬さ等の形態が合っていない場合も残食に繋がる原因となります。

副菜が残ってしまう事は食事量の減少を引き起こし、同時に摂取栄養量や食物繊維の不足に直結するため、栄養状態の低下など不調が起こりやすくなります。

迷わないために知っておきたい、献立における副菜の基本と調理のポイント

迷わないために知っておきたい、献立における副菜の基本と調理のポイント

ここまでは高齢者の食事における副菜のお悩みについてお伝えしてきました。

しかし、そのお悩みの多くは献立作りや調理の基本を知るだけで解決のヒントになる事が多いのです。

ここからは、副菜からビタミン、ミネラル、食物繊維等が不足なく摂れ、美味しく食べられる献立作りの基本や調理のポイントについてお伝えします。

理想的な副菜の品数は2〜3種類、複合菜もおすすめ

1食における理想的な副菜の品数は、十分に野菜を摂取する事や様々な品目の食材から多様な栄養素を摂取するといった観点から、汁物も含めて2〜3種類が理想です。

しかし、毎食多くの品目を用意するのは介護者の負担に繋がるだけではなく、食が細くなった高齢者にとっては複数の品数の副菜を食べる事が難しい場合もあります。

その様な場合には、副菜となる野菜等の食材と、肉や魚、卵や大豆製品の主菜となる食材が一緒に調理された具沢山のスープや煮物等といった複合菜もおすすめです。

複合菜も使用する食材の分量や品目によっては一皿でも十分に主菜、副菜の役割を果たすメニューにする事も可能なので、介護者と高齢者双方の負担を軽減する事ができます。

一食分の副菜に使う野菜のめやす量は色の薄い野菜と濃い野菜を合わせて100g以上

国の指針では、1日に摂りたい野菜のめやす量は350g以上とされています。

この事から、一食あたりの副菜に使用する食材のめやす量は、野菜だけでも100g以上は摂りたいものです。

その上でその人の噛む力や飲み込む力、全体的な食事のボリュームによってきのこや海藻を組み合わせましょう。100gの野菜は生野菜のみで食べる場合は両手一杯程になるためかなりのボリュームに感じますが、火を通して軟らかく調理する事で片手一杯程にカサが減り高齢者にも食べやすい形態とボリュームになるので、加熱調理を組み合わせる事が野菜を充分に摂るためのコツでもあります。

また、野菜は色の薄い野菜と濃い野菜では含まれる栄養素の特徴が異なるので、色の薄い野菜と濃い野菜を組み合わせる事で、各種ビタミンやミネラルをバランス良く摂る事ができます。

・野菜の分類と特徴

分類 淡色野菜(緑黄色野菜以外の野菜)  緑黄色野菜(可食部100gまたは1食量当たりカロテンを600μg以上含む野菜)
主な野菜 キャベツ、玉ねぎ、かぶ、大根、レタス、白菜、もやし、きゅうり、ゴボウ等 にんじん、かぼちゃ、オクラ、かぶの葉、大根の葉、ほうれん草、小松菜、ピーマン、トマト、いんげん等
特徴 食物繊維やミネラルが豊富 ビタミンA、C、E等の抗酸化作用があるビタミンが豊富

(参考:厚生労働省 eヘルスネット 緑黄色野菜)

噛む力や飲み込む力が弱い人には軟らかく飲み込みやすい形態に調理する

噛む力や飲み込む力が弱くなった高齢者に副菜を充分に食べてもらうには、高齢者にも食べやすい、軟らかく飲み込みやすい食事の形態に仕上がる様な調理の工夫が必要です。

野菜は皮や種を取り除いたり、繊維を断ち切る様に繊維に対して垂直に薄く切る、大きな根菜類等は隠し包丁を入れてから調理をする事で食べやすくなります。

また、葉物野菜の葉先等軟らかい部位を選んで調理する事でも食べやすさに繋がります。

飲み込みに不安がある人の場合は、汁物や煮汁に片栗粉や介護食用とろみ剤でとろみを付けたり、食材そのものの粘りを利用する、ミキサーにかけてポタージュ状にするといった方法で喉ごし良く仕上げる事ができます。軟らかく煮た煮物や、ポタージュスープ等は他の家族も美味しく食べられるので、家族と献立を合わせる事ができます。

きのこ、海藻、こんにゃくは弾力があったり、口の中に張り付きやすいといった特徴があるので噛む力や飲み込む力が弱い人は無理に食べると危険な場合もあります。

普段から食事の硬さに配慮している、トロミ剤を使用しているという人は、形を残した状態で食べるのは避けましょう。

・高齢者にも食べやすい形態にするための調理の工夫(食材別)

主な食材 調理の工夫
硬い野菜 生野菜、皮がある野菜(胡瓜、茄子、トマト等) ・火を通す
・皮や種を取り除く
繊維が長い野菜 ぼう、ふき、セロリ等 繊維を断ち切る様に薄く切る
根菜 人参、大根 ・隠し包丁を入れて蒸す、煮る
・芋、かぼちゃ等は皮をむいて潰す
葉物野菜 ほうれん草等 葉先の部分を選んで長めに茹でる、煮る
きのこ ・なめこ等の粘り気があるものを選んでたたく
・それ意外の種類はミキサー等にかけてポタージュにする
・形がある状態で食べるのは避ける
海藻 わかめ、昆布、めかぶ等 ・口の中に張り付きやすいので、細かく切って汁物にするか、ゼリー寄せまたは卵等でとじる
・単体で食べるのは避ける
こんにゃく 噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合は避ける

調理法や使う調味料はなるべく重ねず、味付けに変化を持たせる

これまでにも「野菜のおかずを数品用意しても、全て同じ料理に見えてしまう」そんな事はありませんでしたか?

食べやすい食材を使用したり、軟らかく調理をする心がけをする事によって、例えば副菜が全て煮物になってしまったり、全て同じ味付けになってしまうといった事が起こりがちです。

いくら食べやすい形態であっても、味や食感、見た目等に変化が無いと、途中で飽きてしまい、完食するのは難しくなるでしょう。

副菜を調理する際は、例えば醤油味の煮物と酢の物やマヨネーズ和え、クリーム煮と醤油味または中華風のナムルといった様に、温菜と冷菜を組み合わせて味付けを変える事で副菜の一品一品に変化が生まれ、食事が進みやすくなります。

また、調理法や味付けに変化を付ける事は、醤油等の塩分を多く含む調味料を重ねて使う事が避けられるので、減塩にも繋がります。

これで野菜100g!高齢者にも食べやすい、おすすめ副菜&複合菜レシピ

ここからは、野菜100g以上が摂れる副菜や複合菜の組み合わせとレシピをご紹介します。

高齢者はもちろん、お子様にも食べやすい品数と軟らかさのメニューになっていますので、是非ご活用下さい。

野菜たっぷりカレーとコールスローサラダ(野菜量約200g)

カレーは野菜を煮込んで作るので、野菜をたっぷり摂りやすいメニューの一つです。

複合菜としてタンパク質も摂る事ができますが、卵等を添えるとよりタンパク質が充実します。

コールスローは野菜を茹でて調理しているので、高齢者でも食べやすい軟らかさに仕上がります。

野菜たっぷりカレー

野菜たっぷりカレー

<材料 (3人分)>
・合挽き肉 150g
・玉ねぎ 1個(約150g)→歯が弱い人がいる場合は湯むきする
・トマト 1個(約150g)
・茄子 1本(約80g)→歯が弱い人がいる場合は皮をむく
・パプリカ(黄)1/2個(約25g)
・カレールウ 2かけ
・サラダ油 大さじ1
・水150ml

<作り方>
1.野菜は全て1.5cm程度に切る。
2.鍋に油を熱し、玉ねぎが透き通るまで炒める。
3.②に挽肉を加えて炒める。
4.③にその他の野菜を加えて炒め、水を加えて煮込む。
5.野菜が軟らかくなったらカレールウを溶かし、とろみが出るまで煮る。

(1人分:ご飯150g含む)約670kcal 塩分3.3g

コールスローサラダ

コールスロー

<材料 (3人分)>
・キャベツ 150g
・人参 1/4本(約35g)
・マヨネーズ 大匙3
・砂糖、醤油 各小匙1
・すりごま 小匙1
・塩、胡椒 少々

<作り方>
1.キャベツと人参は軟らかくなるまてゆでてよく水を切り、細かく切る。
2.マヨネーズに調味料と調味料を混ぜる。
3.①と②を合わせる。

(1人分)約135kcal 塩分1.4g

スペイン風オムレツとごぼうのポタージュ(野菜量約160g)

ごぼうは通常硬い野菜ですが、ポタージュにする事で食べやすくなります。

オムレツの野菜はミックスベジタブル等の冷凍野菜を使っても手軽に作れるのでおすすめです。

オムレツは野菜の他、卵と挽肉でタンパク質も摂れる複合菜です。

スペイン風オムレツ

スペイン風オムレツ

<材料 (4人分)>
・卵 4個 片栗粉小匙1 牛乳大匙2塩・胡椒 少々◆(混ぜる)
・鶏挽肉 100g
・かぼちゃ 100g(皮をむいて1cm角に切る)
・人参 1/2本(皮をむいて1cm角に切る)
・玉ねぎ 1/2個(約80g みじん切りにする)
・ブロッコリー 80g(小房に分ける)
・コンソメ 小匙2
・オリーブ油 大匙1

<作り方>
1.かぼちゃと人参はラップをかけ、レンジで1分程加熱して軟らかくする。
2.フライパンにオリーブ油を熱し、玉ねぎを炒める。
3.②に鶏挽肉を加え炒める。
4.③にその他の野菜、コンソメ、塩・胡椒を加え、◆を流し入れる。
5.フライパンに蓋をし、弱火で卵が固まるまで火を通す。
6.フライパンを返して皿に移す。

(1人分)約230kcal 塩分1.7g

ごぼうのポタージュ

ごぼうのポタージュ

<材料 (4人分)>
・ごぼう 160g(よく洗って薄切りにする)
・玉ねぎ 1個(薄切りにする)
・バター 大匙1
・水 400ml
・コンソメ 小匙3
・牛乳 400ml
・塩・胡椒 少々

<作り方>
1.鍋にバターを熱し、玉ねぎがしんなりするまで炒める。
2.①にごぼう、水、コンソメを加え軟らかくなるまで煮て火を止める。
3.②の粗熱が取れたらミキサーで攪拌し、鍋に移して牛乳を加え、塩・胡椒で味を調える。

(1人分)約140kcal 塩分2.2g

バランスの良い副菜が手軽に食べられる、高齢者向け宅配弁当は便利!

ここまでは、高齢者の食事における副菜のお悩みや、悩みを解決に導く献立の基本や調理のポイントについてお伝えしてきました。

しかし、介護者が仕事や諸用で一時的に家を空ける等。食事の用意をする事が難しい事はありませんか?

その様な時には最近各社が展開する高齢者向け宅配弁当サービスが便利です。

高齢者向け宅配弁当サービスでは、主菜と副菜が冷凍で届き、解凍するだけですぐ食べる事ができます。

主菜も肉や魚がバランス良く献立に組み込まれ、材料の下処理や多くの品目を調理する事に時間を要する副菜も、様々な食材を使用し、味付けや調理法も多彩なバランスが良いものが揃っています。

食形態も噛む力や飲み込む力に応じて舌で潰せるムース食から容易に噛める普通食まで幅広いので、その人が美味しくスムーズに食べられる食事を簡単に実現する事ができるのでおすすめです。

高齢者の身体の調子を整える副菜を、まずは一品から取り入れましょう

食事の献立において、主食・主菜・副菜という言葉がありますが、その中の副菜は、野菜やきのこ、海藻を使ったおかずを指します。

副菜はビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む食材を使っているので、私たちの皮膚の健康や免疫機能を守る等身体の調子を整えたり、食物繊維によってお腹の調子を整えたり、最近では認知症発症の原因に繋がる事も分かってきた血糖値を整える働きもあります。

しかし、高齢者の食事においては副菜の品数や内容、食べやすく調理をする事に関する悩みが多く聞かれます。

また、高齢者の食事に副菜を効果的に取り入れるためには、献立の基本を踏まえた上で加齢によって食が細くなる、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった高齢者ならではの特性に寄り添った対処が必要です。

高齢者の食事における副菜は、一食あたり2〜3品、野菜でいうと色の薄い野菜と濃い野菜を組み合わせて100g以上使用する事が理想です。

しかし、高齢者は加齢による影響で食が細くなりやすく、多くの品数を食べる事が難しい場合もあります。

その様な場合は、主食や主菜と副菜を合わせて摂る事ができる複合菜もおすすめです。

噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合には、軟らかい食材の選択や、煮る、蒸す、ミキサーにかける、とろみ付けといった軟らかく喉ごしが良い食事の形態に仕上がる調理法を取り入れましょう。

副菜の調理法や味付けに変化が乏しいと摂取量の低下に繋がりやすくなるため、温菜と冷菜を組み合わせ、同じ調味料を重ねて使わない様にする事も大切です。

最近各社が展開する高齢者向け宅配サービスは、食材や調理法、栄養のバランスが良い副菜を手軽に提供する事ができます。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士