高齢者の食事にも便利な作り置きおかずのメリットと簡単レシピをご紹介!

ここ数年、食事づくりの時短や節約等のメリットから「作り置きおかず」を毎日の食事に取り入れる人が増え、インターネットの記事や書籍等でも多くのレシピが紹介されています。

作り置きおかずは食事づくりの度に食材や調理法に配慮が必要な高齢者の食事においても活用する事ができ、毎食の用意にかける時間を減らしたり、高齢のご家族と同居をしていない場合でも数日分の手作りおかずを届ける事ができます。

今回本記事では高齢者の食事で作り置きおかずを使用する3つのメリットについてお伝えし、作り置きおかずを食べる時の注意点や簡単なレシピもご紹介します。

高齢者の食事に作り置きおかずを使用する3つのメリット

高齢者の食事は、噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合は特に食べやすい食材を 選んだり、柔らかく仕上がる調理法にする等の配慮が必要である事も多く、毎食の食事作りを負担に感じている人も少なくありません。

また、高齢のご家族と同居をしていない場合や、食事の用意をする人が仕事等で家を空ける場合等、毎食自宅で調理をするのが難しい場合もあります。

この様な背景から、高齢者の食事にも作り置きおかずを取り入れる事で3つのメリットがあると考えます。この章ではそのメリットについて具体例を交えながらお伝えします。

毎食調理する品数が少なくて済む

作り置きおかずを取り入れる事で、毎食献立の品数全てをその都度調理しなくても良いので、調理をする品数が少なくて済むというメリットがあります。

その結果、食材の下処理や味付けにかける手間や時間を省く事ができるので、食事の準備にゆとりが生まれます。

メインのおかずか副菜のどちらかに作りおかずを取り入れると献立のマンネリ化も防ぐ事もできおすすめです。

離れて暮らしていても届けられる、不在の時も食事を用意できる

中には同居をしていなくても、2世帯住宅の別棟や少し離れた場所に高齢のご家族が暮らしているという人もいるでしょう。

その様な場合も作り置きおかずを用意する事で手作りの食事を届ける事ができ、その際にご家族の様子を確認する事もできます。

身体の機能的に調理は可能であるものの、難しい調理はおっくうという高齢者の方には、調味液等に漬け込んで下ごしらえした肉や魚を焼くだけにして届けるという方法もあります。簡単な調理でも、料理をする事は心身の活性化をもたらすという専門家の見解もあります。

また、高齢のご家族と同居をしている場合でも食事の用意をする人が仕事等で家を空ける場合も、作り置きおかずを用意する事でお出かけ前の忙しい時間帯の食事の用意が簡単になります。

宅配弁当にもう一品欲しい時もサッと出せる

最近は高齢者向けの食事をお弁当にして宅配するサービスも人気があり、既に利用している人もいるでしょう。

宅配サービスのお弁当は高齢者が好み食べやすい献立が研究され、栄養成分も管理栄養士により計算されている商品が多いのが魅力ですが、例えば日によって食欲にムラがある場合や最近便秘がちである等「今日はもう一品おかずが欲しい」「野菜のおかずを増やしたい」といった場合も作り置きおかずがあればサッと対応する事ができます。

作り置きおかずを保存する時、食べる時の注意点

作り置きおかずを保存する時、食べる時の注意点

普通に調理をしたおかずと作り置きおかずで違う点は、「作り置きおかずの場合は料理が完成してから食べるまで時間が空く」という事です。

そのため、保存の仕方や食べ方の注意点を押さえておかないと、せっかく作り置きしたおかずを早々に傷ませてしまったり、それに気付かず食べてしまうと食中毒に繋がる危険性もあります。

ここでは、作り置きおかずの保存や食べる際の注意点についてお伝えします。

2〜3日で食べ切れる様にする

作り置きおかずが美味しく食べられる期間は調理後、冷蔵庫に保存した状態で2〜3日です。作り置きおかずを実際に調理し食事に取り入れている人が料理を冷蔵庫で保存し、色や臭い、味が変わる事なく食べられたと判断した日数を更に半分にした日数です。

また、食品の消費期限を決めている日本食品分析センターの調査でも、多くの食品は調理後4日以降で最近の数が急増し、美味しさにも変化が出たという結果があります。この事からも、美味しく安全に作り置きおかずを食べ切る日数は、冷蔵保存で2〜3日をめやすにすると良いでしょう。

清潔な密閉容器に保存する

清潔な手指や調理器具で調理をしても、保存容器が不潔だったり濡れていたりすると、食品を傷ませる原因となる細菌が保存容器の中で増殖します。

また、細菌は空気に触れている環境を好む種類のものが多く、蓋が開いている事で外からの細菌も混入しやすくなります。保存容器は清潔で乾燥しているものを使用し、蓋は密閉できる物が安心です。保存容器にアルコールスプレーをして殺菌しておくのも有効です。

直箸しない

作り置きおかずは容器のまま食卓に並べ、そのまま箸でつつきたくなるという人もいるでしょう。

しかし、口をつけた箸には思った以上に細菌が付いていて、保存容器と行き来させる事で料理に細菌が付き、早く傷む原因になってしまいます。

作り置きおかずはあらかじめ食べ切れる量を食器に移し、取り分け専用の箸やトング等を使用しましょう。

日持ちしやすく、作り置きに向く料理

日持ちしやすく、作り置きに向く料理

前章では、作り置きおかずの保存や食べ方の注意点についてお伝えしましたが、調理法でも日持ちがしやすいという観点から、作り置きに向く料理があります。

ここでは、作り置きに向く調理法や料理の種類についてお伝えします。

しっかり火を通して調理する料理

焼く、揚げる、煮る等調理の際にしっかりと火を通す料理は熱によって細菌をやっつける事ができます。調理をし、冷ました後は細菌を付けない様に早めに密閉して冷蔵庫で保管しましょう。

カレーやシチュー等とろみがある煮込み料理はなかなか冷めにくく再び加熱しても中まで火が通りにくいので細菌が増殖しやすい料理です。保存の際は1食分ずつ小分けにすると温度が下がりやすく、短時間で温める事もできます。

しっかりした味付けの料理、酢を使用した料理

塩、醤油、砂糖は昔から保存料としても使われており、おせちや佃煮といった料理は日持ちをさせるためにこれらをふんだんに使っています。

また、酢に含まれる酢酸も殺菌効果があるため、細菌の増殖を防ぎます。やや濃い目の味付けや、酢を使用した酢漬け、マリネ等は作り置きに向いていると言えます。

水分が少ない料理

焼く、揚げる等水分が少な目の料理は保存にも向きますが、高齢者向けの献立では取り入れにくい料理も多くあります。

しかし生野菜や高齢者の食卓によく見られる煮汁が多い煮物等水分が多い料理は細菌が増殖しやすい環境にあります。生野菜を使用する料理は濃い目の漬けだれに漬けたり、煮物や炒め物はなるべく煮詰めて汁気を飛ばし、汁気を切って密閉容器に保存する等の対策が必要です。

作り置きできる高齢者の食事レシピ

作り置きできる高齢者の食事レシピ

ここからは、保存に向き作り置きにおすすめなおかずの簡単レシピをご紹介します。高齢者の方はもちろん、家族みんなで美味しく食べられるメニューです。

牛肉のしぐれ煮

じっくり火を通す事で柔らかく仕上がります。しっかりした味付けで保存が利くだけでなく、ご飯がすすむ一品です。

<材料(1人分×2食分)>
・牛肉(切り落としや細切れ)150g
・生姜 適量(せん切り)
・下茹で用の水
・水、酒 50ml 砂糖、みりん 大さじ2 醤油 大さじ3→◆

<作り方>
1.牛肉が長い場合は食べやすい大きさに切る。
2.鍋に下茹で用の水を沸騰させ、牛肉と生姜をさっと茹でてお湯を切る。
3.別鍋に②と◆を入れ、中火で汁気がなくなるまで煮る。

(1人分)約480kcal 塩分4g

鰆味噌漬け焼き

下味を付けて、後は焼くだけにして届けても喜ばれる、味噌漬焼きのレシピです。噛む力が弱い場合は、焼いた後に皮を取り除きましょう。メカジキやブリ等、様々な魚で代用でき、下ごしらえした状態で冷凍保存する事もできます。(冷凍保存する場合は2〜3週間で食べ切りましょう。)

鰆の味噌漬け焼き

<材料(1人分×2食分)>
・鰆 2切れ
・味噌大さじ2 みりん、酒 各大さじ1→ 合わせる◆

<作り方>
1.鰆は塩(分量外)をふり30分程冷蔵庫に置き、出てきた水分をキッチンペーパー等で拭き取る。
2.◆の調味料を合わせ、ジッパーパックまたはタッパーに鰆と一緒に漬けこむ。(1晩〜2晩)
3.焼く前に漬けダレを軽く洗ってからグリルで焼く。

(1人分)約210kcal 塩分 1.3g

鯵のマリネ

冷蔵保存している間に味が馴染み食べ頃になるマリネのレシピです。鮭や鱈等でも応用ができます。

鯵のマリネ

<材料(1人分×3食分)>
・鯵(生 開き)3枚
・片栗粉 大さじ2
・揚げ油 適量
・玉ねぎ 1/2個→繊維に対し垂直に薄切りにして塩もみし、水分をしぼる
・人参1/4本→せん切り
・酢 大さじ3 砂糖 大さじ2 醤油 小さじ1→◆合わせてレンジで30秒加熱する

<作り方>
1.鯵は食べやすい大きさに切り、片栗粉をまぶして揚げる。
2.保存容器に玉ねぎ、人参と揚げたての①を交互に重ねる。
3.◆を上からかけ、冷めたら蓋をして冷蔵保存する。

(1人分)約230kcal 塩分1.4g

煮卵

とても簡単な1品ですが、ご飯や麺類に乗せるだけで手軽に栄養補給ができます。お好みで柚子胡椒等を加えても美味しく仕上がります。

煮卵

<材料(1人分×2食分)>
・卵 3個
・めんつゆ(3倍濃縮)70ml

<作り方>
1.茹で卵を作り、殻をむく。
2.ジッパーパックまたはやや高さのある保存容器にめんつゆを入れ、卵の全面にめんつゆが触れる様に冷蔵庫で半日以上漬ける。

(1人分)約95kcal 塩分0.6g

豆の五目煮

予め蒸してある大豆やもどし済のひじきを使用する事でスピード調理ができます。こんにゃくや油揚げなどは食べやすい大きさにしていますが、噛む力が弱い方に作る場合は、除いて作ると安心です。

豆の五目煮

<材料(1人分×3食分)>
・蒸し大豆 60g
・ひじきドライパック40g
・油あげ 1枚(除いても可) 細切り
・人参1/3本 短冊切り
・こんにゃく(除いても可)1/4枚 長さ2cm、厚さ2〜3mmの短冊切り
・だし1カップ 砂糖、醤油、みりん各大さじ1

<作り方>
1.鍋にだしと調味料を煮立たせる。
2.①に切った材料と大豆、ひじきを加え弱火で汁気が少なくなるまで煮る。
3.冷めたら保存容器に入れ、冷蔵保存する。

(1人分)約110kcal 塩分1.1g

ミニトマトのはちみつ酢漬け

ミニトマトの皮を除く事で、柔らかく食べやすく仕上がります。口が充分に開かない方や、噛む力が特に弱い方には半分にカットすると更に食べやすくなります。程よい酸味と甘みで、食欲が落ちている時や箸休めに重宝します。

トマトのはちみつ酢漬け

<材料(1人分×3食分)>
・ミニトマト 1パック
・はちみつ、酢 各大さじ1 オリーブオイル 大さじ1/2→合わせる◆
・塩 ひとつまみ

<作り方>
1.ミニトマトは十字に切り込みを入れ、湯むきする。
2.◆をレンジで600W30秒加熱する。
3.保存容器に①と②と塩を入れて和え、冷蔵保存する。

(1人分)約70kcal 塩分0.1g

ほうれん草のナムル

シンプルなほうれん草のナムルは、手軽に野菜をたっぷり摂る事ができます。ほうれん草がお安く買えた時等は、他のご家族分も倍量で作り置きするのもおすすめです。

ほうれん草のナムル

<材料(1人分×3食分)>
・ほうれん草 1束
・鶏ガラスープの素 醤油 ごま油 各小さじ1→合わせる◆
・白ごま 適量

<作り方>
1.ほうれん草を茹で、かたく絞って3cm程の長さに切る。
2.ボウル等で◆と和え、白ごまを振る。
3.保存容器で冷蔵保存する。

(1人分)約35kcal 塩分1g

高齢者の食事も作り置きおかずで簡単便利に食卓に彩りを

ここ数年は食事作りの時短や節約等のメリットから作り置きおかずが人気です。

毎食の食事作りに悩む人が多い高齢者の食事にも作り置きおかずを取り入れる事で、毎食調理する品数が少なくて済む、同居をしていなくても食事を届けられる、食事の宅配サービスと組み合わせる事で更に食卓が充実するといったメリットがあります。

作り置きおかずは調理してから食べ切るまで時間が空くため、安全に美味しく食べるためには冷蔵庫で保管し2〜3日で食べ切る事や清潔な容器に保存する事等の注意点もあります。

作り置きに向くのは、しっかりと火を通して調理する料理、やや濃い目のしっかりとした味付けや酢を使用した料理、水分が少ない料理です。

高齢者向けの料理は汁気の多い煮物等水分が多くなりがちですが、煮汁を煮詰めて飛ばす等の対策も必要です。本記事で紹介している高齢者向けの作り置きおかずの簡単レシピは高齢者の方だけではなく家族みんなで美味しく食べる事ができます。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士