高齢者のお弁当づくりはコツを掴めばメリットいっぱい!簡単レシピもご紹介

手作りのお弁当は、通勤や通学、行楽等に持参する事で節約や健康への配慮ができる他、何よりも温かみがあって美味しく感じられるでしょう。

高齢者の方にとっても趣味や行楽等で自宅を離れる時には、お弁当は重宝します。

また、普段お食事を用意する方が一時的に不在の時や、いつもと少し違った雰囲気でお食事を楽しみたい時にもおすすめです。

お弁当作りには、衛生面の配慮や高齢者の方が食べやすい食材選び等いくつかポイントがありますが、コツをつかんでしまえば便利なだけでなくお食事のバリエーションも増やす事ができます。

今回本記事では、高齢者用のお弁当が重宝するシーンやお弁当づくりのポイントについてお伝えし、気軽にお弁当づくりをするために便利な保存方法や、お弁当向きメニューの簡単なレシピもご紹介します。

高齢者用のお弁当が活躍するシーン3つ

高齢者用のお弁当が活躍するシーン3つ

高齢者用のお弁当が重宝するのは、自宅の外で食事をする時だけとは限りません。

「明日のお昼だけ家を空けるけど食事の準備はどうしよう」「最近食事がマンネリ気味で食事を残す事が多くなった」等という悩みはありませんか?お弁当が自宅で用意できると、その様な悩みも解決します。

この章では、高齢者用のお弁当が活躍するシーンについてお伝えします。

食事を用意する人が一時的に不在の場合

普段食事の用意をしている人が用事等で普段の食事時間に家を空ける事もあるでしょう。

その様な場合は、事前に食事を作って盛り付けしておくといった事も一つの手段ですが、お弁当にする事で、食器類の洗い物も少なく、お弁当向きの料理は冷めても美味しいので、自宅にいる高齢者の方が火気やレンジ等を使用しなくても良いため安心感もあります。

行楽や通院等で食事を自宅以外で食べる場合

もちろん行楽や通院等、お出かけの際にもお弁当は活躍します。

噛む力が弱くなったり、カロリーや塩分の制限があるといった事でお弁当にする事が一見難しく感じるかもしれませんが、食材の切り方を小さくしたり、柔らかく食べやすい食品を選ぶ等、調理についての基本はほとんど同じです。

お弁当は味付けやご飯の量等もその人に合った内容で用意できるというメリットもあります。

また、カロリーや塩分等のコントロールが不安な場合は、制限食を取り扱う宅配弁当を利用し、持参するという方法もあります。

普段の食事の目先を変えたい場合

高齢者の食事は食べやすい食材を意識して選んだり、煮る、蒸す等の調理法が多くなる事もあり、どうしてもメニューや見た目等がマンネリ化しがちです。

食事を1日の楽しみにしている人程、食事のマンネリ化によって食欲が落ちてしまうといった事も少なくありません。

そんな時、いつもの食事をお弁当箱に詰めるだけでも目先が変わり、箸が進む人もいます。

お弁当箱を塗り物等の見た目が素敵なものにしたり、サンドウィッチや混ぜご飯等お弁当ならではのメニューを添えるのも良い方法です。

高齢者用のお弁当を自宅で用意する際のポイント

高齢者用のお弁当を自宅で用意する際のポイント

ここまでは高齢者の食事について、お弁当が活躍するシーンについてお伝えしてきました。

しかし、高齢者の食事は食品の選び方や調理方法に工夫が必要であるため、お弁当づくりが難しく感じている人もいるでしょう。

自宅で食事の用意をしている方はまずは普段作っているメニューをアレンジして弁当にするのも良いですし、食品や調理方法に不安がある方は高齢者にとって食べやすい食品や調理方法を知る事から始めましょう。

高齢者が食べやすい食材、形態を選ぶ

お弁当だからといって食材や形態を変える事は必要なく、高齢者が食べやすい柔らかい食材や口当たりが良い形態のお弁当にする事が大切です。

硬い野菜は繊維を短く断ち切る様に切る、肉や魚は皮を除く、隠し包丁を入れる、タレに漬け込むといった事で食べやすくなります。

その他高齢者の食事や料理のポイントについては以下の記事でもご紹介していますのでご覧下さい。

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料理レシピと簡単調理法

しっかりと衛生管理をして食中毒を防ぐ

高齢者のお弁当に限らず、お弁当づくりで気を付けたいのが食中毒防止のための衛生管理です。

厚生労働省の調査からも分かる様に、食中毒は季節を問わずに発生し、実は家庭での発生件数は飲食店に次いで2位となっています。
(参考:厚生労働省 平成30年食中毒発生状況)

特に高齢者は免疫力が低下している人も多く、食中毒が命に関わるケースもあるためしっかりとした対策が必要です。

食中毒予防の基本は「つけない」「やっつける」「ふやさない」の3つで、食品に細菌をつけない事や、加熱によって細菌をやっつける事、水分や温度等、細菌が増える原因について対策し、細菌をふやさない事が大切です。

ここからは、3つのポイントの具体的な方法についてお伝えします。

つけない

調理の前や、調理中に生肉や魚介類、卵を触ったり、トイレに行った時はよく手を洗う。

手指に傷がある時は手袋等で覆う。

お弁当箱や調理器具はよく洗い、乾燥させた清潔なものを使う。

野菜、果物、魚介類はよく洗う。肉類は食中毒菌が飛び散るので洗わない!

盛り付け用にシリコン製等のカップを利用する場合にもよく洗い、乾燥させる。(農林水産省では梅雨時期や夏場は使い捨てのものを推奨)

やっつける

肉や魚等のおかずはしっかり加熱をする。卵料理も半熟は避け、しっかり火を通す。

加熱しなくても食べられるハム等の加工食品もできるだけ加熱する。

ふやさない

水分が多いと細菌が増えやすいので、煮物等の汁気は良く切る。

水分の漏れや細菌が他の食品にうつるのを防ぐために、仕切りやカップを使う。

生野菜や果物は良く洗い水を切って詰めるか、別容器に分ける。

揚げる、焼く、蒸す等水分が漏れにくい調理法を取り入れる。

ご飯やおかずは冷やしてから詰める。

作り置きの食品は必ず再加熱して殺菌する。

お弁当は冷蔵庫や保冷剤入りのバッグで保管する。

お弁当用の品質保持フィルムも便利。

衛生管理をしっかりとする事で、美味しく安心、安全なお弁当づくりをする事ができます。

汁気は広がらない様にし、汁漏れや傷みを防ぐ

高齢者が食べやすい食事は、柔らかく煮る等どうしても汁気が多くなりがちです。

先にお伝えした様に、水分が多いと細菌が増えやすく、食中毒の原因となったり、汁漏れをする等のトラブルに繋がります。

高齢者のお弁当づくりで重要なのは、汁気の広がりを防ぐ対策とも言えるでしょう。

汁気が多い料理は汁気をよく切ったりカップを使用するといった先にもお伝えしている対策の他、カップの下にかつお節や麸等の水分を吸ってくれる食材を入れる事も良い方法です。

また、主食と副食でタッパー等を分ける事や、おかゆ等汁物用のジャーを使用する等といった事も、汁漏れや細菌が増える事を防げます。

冷凍保存に適したおかずを用意すれば更に便利

お弁当は衛生面等の観点から、当日調理が基本ですが、ご飯やおかずを調理後冷凍し、使いたい時に加熱して冷まし、お弁当に詰めるといった方法もあります。

じゃがいもやこんにゃく、生野菜等、中には冷凍に向かない食品もあるので注意が必要ですが、煮物や肉、魚、卵のメイン料理はほとんどが冷凍が可能です。

冷凍保存したおかずを使用する際の注意点としては、新鮮な材料で調理をする事や、冷凍保存後は1週間以内に食べ切る事、お弁当に詰める前に必ず加熱をする事といった衛生面の他、冷凍する事で味が染み込みやすくなるので、味付けはやや控えめにするのがおすすめといった事もあります。

特に、肉や魚は漬けダレに漬け込み2〜3日冷凍しておくと、味がなじみ焼いた時に柔らかく、美味しく食べられます。

高齢者でも食べやすいお弁当の簡単レシピ

ここからは、お弁当向けのメニューのレシピをいくつかご紹介します。

ご紹介するメニューは全て、新鮮な食材で調理すれば冷凍保存も可能です。

散らし寿司

冷めてもおいしい散らし寿司は華やかで、具材の選び方によっては高齢者にも食べやすいメニューです。

季節感や特別感を演出できるメニューでもあります。

<材料(2人分)>
・ご飯 300g
・酢、砂糖 各大さじ1.5 塩 少々→◇(あわせておく)
・干ししいたけ(水で戻す)1枚 人参 約3cm(皮をむく)
・だし汁 1カップ 砂糖 小さじ1 醤油 小さじ2 塩 少々→◆
・卵1個 砂糖 小さじ1 塩 少々 フライパンにしく油 適量
・白ごま 少々
・三つ葉や絹さや等の青味 少々

<作り方>
1.水でもどした干ししいたけはみじん切り、皮をむいた人参は千切りにした後1cmの長さに切る。
2.小鍋に◆と①を入れ、柔らかくなるまで煮て汁気をよく切る。
3.卵、砂糖を混ぜ、油をひいたフライパンで薄焼き卵を作り、錦糸卵にする。
4.ご飯と◇、②、白ごまを混ぜ、錦糸卵と青味をかざる。

※(1人分) 約370kcal 塩分 1.2g

柔らかツナサンド

パサつきがちなパンも、卵液にくぐらせる事でしっとり柔らかく仕上がります。牛乳の代わりに豆乳を使うのもおすすめです。

柔らかツナサンド

<材料(1人分)>
・サンドウィッチ用食パン(6枚切り) 2枚
・卵 1個 牛乳 50ml バター 10g
・きゅうり(皮をむく) 1/4本
・ツナ缶 1/2缶 マヨネーズ 大さじ1

<作り方>
1.きゅうりは皮をむき、薄く輪切りにして分量外の塩で塩もみし、水気をよくしぼる。
2.ツナ缶とマヨネーズを混ぜる。
3.卵と牛乳を混ぜて卵液を作り、食パンを両面くぐらせる。
4.フライパンにバターを熱し、弱火〜中火で箸でパンを押した時に卵液が滲まなくなるまでパンの両面を焼く。
5.パンの上にきゅうり、②をのせサンドし、半分にカットする。

※(1人分)約470kcal/塩分 1.6g

やわらかきんぴらごぼう

なじみ深く、お弁当に入っていると嬉しいきんぴらごぼうです。

ごぼうは繊維が長く、硬いイメージがありますが、繊維を断ち切るように斜め薄切りにし、炒め煮にする事で柔らかく仕上がります。

やわらかきんぴらごぼう

<材料(2人分)>
・ごぼう、人参 各100g
・酒、みりん 各大さじ1
・砂糖、醤油 各小さじ2
・炒りごま 少々
・ごま油 大さじ1
・水50ml

<作り方>
1.ごぼうは洗って髭根等をタワシ等で取り、斜め薄切り、人参は皮をむいて厚さ2mm程度の短冊切りにする。
2.鍋またはフライパンにごま油を熱し、①を入れ、中火でしんなりするまで炒める。
3.ごぼうと人参がしんなりしたら、水を加え、沸騰したら酒、みりん、砂糖を加え、蓋をかぶせて煮る。
4.煮汁が1/3程になったら醤油を加えて弱火にし、蓋をはずす。
5.水分が飛んだらごまをふりかける。

※(1人分) 155kcal 塩分0.5g

かぼちゃのおやき

かぼちゃを潰して使うので柔らかく、高齢者やお子様にも食べやすい一品です。

ひじきの煮物等ばらけやすい料理を混ぜ込んで焼くアレンジ方法もあります。

かぼちゃのおやき

<材料(2人分)>
・かぼちゃ 100g
・スライスチーズ 1枚
・塩・こしょう 少々
・片栗粉 適量
・油 大さじ1

<作り方>
1.かぼちゃは側ごとレンジで柔らかくなるまで(600Wで3分程度)加熱し、皮を除いてつぶす。
2.スライスチーズをちぎって入れ、塩・こしょうで味を整える。
3.スティック型や小判型等、好きな型に成形する。
4.片栗粉を薄くまぶし、油をひいたフライパンで両面を焼く。

※(1人分)約 130kcal 塩分 0.3g

彩り野菜の塩麹あえ

箸休めに嬉しく、お弁当に彩りを添えてくれる一品です。

キャベツは茹で、パプリカの皮を除いて柔らかく仕上げます。蒸し鶏、しらす、帆立の貝柱等を加えても美味しいです。

彩り野菜の塩麹あえ

<材料(2人分)>
・キャベツ 100g
・パプリカ 1/4個
・塩麹 小さじ1 酢小さじ1/2→合わせる◆

<作り方>
1.キャベツは長さ3cm程度の短冊切りにして茹で、水気を切る。
2.パプリカは皮付きのまま茹で、皮を剥き、長さ3cm程の薄切りにする。
3.キャベツとパプリカを合わせておいた◆であえる。

※(1人分) 約25kcal 塩分 0.9g

ぶりの漬け焼き

漬けダレに漬け込む事で、さらに柔らかく仕上がり、ご飯が進むメインのおかずです。

噛む力が弱い場合は、焼いた後に皮を取り除きましょう。カレイやサーモン等、様々な魚で代用できます。

ぶりの漬け焼き

<材料(2人分)>
・ぶり 2切れ
・酒、みりん、醤油→大さじ2 砂糖 小さじ1→合わせる◆
・油 小さじ1

<作り方>
1.◆の調味料を鍋に入れ、弱火で砂糖を煮溶かし冷ます。
2.ぶりは塩(分量外)をふり30分程冷蔵庫に置き、出てきた水分をキッチンペーパー等で拭き取る。
3.①、②をジッパーパックに入れ、1時間以上(できれば一晩)漬け込む。
4.油をひいたフライパンで弱火で焼く。

※(1人分)約320kcal 塩分 2.7g

肉団子の甘酢あん

お弁当メニューの定番、肉団子のレシピです。

つなぎには豆腐や麩等も代用できます。

肉団子の甘酢あん

<材料(3人分)>
・肉団子
・合い挽き肉 200g
・長芋 50g(すりおろす)
・玉ねぎ 1/4個(みじん切り)
・卵 1個
・しょうが(チューブ) 小さじ1
・塩・こしょう 少々
・パン粉 大さじ3
・甘酢あん
・水 100ml
・鶏ガラスープの素 大さじ1
・砂糖、ケチャップ 各大さじ3
・酢、醤油 各大さじ2
・片栗粉 小さじ1(大さじ1の水で溶く)
・油 大さじ2

<作り方>
1.肉団子の材料をボウルに入れてこね、一口大〜好みの大きさに成形する。
2.フライパンに油を熱し、肉団子を転がしながら全面を焼き、焼き上がったらフライパンから取り出す。
3.肉団子を取り出したフライパンに片栗粉以外の甘酢あんの材料を入れ、煮立たせ、煮たったら水溶き片栗粉を回し入れとろみをつける。
4.③に肉団子を入れ、あんをからませる。

※(1人分)約370 kcal 塩分 4g

高齢者のお弁当づくりは食材選びと衛生管理でおいしく、安心・安全に

高齢者の食事においても、食事を用意する人の不在時や高齢者本人が行楽や通院等で自宅以外で食事をする場合にお弁当が活躍します。

また、日々の食事がマンネリ化し、食欲が落ちてしまった時等には普段の食事をお弁当にする事で目先が変わり、状況が改善する可能性もあります。

しかし、高齢者の食事は食材や形態の工夫が必要であり、カロリーや塩分制限がありお弁当づくりとなると難しく感じてしまう人も少なくありません。

高齢者のお弁当づくりのポイントは、柔らかく食べやすい食材を選んだり、下処理や調理法によって柔らかく、口当たりの良い仕上がりにする事、お弁当づくりにおいて共通する食中毒対策をしっかり行う事、水分が多くなりがちなおかずについては仕切りやカップを利用する他、水分を吸収する食品を一緒に詰める、容器自体を分けるといった方法で汁漏れや細菌の増加を防ぐ事が重要です。

お弁当づくりの基本は当日調理ですが、調理済の料理を冷凍しておき、再加熱した上でお弁当に詰めるといった方法もあります。

その場合は、新鮮な食材で調理をする事や、冷凍保存後は早めに食べ切る事がポイントです。

カロリーや塩分等の制限があり、調理に不安がある場合は制限食も取り扱う高齢者用の宅配弁当を利用するのもおすすめです。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士