高齢者が食べやすい食事とは!?美味しく食べ続けるために知っておきたい簡単レシピ

高齢のご家族が、最近食事を食べるのに時間がかかったり、食事を残しがちといった事はありませんか?

もしこの様な事に心当たりがある場合は、今までの食事の硬さや形状等がその人の「食べるための身体の機能」に対して合わなくなってきている可能性もあります。

生涯を通して口にする食事は、その人の生きがいになる事も多く、いくつになっても美味しく食事を食べたい、食べてもらいたいと願う人は多いでしょう。

そのためには、食事は年齢や身体の機能に応じた、食べやすい食事にする事が大切です。

しかし、これまで私が食事に関する相談を受けた経験から、高齢者にとって食べやすい食事とはどの様な食事かイメージしにくいという人も多いものです。

高齢者が食事を摂りづらくなる理由は噛む力や飲み込む力の低下、食欲の低下等その人によって違い、それによって食べやすい食事も違います。本記事では先ず高齢者が食事を摂りづらくなる理由を知る事で食べやすい食事をイメージしやすくし、その理由に応じた食事を作るためのポイントをお伝えします。

ポイントを押さえて食事作りをする事で、食事が摂りづらくなった高齢者も美味しく食べやすい食事を作る事ができますよ。

高齢者が食事を摂りづらくなる4つの理由

高齢者が食事を摂りづらくなる4つの理由

高齢になると加齢による身体機能の衰えや、持病、薬の副作用等による症状によって食事が摂りづらくなる人が多くなります。

噛む力や飲み込む力が弱くなるだけではなく、様々な理由で食欲が低下しやすくなり、食事をする事に影響します。ここでは、高齢者が食事を摂りづらくなる理由についてお伝えします。

高齢者は噛む力や飲み込む力が弱くなる

高齢になると歯の本数が減ったり、入れ歯が合わない等といった理由で噛む力が弱くなったり、筋力の低下や持病により神経伝達がうまくいかない事で飲み込む力が弱くなる傾向があります。噛む力や飲み込む力の低下は、野菜や肉、魚等歯応えがある固形のものが食べにくくなる原因となります。

高齢者は唾液が出にくくなる

高齢者は加齢による唾液分泌機能の低下の他、薬の副作用や噛む力が低下するといった事が原因となり、唾液が出にくくなります。唾液が出にくくなる事で食べ物が口の中でばらけやすくなり、水分が少ないものや口の中に粒が残るもの等は飲み込みにくさにも繋がります。

高齢者は食欲が低下しやすくなる

加齢により食が細くなる事は一般的にも知られていますが、高齢者の食欲低下には食べ物を消化する機能や味覚の低下、持病に伴う薬の副作用等様々な理由があります。

また、寝たきりや家にこもりがちな人は活動量が低下したり生活リズムが乱れる事で食欲が沸かないといった事にも繋がります。

欲が低下した状態では必要な栄養を摂る事が難しく、栄養不足になる事で更に活動量が低下してしまうという悪循環に陥ってしまう事も多くあります。

高齢者は箸を使いにくくなる

高齢になると握力や指先の力が弱くなる他、持病やその後遺症による麻痺等で手の動作が限定されたり、感覚が鈍くなる場合もあります。その結果、箸等が使いにくくなり、細かいものやつるつると滑るもの、麺類等長いものを挟んで口元まで運ぶ事が難しくなり、食事の途中で疲れてしまい、食事がストレスになったり、完食できないといった事にも繋がります。

高齢者にとって食べやすい食事を作るためのポイント

高齢者にとって食べやすい食事を作るためのポイント

ここまでは、高齢者が食事を摂りづらくなる理由についてお伝えしてきました。食事が摂りづらい理由も、その人によって様々なので食べやすい食事もその理由に応じたポイントを押さえて作る事が大切です。

ここからは、食事が摂りづらい理由があっても美味しく食べられる食事作りのポイントをお伝えします。

高齢者にとって食べやすい食材、調理法を選ぶ

噛む力や飲み込む力が弱くなったり、唾液が出にくくなる事で食事が摂りづらくなっている場合は、軟らかく喉ごしが良い、高齢者にとって食べやすい食材や喉ごしが良い状態に仕上がる調理法を選ぶ事でむせずに食べられたり、スムーズに食べる事ができ、「美味しく食べる」事に繋がりやすくなります。

表に示されているミンチ状でまとまりがあるものやプリン、ピューレ状の形態は歯茎や舌で潰したり、噛まずに飲み込める形態なので歯がない人や飲み込む力が弱くなった人にも食べやすい形態です。

しかし、だからといってすべての人に対してプリン状やピューレ状にするのではなく、例えばまだ固形物を噛んで飲み込めている場合等には食材の形を残し、表に示している様な食材の下処理や調理法を工夫して軟らかく仕上げる等、噛む力や飲み込む力が弱くなった、唾液が出にくくなった等の状況に合わせた形態にする事が大切です。


・高齢者にとって食べやすい食材

形状 食品・料理例
ミンチ状で、まとまりのあるもの ハンバーグ、つくね等
ゼリー状のもの ゼリー、水羊羹等
プリン状のもの プリン、具なし茶碗蒸し、卵豆腐、ムース等
ポタージュ-ルウ状のもの カレー、シチュー、ポタージュスープ等
ピューレ状のもの 野菜、果物のピューレ等
乳化されたもの ヨーグルト、アイスクリーム等
軟らかい主食 お粥、パン粥、軟飯、煮込みうどん等
軟らかい野菜 大根、人参、芋類、葉物野菜の葉先


・高齢者にとって食べにくい食材と状況

形状 食品・料理例 食べにくい状況
硬い野菜 生野菜、サラダ等 ・噛む力が弱くなった
繊維が残る野菜 たけのこ、ごぼう、ふき、セロリ等 ・噛む力が弱くなった
スポンジ状でぼそぼそするもの がんもどき、油揚げ高野豆腐等 ・噛む力、飲み込む力が弱くなった
・唾液が出にくくなった
弾力が強いもの こんにゃく、きのこ等 ・噛む力、飲み込む力が弱くなった
・唾液が出にくくなった
長さがあるもの 麺類等 ・噛む力、飲み込む力が弱くなった
・箸が使いにくくなった
酸っぱいもの 酢の物、レモン等 ・飲み込む力が弱くなった
さらさらした水分 味噌汁、すまし汁、お茶、水等 ・飲み込む力が弱くなった
口の中に張り付くもの のり、わかめ、餅等 ・噛む力、飲み込む力が弱くなった
・唾液が出にくくなった


・軟らかく喉ごしがよく仕上がる調理法

食品 調理法
米、パン、麺類 ・米は水分を多くして炊く
・パンは卵液やスープ等に浸す(フレンチトースト等)
・麺類は短く切って煮込む、あんをかける
肉、魚 ・パイン、キウイ、麹等肉を柔らかくする働きがある食品を使った漬けダレに漬け込む
・挽肉を使用したりミキサーにかける場合は油脂や卵、芋類等のつなぎを加えて加熱する
・塩は調理する直前にする
野菜 ・繊維に対して垂直に、断ち切る様に切る
・柔らかく煮る、蒸す
・必要に応じてピューレ状にし、固める

少量でも栄養が取れる調理法にし、盛り付けを多くしない

食欲が低下した人や箸が使いにくくなった人にとって、食事量が多い事は食べる前から気持ち的に負担を感じやすいものです。

「完食できた」という喜びを感じ、必要な栄養を摂れる様にするためには、少量でもカロリーやたんぱく質等の栄養が多く摂れる調理法にし、盛り付け量は控えめにする事で食べやすさに繋がる場合もあります。

少量でも栄養価を上げる調理法としては、卵や乳製品をつなぎとして使用したり、野菜のおかずにもチーズやツナ、豆腐等の手軽なたんぱく源を加えるといった方法があります。

また、マヨネーズやバター、生クリーム等の油脂類を加える事でカロリーアップができ、喉ごしも良くなります。

味にメリハリをつける

高齢になると持病により主治医から食事の塩分について制限の指示がある人も多くいる事でしょう。

しかし、味覚が低下しがちな高齢者にとっては全体的に味が薄い食事は私たちより更に味を感じにくく、食欲が低下する原因にもなります。塩分制限が無い場合でも、しっかり味が付いたものと薄味のもののメリハリがある事で満足感が得られ、食欲の低下を防ぐ事にも繋がります。

調味料は食材に混ぜ込むよりも食材の表面に味を付ける様に使用した方が同じ量でも味を感じやすいので、ふり塩やタレやあんにしっかりとした味を付けるといった方法もおすすめです。

箸やフォーク、スプーンで食べやすい形態や長さにする

箸等が使いにくくなった事が食事の摂りづらさの原因となっている場合は、食べ物を箸だけではなくフォークやスプーンでも食べやすい形態や長さにする必要性があります。

豆類等の小さくてつるつるしたものや麺類等の長さがあるものは箸で掴みにくい事を既にお伝えしていますが、その他にも切り分ける必要がある大きさのものや、粘度が少ないスープ等の液体も箸をはじめフォークやスプーンでも食べにくい形態です。

箸等が使いにくい人でも食べやすい形態にするには、麺類はスプーンですくえる長さに切る、おかずは出来上がりを一口大になるようにするという方法や、スプーンで食べやすい様に介護食用のトロミ剤等でぽってりとした適度な粘りを持たせる、ゼラチンや凝固剤を使用し簡単に切り分けられるプリン、ムース状の形態にするといった方法もあります。

高齢者が食べやすい食事の簡単レシピ

ここからは、これまでお伝えした高齢者にとって食べやすい食事のポイントを踏まえた、簡単レシピをご紹介します。

柔らかい食材を使用し、箸やフォーク、スプーまたは手持ちでも食べやすいレシピもあります。自宅にある材料で応用が可能なレシピでもあるので、まずは冷蔵庫にある食材で作ってみるのもおすすめです。

卵の巻き寿司

巻き寿司に使われる海苔は高齢者にとって噛み切りにくく、食べにくい食材ですが、薄焼き卵で酢飯を巻けば歯切れが良く、栄養価を上げる事もできます。

具材はツナやアボカド等も食べやすいです。

卵巻き寿司

<材料(1人分)>
・ご飯 120g
・酢 小さじ2 砂糖小さじ1 塩少々◆
・卵1個 砂糖 小さじ1
・片栗粉 小さじ1/3 水 小さじ1(水溶き片栗粉にする)
・油 小さじ1
・カニかまぼこ 1本(半分に裂く)
・きゅうり(皮剥き)5mm角のスティック1本分
・マヨネーズ 小さじ1

<作り方>
1.ご飯に◆を入れ、600Wのレンジに20秒程かけて混ぜる。
2.卵をボウル等に割りほぐし、砂糖、水溶きかたくり粉を混ぜる。
3.卵焼き用フライパンに油をひき、②を流し入れて①のご飯を上に広げる。
4.③のフライパンにアルミホイルで蓋をして、2〜3分弱火で加熱する。
5.③の端を3cm程残し、かにかま、きゅうりを並べ、マヨネーズをしぼる。
6.箸が焼けてきたらフライ返しで手前に巻き、アルミホイルの上にのせる。
7.アルミホイルで⑥を棒状に包んで形を整え、粗熱がとれたら切り分ける。

(1人分)約400kcal 塩分0.6g

鯵のなめろう

刺身用の魚は包丁でたたく事で粘りが出るので食べやすくなります。このレシピは生で食べても良いですが、卵を混ぜて焼いてもつくね風になり美味しく食べられます。

鯵のなめろう

<材料(2-3人分)>
・鯵 3尾(3枚におろす)
・葱、しそ適量(みじん切り) 生姜チューブ 2cm 味噌 小さじ3◆
・ごま油 小さじ1

<作り方>
1.鯵は3枚におろした後、さらに3mm幅に切る。
2.①の上に◆を乗せ、材料が混ざり粘りが出るまで包丁でたたく。
3.盛り付ける前に②にごま油を加え、混ぜる。

(1人分)約120kcal 塩分0.6g

柔らかチキンの田楽風

挽肉につなぎを加えて蒸す事で、肉も軟らかく仕上がります。表面に味噌で味付けする事で、しっかりした味を感じる事ができます。

入れ歯に食べ物がはさまりやすい人は、ごまを除きましょう。

柔らかチキンの田楽風

<材料(2食分)>
・鶏挽肉 150g
・塩、胡椒 少々
・卵 1個
・マヨネーズ大さじ1
・みりん 大さじ2 味噌 大さじ1.5 醤油 大さじ1◆
・白ごま(なくても可) 少々

<作り方>
1.鶏挽肉に塩、胡椒を加え、卵とマヨネーズを加えてフードプロセッサーまたはミキサーにかける。
2.耐熱の容器に①を流し、容器の高さ半分くらいの熱湯をフライパンに沸かす。
3.フライパンに蓋をして弱火〜中火で15分程蒸す。
4.鍋に◆を入れ、ツヤが出るまで弱火で煮詰める。
5.③が蒸し上がったら粗熱を取り、一口大に切り分ける。
6.⑤の表面に④を塗り、好みにより竹串やピックに刺し、ごまを振る。

(1人分)295kcal 塩分2.9g

チーズ入りかぼちゃ茶巾

かほちゃは潰すと適度に粘りが出るので、箸やフォークで食べやすくなります。裏ごししてバター等の油脂を加える事が舌触りを良くするポイントです。

チーズを加える事でたんぱく質やカルシウムも摂れます。

チーズ入りかぼちゃ茶巾

<材料(2個分)>
かぼちゃ(皮をとって)
溶かしバター 小さじ2 粉チーズ 大さじ1◆

<作り方>
1.かぼちゃは水を振りかけて600Wのレンジで3分程加熱し、爪楊枝がスッと入る軟かさまで蒸す。
2.①を熱いうちに潰し、ザル等で裏ごしする。
3.②に◆を入れて混ぜ、ラップで茶巾型に絞る。

(1人分)約90kcal 塩分0.2g

白和え

葉物野菜の葉先は軟らかいですが、人によっては口の中に張り付いて食べにくい事もあります。白和えは高齢化にも馴染みがある料理ですが、豆腐が散らばりがちな野菜をまとめてくれる優秀な一品です。

このレシピでは、噛み切らなくても良い長さに野菜を切り、噛む力が弱い人にも食べやすいです。

白和え

<材料(2人分)>
・ほうれん草の葉先 2株分(茹でる)
・人参 少量(茹でる)
・絹ごし豆腐 100g(キッチンペーパーに包んで水切りする)
・白すりごま 大さじ1 めんつゆ 小さじ1 砂糖 小さじ1 マヨネーズ 小さじ1/2◆

<作り方>
1.茹でて水気を絞ったほうれん草は縦と横に包丁を入れ、1cm角に切る。
2.人参は茹でたものを千切りにし、1cm程の長さに切る。
3.豆腐と◆を滑らかになるまでホイッパー等で混ぜる。
4.ほうれん草と人参を③に和える。

(1人分)85kcal 塩分0.1g

高齢者が食べやすい食事は宅配サービスも便利

高齢者が食べやすい食事は宅配サービスも便利

高齢者が食べやすい食事は、最近人気の宅配弁当でも各メーカーから展開されています。

軟らかい食材を使ったものから歯が無くても食べられるムース食まで食事の形態も様々で、その人の状況に合ったものを選ぶ事ができます。

また、献立を管理栄養士が監修し、栄養価計算されているのでカロリーや塩分に制限がある場合や、自宅でどれくらい栄養が摂れているのか不安な人にもおすすめです。

高齢者の「食べにくさ」の理由を知って、その人に合った食べやすい食事作りを

高齢者が食事の際に「食べるのに時間がかかる」「食事を残しがち」といった場合にはこれまでの食事の形態がその人に合わなくなってきている可能性があります。

生涯を通して口にする食事はその人の生きがいにもなり得るため、いくつになっても美味しく食べられる様に、年齢や身体の機能に応じた食事作りをする事が大切です。

高齢になると身体機能の低下や持病の影響等で噛む力、飲み込む力の低下、唾液が出にくくなる、食欲が低下する、箸等が使いにくくなるといった様々な理由で食事が摂りづらくなりますが、その理由はその人によって違うので、食べやすい食事を作るにはその理由に応じたポイント押さえて食事作りをする必要があります。

噛む力や飲み込む力が弱くなっている、唾液が出にくくなっている場合は、食事を軟らかく喉ごしが良く仕上がる食材や調理法を選ぶ事、食欲が低下している場合にはカロリーやたんぱく質を補える油脂や卵、乳製品を混ぜ込む等少量で多くの栄養量が摂れる調理法にしたり、味付けにメリハリを付けて食欲の低下を防ぐといったポイントがあります。

また、箸等が使いにくくなった場合は、出来上がりが一口大になる様に調理をしたり、麺類等の長さがあるものはスプーンですくえる長さに切る、粘度が少なくサラサラしているスープやピューレ等は介護食用のとろみ剤やゼラチン、凝固剤等で粘度をもたせたり、プリン、ムース状にする事でスプーンですくったり、切り分けが簡単になります。

最近人気がある宅配弁当のサービスでも、各メーカーが高齢者が食べやすい食事を展開しており、軟らかい食材を使用したものやムース食等形態もその人に合わせて選ぶ事ができる他、カロリーや塩分等の栄養価計算もされているので持病により食事制限がある人や、自宅でどれくらい栄養が摂れているか不安な人にもおすすめです。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士