高齢者の身体と心に嬉しい、自宅でも簡単に作れる和菓子のレシピ

どら焼きやようかん等の和菓子は、高齢の方のお茶請けといったイメージを持っているという人は多いのではないでしょうか。

和菓子には素材の素朴な甘みが味わえるという魅力があり、口にする事でほっとする事ができます。

また、洋菓子に比べて脂肪が少ないため、消化・吸収機能が低下した高齢者にも優しく、和菓子に多く使用される小豆やきなこ、ごま等といった食材には、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の身体に嬉しい栄養素が含まれています。

和菓子には日本の季節感を表現した目を奪われるような美しさのものも多くあります。

もちろんお気に入りのお店で購入する和菓子も特別感があり喜ばれますが、時には自宅にある材料で和菓子を手作りするのも会話が弾み、良いものです。

今回は高齢者における和菓子の長所や、自宅で作れる簡単なレシピをご紹介します。

和菓子が高齢者の身体と心に嬉しい3つの理由

和菓子が高齢者の身体と心に嬉しい3つの理由

和菓子は季節に応じた種実や野菜等植物性の原料で作られているものが多く、脂肪が少なくほっとする味わいで、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なのが特徴です。

この事は、高齢者の身体と心に嬉しい効果をもたらします。ここでは、和菓子が高齢者の身体と心に嬉しい3つの主な理由についてお伝えします。

和菓子は洋菓子に比べて脂肪が少なく、胃腸に優しい

和菓子と洋菓子との違いの一つに、含まれる脂肪の量があります。

下に例をお示している様に、和菓子は洋菓子に比べて脂肪が少ないという特徴があります。

洋菓子はバターや生クリーム、チョコレート等の脂肪が多い原料をふんだんに使用しているのに対し、和菓子の脂肪はきなこやごま等の植物性の原料に由来するものや、卵等の素材本来のものがほとんどです。

高齢者は加齢により食べ物の消化・吸収機能が低下するため、脂肪の多い菓子類で胃もたれや消化不良による下痢等を起こしやすいという人もいます。

高齢者にとってもお菓子を味わう時間は心が和み、食が細い人にとっては栄養補給の一環でもあります。

その様な場面でも和菓子は、脂肪が少ないので安心して口にする事ができ、後の食事の際にいがもたれて食がすすまないといった事が起こりにくいと言えます。

・洋菓子と和菓子の脂肪量の比較(一例)

カロリー 脂質
ロールケーキ 1切れ(96g) 251kcal 7.1g
どら焼き 大1個(95g) 257kcal 4.8g

和菓子はビタミン、ミネラル、お腹の調子を整える食材で作られている

和菓子に多く使用されるきなこ、寒天にはお腹の調子を整える食物繊維が、ごま、小豆等には食物繊維に加えカルシウムや鉄等のミネラルも含みます。

その他、さつまいもや抹茶には粘膜や細胞を健康に保つビタミン類が豊富です。

間食の本来の目的の一つに、3食の食事で不足するエネルギーや栄養素を補うといった事があるので、エネルギーの他にビタミンやミネラルといった栄養素を多く含む和菓子は、間食としても最適なお菓子とも言えます。

また、寒天は単体では低カロリーな食品で、便のかさを増やし排便を促す不溶性食物繊維と腸管からの糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な動きを和らげる働きを持つ水溶性食物繊維をバランス良く含みます。

・和菓子に使用される食材と身体に嬉しい栄養素

和菓子に使用される食材 豊富に含む栄養素 身体への働き
きなこ 大豆オリゴ糖、食物繊維等 お腹の調子を整える
ごま ビタミンB1、カルシウム等 疲れにくくする、骨や歯を健康にする
小豆 鉄、食物繊維等 貧血抑える働き、お腹の調子を整える
さつまいも ビタミンB6 、C、E、カリウム、食物繊維等 粘膜や細胞を健康に保つ、塩分の排出を助ける、お腹の調子を調える
抹茶 ビタミンA、E、K、葉酸等 粘膜や細胞を健康に保つ
寒天 食物繊維等 お腹の調子を整える、糖質の吸収を緩やかにする

和菓子は素材や見た目で季節感が感じられる

春には桜の葉を使った桜餅、秋には秋の味覚である栗やさつまいもを使ったようかんやおまんじゅう等、和菓子には季節の素材を味わえるものが多くあります。

また、和菓子屋さんに並ぶ練り切りや、透き通った見た目が涼し気な水まんじゅう等、見た目でも季節を感じる事ができます。

その他、お彼岸に食べられるおはぎ等といった季節の行事で決まって食べられるお菓子は各家庭で作られる事も多いので、高齢者にとって昔から生活の一部として馴染みがあるという一面もあります。

季節の和菓子は、その一品で食卓に彩りと季節感を添える事ができます。

高齢になると活動範囲が狭まり、家の外では季節の移ろいを感じにくくなり、気持ちが塞ぎ込みがちになる人も少なくありませんが、毎日のお茶請け等に季節を感じられる和菓子がある事で、気持ちが明るくなります。

高齢者の身体と心に嬉しい和菓子。こんな時におすすめ

高齢者の身体と心に嬉しい和菓子。こんな時におすすめ

ここまでは、和菓子が高齢者の身体と心に嬉しいその理由についてお伝えしてきました。

ここからはそんな和菓子の長所を高齢者の食事に取り入れたいおすすめの場面についてお伝えします。

胃もたれしやすく、1食が多く食べられない時や体調が優れない時の間食に

脂肪が少ない和菓子は、脂肪が多い洋菓子と比較して胃に留まる時間が短く胃腸に負担をかけにくいので、消化・吸収機能が低下し胃もたれしやすく食事量が減ってしまうといった人や体調が優れない時等の間食に適しています。

和菓子を間食として取り入れる事で胃腸に負担をかけずにエネルギー補給ができ、食事の時間になっても胃もたれして食事が進まないといった影響も出にくいと言えます。

和菓子はお茶と合わせて食べるイメージがありますが、食事量が減っている人等は牛乳や豆乳と合わせて食べるのもおすすめです。

和菓子のエネルギー源は主に糖質ですが、牛乳や豆乳と合わせる事でタンパク質と程よい脂肪が補え、間食としての栄養バランスが整います。

便秘がちな人やカロリー・血糖値を気にする人の間食に

お伝えしてきた様に、和菓子に使われる食材には食物繊維が豊富なので、便秘がちな人や最近血糖の数値が気になるといった人の間食としてもおすすめです。

便秘がちな人は小豆やさつまいも等に含まれる不溶性食物繊維により便のカサが増えると排便しやすくなります。

カロリーや血糖の数値が気になるという人には、低カロリーで水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を含む寒天を使用した豆かんやゼリー等がおすすめです。

寒天は単体ではカロリーがほぼ無く、水分に溶かして固めると低カロリーでも満足感を得る事ができます。

水溶性食物繊維が含まれている事によって、例えば水溶性食物繊維を含まないゼラチンのゼリー等と比較して糖質が緩やかに吸収され、急激な血糖値の上昇を和らげる働きがあります。

食卓に季節感を添えたい時や、日常の話題づくりに

高齢になり外出する機会が減ったり行楽をする機会が減ると、外の季節を感じにくくなります。

また、家にこもりがちになると毎日の食事を含めた生活が単調になり、知らずのうちに会話が減った、といった事はないでしょうか。

家で多くの時間を過ごす高齢者にとって季節を感じられる数少ないものの一つに食事があります。

食後のデザートやお茶請けに、季節を感じられる練り切りや、桜餅や栗まんじゅう、水羊羹等といったその季節ならではの和菓子を添える事で季節感を添える事ができます。

そこから季節の話題等の会話が生まれやすくなり、手作りの和菓子であればどうやって作ったか等といった事も話題となるでしょう。

自宅でも簡単に作れる和菓子のレシピ

ここからは、高齢者の心と身体に嬉しい、和菓子のレシピをご紹介します。

今回は市販のあんこ等を使用した簡単レシピとしていますが、もし高齢の方で小豆を煮てあんこを作っていたという方がいらっしゃれば、レシピを聞いてみるのも良いですね。

どら焼き

おなじみの和菓子、どらやきも自宅で作る事ができます。

白あん、抹茶あん、桜あん等好みのあんこでアレンジができます。カロリーアップしたい場合は、バターを一緒に挟むのもおすすめです。

どら焼き

<材料 (6個分)>
・小麦粉 70g ベーキングパウダー 5g(あわせてふるっておく)
・お好みのあんこ 150g程度
・卵 1個 砂糖 40g 牛乳 大匙1 はちみつ 大匙2◆
・サラダ油 小匙1

<作り方>
1.ボウルに◆を入れて混ぜる。
2.フライパンにクッキングペーパーで薄く油をひき、弱火で熱する。
3.②に①を大匙1ずつ流し、表面に穴が空いてきたら返して焼く。
4.同じ様にして12枚焼けたら冷ます。
5.④にあんこをはさんで完成

(1個分)185kcal タンパク質3.7g 脂質2.2g 塩分0.9g 食物繊維 1.7g

芋ようかん

素材の味を楽しむ事ができる芋ようかんは、寒天とさつまいもからそれぞれ水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が摂れる嬉しい和菓子です。

水の代わりに牛乳を加えて作るとスイートポテト風になり、タンパク質がアップします。

芋ようかん

<材料 (4人前)>
・さつまいも大 1本
・砂糖 50g
・粉寒天 2g
・水 100ml

<作り方>
1.さつまいもは皮をむいて輪切りにし、水にさらす。
2.①を水に濡らしたクッキングペーパーを敷いた容器に並べ、上からも濡れたクッキングペーパーをかけ、爪楊枝がすっと入る軟らかさになるまで600wのレンジで4分程加熱する。
3.②を潰し、ザル等で裏ごしする。
4.鍋に100mlの水を入れ、寒天と砂糖を入れ弱火にかけ、かきまぜながら一度度沸騰させる。
5.④に③を入れて混ぜる。
6.⑤の粗熱が取れたら型に流し入れ、表面を滑らかにして冷蔵庫で2時間程冷やし、固まったら切り分ける。

(1人分)約130kcal タンパク質0.8g 脂質0.1g 塩分- 食物繊維2.9g

おはぎ

お彼岸等に喜ばれる、おはぎの簡単レシピです。各ご家庭の味を、高齢のご家族に聞いてみるのも良いですね。

おはぎ

<材料 (約15個分)>
・精白米、もち米 各1合
・あんこ 400g
・黒すりごま 大匙2 砂糖 小匙1 塩 少々(合わせる)
・きな粉 大匙2 砂糖 小匙1 塩 少々(合わせる)

<作り方>
1.精白米、もち米をそれぞれ洗って30分置き、炊飯器の白米炊飯用の目盛りまで水を入れて炊飯する。
2.炊飯が終わったらご飯をすりこぎ等で7〜8割潰す。
3.②をあんこおはぎ用に2.5cm、きなこ・ごまおはぎ用に5cm大に丸める。
4.あんこはあんこおはぎ容器に50gずつ、きなこ・ごまおはぎ用なや25gずつに分けておく。
5.③を分けておいたあんこで包み、あんこおはぎにする。
6.きなこ・ごまおはぎは③を広げてあんこを包み、それぞれきなこ、ごまをまぶす。

(各1個分)あんこおはぎ 約230kcal タンパク質4.6g 脂質0.6g 塩分0.1g 食物繊維3.2g

きなこおはぎ 約130kcal タンパク質 3.3g 脂質1g 塩分 0.1g 食物繊維 2.1g

ごまおはぎ 約140kcal タンパク質 3g 脂質2.2g 塩分0.1g 食物繊維2g

水まんじゅう

見た目が涼しげな水まんじゅうは、和菓子の中でも脂質が少なく、低カロリーです。

食後にもあっさりと食べやすく、おもてなしにも喜ばれます。

水まんじゅう

<材料 (3個分)>
・片栗粉 20g
・水 200ml
・こしあん 15g(5gずつ3等分にしておく)
・砂糖 10g
・きな粉 小匙1
・おちょこまたはゼリーカップ 3個(水で濡らしておく)

<作り方>
1.片栗粉、水、砂糖を鍋に入れてよく混ぜる。
2.①を中火〜弱火にかけ、もったりと透明になるまで練る。
3.②を容器の1/3まで入れ、あんこを入れて残りの2/3を入れる。
4.冷蔵庫でよく冷やし、容器からはずし、きな粉をかける。

(1個分)約50kcal タンパク質0.8g 脂質0.2g 塩分- 食物繊維0.5g

かぼちゃきんつば

一見難しそうなきんつばも、作り方はシンプルで簡単なので自宅のフライパンで作れます。

今回は少し珍しいかぼちゃのきんつばをご紹介します。

かぼちゃきんつば

<材料 (5個分)>
・かぼちゃ 150g(皮をむく)
・砂糖 大匙2 はちみつ 小匙2 塩 少々
・小麦粉 50g 水90ml サラダ油小匙1/2◆(混ぜておく)
・焼き上げ用のサラダ油 小匙1/2

<作り方>
1.かぼちゃは600Wのレンジで約3分加熱し、爪楊枝がすっと入る様になったらつぶして裏ごしする。
2.①に砂糖、はちみつ、塩を加えて混ぜ、ラップを敷いたタッパーや型に入れて冷蔵庫で冷やす。
3.②をタッパーや型からはずし、食べやすい大きさに切り分けたら◆を全面に付ける。
4.フライパンに油を熱し、中火で全面焼く。

(1個分)約90kcal タンパク質1.4g 脂質1.1g 塩分0.1g 食物繊維1.3g

豆乳抹茶ぜんざい

温かくても、冷たくしても美味しく食べられるぜんざいです。

白玉だんごも絹ごし豆腐を使って軟らかく仕上げます。

豆乳抹茶ぜんざい

<材料 (4人分)>
・あんこ 100g
・抹茶 小匙1/2 片栗粉 小匙2、水 大匙1(水で溶く)
・砂糖 大匙1 豆乳 120ml
・絹ごし豆腐 150g
・コーンスターチ 30g
・砂糖 大匙1

<作り方>
1.絹ごし豆腐はザル等でこし、コーンスターチを混ぜ、600Wのレンジで2分半加熱し更によく混ぜる。
2.①を更に2分程加熱し、豆腐の粒がなくなるまで混ぜる。
3.②が冷めたら、手に水を付けて食べやすい大きさに丸めておく。
4.鍋に豆乳、砂糖、抹茶を入れ中火〜弱火にかけ、砂糖を溶かす。
5.④に水溶き片栗粉を加え、中火にかけながらよくかきまぜてとろみをつける。
6.器にあんこ、③、⑤を盛り付ける。

(1人分)約140kcal タンパク質4.5g 脂質2g 塩分- 食物繊維1.9g

黒糖ゼリー

黒糖のまろやかな味がほっとするゼリーです。飲み込みが不安な人にも安心な形態です。

黒糖ゼリー

<材料 (3人分)>
・黒糖 75g
・水 300ml
・ゼラチン 5g

<作り方>
1.鍋に水と黒糖を入れて中火〜弱火にかけ、沸騰させる。
2.粗熱が取れたらゼラチンを入れて溶かし、容器に流し込んで冷蔵庫で固める。
3.お好みでホイップクリームやきな粉をかける。

(1人分 ゼリー単体)約95kcal タンパク質1.9g 脂質- 塩分- 食物繊維

高齢者の心と身体を健やかにし、簡単に作れる和菓子に親しもう

和菓子は高齢者のお茶請けとしてのイメージがあり、その素朴な甘さは心を和ませてくれます。

それだけではなく、和菓子には脂肪が少なく胃腸に優しいという点や、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む食材を使用しているため間食での栄養補給、お腹の調子を整える、糖質の吸収を緩やかにするといった高齢者の身体に嬉しい特徴も合わせ持っています。

また、原料となる旬の食材や見た目等で季節を感じる事ができるのも和菓子の魅力の一つです。

この様な理由から、消化・吸収機能が低下し、脂肪が多い食べ物で胃もたれや消化不良を起こしやすい高齢者の栄養補給として和菓子は適しており、便秘がちな人や血糖値を気にする人にも嬉しいお菓子と言えます。

高齢者になると外出や行楽の機会が減る事で季節を感じにくくなったり、毎日が単調になり会話が減りがちですが、和菓子で食卓に季節感を添える事で気持ちを明るくさせ、季節の話題として会話が生まれやすくなり、手作りの和菓子はその作り方等も話題にする事ができます。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士