高齢者が食事を作れない場合の対処法は?簡単レシピもご紹介

離れて暮らす高齢のご家族が、最近同じ物しか食べていない様だとか、冷蔵庫の中で食材が傷みがちである、台所に洗い物が溜まりがちといった事があれば、それは自身で食事を作る事ができなくなってきているサインです。

この状態が長く続くと、栄養の偏りによる身体の衰弱や、食材や火の不始末による事故、家の中の衛生状態の悪化といった事に発展する事が多くあります。

そのため特に高齢者のみの世帯では、今まで食事の用意をしていた妻が亡くなったり重い病気にかかり食事の用意をする人がいなくなった場合や、例としてお伝えした食事を作る事ができなくなってきているサインが見られる様になった時は、早急な対処が必要です。

今回本記事では、栄養の偏りや食材の保存、火の不始末とたいった高齢者が食事を作れなくなった時の問題点を更に掘り下げ、それを解決するための対処法と食事のサポートをする人と高齢者、どちらにも役立つレシピをご紹介します。

最近は高齢者向けの食品やサービスも便利なものが増えているので、サポートする側もまずはできる事から始めましょう!

高齢者が食事を作れなくなった時の問題点は主に3つ

高齢者が食事を作れなくなった時の問題点は主に3つ

高齢者が食事を作れなくなる背景には食事を用意する人がいなくなったという事の他、その人自身の身体機能や認知機能が下がってきている事が多いので、食事が作れないだけではなく食材の準備、保存や火の取り扱い、食事の後片付け等、食事に関連する全ての行動が難しくなっている場合もあります。

ここでは高齢者が食事を作れなくなった時、その問題点についてお伝えします。

栄養が偏る

食事が作れなくなると、例えばご飯と漬物だけ、菓子パンだけといった内容の食事が続く事が多く、加熱調理が必要な肉や魚、卵や野菜等を食べる機会が少なくなりがちです。

肉や魚、卵等を食べない事によって体の組織や筋肉を維持するたんぱく質が不足し、全身の栄養状態が悪くなる事で筋肉が痩せて活動量が低下したり、野菜を食べない事で食物繊維が不足し便秘を引き起こす事もあります。

また、肉や魚、卵や野菜には脂肪やビタミン等肌をはじめとした細胞の健康や栄養素を全身に運ぶ機能がある栄養素も多く含まれるため、不足する事で肌がかさつく、床ずれができやすくなる、食事を摂っているのに活動量が低下してくる、といった事が起こりやすくなります。

食材の保存や火の始末ができない

この章の冒頭でお伝えした様に食事づくりができなくなるという事は、それに関連する行動が難しくなっている事が多くあります。

食事づくりに無頓着になる事により食材を賞味期限、消費期限内に使い切る事ができなかったり、冷蔵保存が必要な食品を常温放置して傷ませてしまうといった事もあります。

また、認知機能の低下によりインスタントラーメン等を食べようとしてお湯を沸かしたまま忘れてしまったり、ガスの消し忘れ等の火の始末ができなくなっていて心配されるご家族も多くいます。

この様な問題は、傷んだ食品を食べた事による食中毒や、火の不始末による火災等、命に関わる事態に発展する事があるため、早急な対処が必要です。

洗い物等で台所に立つのも負担になる

身体機能の低下がある場合等は、食べ終わった後の食器洗い等で台所に立つ事も負担となる場合が多くあります。

そのため、1人暮らしや高齢者のみの世帯では特に、台所のシンクに洗い物が溜まってしまったり、食卓の上に食器が置いたままになってしまうといった事もあります。

その結果、台所や部屋の衛生状態が悪くなり、ハエやゴキブリ等の害虫が発生しやすくなります。

高齢者が食事を作れない場合の対処法は主に5つ

高齢者が食事を作れない場合の対処法は主に5つ

ここからは、高齢のご家族が食事を作れなくなり、食事の用意ができる人が離れて暮らしていたり、他のご家族もお仕事等で家を空ける事が多い場合の対処法をお伝えします。

食事が作れなくなった理由や、その方の身体機能や認知機能の状態、主治医からの食事制限の有無等によって最も適した対処法が異なるので、その対処法について適した身体機能、認知機能の状態、環境等についてもお伝えします。

作り置きおかずを届ける

比較的ご家族が近くに住んでいる場合や、仕事等で家を空ける事はあっても同居をしている場合等には作り置きおかずを届けたり、作り置きおかずを小分けにし、冷凍保存して高齢者の方が食べたい時に食べられる様にするといった方法があります。

作り置きする事で毎食の食事の準備の負担が軽減される他、食べる側にとっても手作りのお惣菜のあたたかみを感じる事ができます。食べる前の再加熱や、食べ終わった食器やタッパー等の洗い物が出る他保存状況も確認が必要なので、1人暮らしの場合は比較的身体機能や認知機能が保持されているか、他のご家族が頻繁に様子を伺える環境が望ましいでしょう。

作り置き置きおかずのレシピは、こちらの記事でご紹介しています。

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ヘルパー等に調理を依頼する

身体機能な認知機能の低下が著しい場合等は、お住まいの市区町村の窓口に要介護認定の申請をし、ヘルパーに介入してもらうといった方法もあります。

ヘルパーが介入している時間は、食材の買い出しや調理、後片付けまで依頼ができ、高齢者が1人になる事がないので安心感があります。ヘルパーが介入しない夜間等は他のご家族が食事の用意をしたり、宅配サービスを利用する等、人手や手段について補填が必要です。

包丁や火を使わなくても良い食材、器具を揃える

身体機能の低下はあっても、認知機能が比較的保持されていて簡単な盛り付け等が可能である場合には、カット野菜や缶詰、小分けパックの豆腐等包丁や火を使わず、洗い物も少なくて済む食材を揃えるといった方法があります。

高齢になり身体機能が低下しても、「自分で食事の用意をしたい」という意思を持っている人は多いものです。食事の用意を自分でできるだけでも、生活が活性化しやすくなります。

また、包丁の使用は手元が不安といった場合でも、食材専用のキッチンバサミを用意すれば、長さのある麺類や野菜等を簡単にカットする事ができます。1人暮らしや高齢者のみの世帯では、食材の調達には食材の宅配サービスが便利です。

レトルト介護食や惣菜を利用する

洗い物の負担を減らしたい場合等には、市販のレトルト介護食や惣菜を利用するといった方法もあります。

特に噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合には、予め舌や歯茎でつぶせる柔らかさに調理され、長期保存が可能なレトルトの介護食が重宝します。

レトルトの介護食は加熱せずに食べられるものや、食器になるカップ付きのもの等便利な商品も多くあります。

他のご家族が買い出しが可能な場合は市販のお惣菜も程よいサイズ感で洗い物も出ず便利ですが、噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合は硬い食材を避けて選ぶ等の工夫が必要です。

食事の宅配サービスを利用する

最近人気の食事の宅配サービスは、配達の際に配達員が高齢のご家族の様子を伺ってくれるサービスがある会社もあり、1人暮らしの高齢者のご家族にとっても安心感があるサービスです。

食事の宅配サービスのメリットは、柔らかく食べやすいシリーズや、管理栄養士が献立を監修し、栄養価が計算されたカロリーや塩分が調整されたシリーズ等、噛む力や飲み込む力が低下していたり、持病のため主治医から食事のカロリーや塩分等に指示がある場合にも安心して食べられる事です。

食事を作る事ができなくなった高齢者に限らず、仕事が忙しい働く世代にも人気のサービスです。

すぐ食べられる、簡単レシピ

すぐ食べられる、簡単レシピ

ここからは、火や包丁を使わずに缶詰やお惣菜をアレンジしてすぐ食べられる、簡単なレシピをご紹介します。

高齢者の方が、いつものお惣菜や食材に飽きてしまった時や、栄養をアップさせたい時にもおすすめです。

そうめんチャンプルー

単品のそうめんは栄養が炭水化物に偏ってしまいがちですが、具材と合わせる事で栄養価を上げる事ができます。既製品のそぼろを使った手軽なレシピになっています。

トマトにも火が入り、食べやすく仕上がります。

<材料(1人分)>
・ゆでそうめん 1人分
・ミニトマトまたはカットトマト 3個程度
・鶏そぼろ瓶詰め 大さじ2(ツナ缶等でも代用可)
・ごま油 小さじ1
・めんつゆ 大さじ1
・青味 お好みで

<作り方>
1.ゆでそうめんは必要に応じてキッチンバサミで食べやすい長さにカットする。
2.耐熱容器に青味以外の材料とごま油、めんつゆを入れて混ぜ、600Wのレンジで1分、更に3.中身を混ぜて1分加熱する。
4.好みでカット葱等の青味を添える。

(1人分)約390kcal 塩分1.5g

肉じゃがのスコップコロッケ

口を開けにくい方や噛む力が弱くなった方にもおすすめな、お惣菜の肉じゃがを潰して作る、スプーン等ですくって食べられるコロッケです。

肉じゃがのスコップコロッケ

<材料(1人分)>
・お惣菜の肉じゃが 1人分
・マヨネーズ 小さじ1
・パン粉 小さじ2
・ソース 適量
・アルミグラタン容器等1個

<作り方>
1.肉じゃがはフォークの背等で潰し、耐熱容器(アルミ容器等)に移す。
2.①の上にマヨネーズを広げる。
3.②の上からパン粉をかけ、トースターでパン粉が色付くまで2分程焼く。

(1人分)約210kcal 塩分1.9g

鰯缶のマヨネーズ焼き

鰯の缶詰の洋風アレンジレシピです。ミニトマトも一緒に加熱する事で柔らかくなり、高齢者も食べやすくなります。

噛む力に問題が無い方は、冷凍ブロッコリーやカットきのこを加えても美味しいです。

鰯缶のマヨネーズ焼き

<材料(1人分)>
・鰯の缶詰 1/2缶
・マヨネーズ 小さじ1
・ミニトマト 2個
・塩、胡椒 少々
・アルミグラタン皿等1個

<作り方>
1.耐熱容器(アルミ容器等)に鰯の缶詰を入れ、上からマヨネーズと塩胡椒をふる。
2.ヘタを取ったミニトマトも容器に入れ、7〜8分トースターで焼く。

(1人分)約125kca l塩分1.4g

お惣菜の卵とじ

しっかり味のお惣菜と混ぜるだけで、複雑な味付けをしなくても美味しく食べられる卵とじです。卵を加えるので簡単に良質なたんぱく質が補えます。

お惣菜の卵とじ

<材料(1人分)>
・お惣菜1パック(煮物やお浸し、和え物等)
・卵 1個

<作り方>
1.耐熱容器に卵を割りほぐし、お惣菜も汁ごと卵の中に入れて混ぜる。
2.容器にふんわりとラップをして、600Wのレンジで1分30秒〜2分加熱し卵に火を通す。

(1人分:ひじきの煮物で作った場合)約230kcal 塩分1.7g

豆腐のとろろグラタン風

ふんわりとした口当たりで噛む力が弱い方や飲み込む力が弱い方も安心して食べられる一品です。

食材にかけるだけで口当たりを良くするとろろは、食べたい時に小分けで解凍できる冷凍タイプが便利です。

豆腐のとろろグラタン風

<材料(1人分)>
・パック絹豆腐1パック(150g程度)
・冷凍とろろ 1パック(50g程度)
・めんつゆ 大さじ1
・ピザ用チーズまたはとろけるチーズ 15g

<作り方>
1.冷凍とろろは解凍し、めんつゆと合わせておく。
2.アルミグラタン皿等に豆腐をスプーンで崩しながら入れる。
3.②に①をかけ、更にチーズをのせてチーズがとろけるまでトースターで焼く。

(1人分)約190kcal 塩分1.8g

カロリー-塩分計算参考:女子栄養大学出版部 7訂 食品成分表2019
女子栄養大学出版部 調理のためのベーシックデータ 第5版

高齢者が食事が作れなくなったサインを見逃さず、その人に合った食事の準備を

高齢者が食事を作れなくなってきたサインは、例えばご飯と漬物、菓子パンだけ等同じものを続けて食べていたり、冷蔵庫の食材が傷みがちである、洗い物がシンクに溜まるようになってきた、といった事が挙げられます。

高齢者が食事を作れなくなると、栄養が偏った内容の食事を食べ続ける事で栄養状態が低下し、筋肉がやせて活動量が減ったり、既に身体機能や認知機能が低下している事で食材を傷ませたり、火の不始末による事故が起こる危険性がある他、台所や部屋の衛生状態を保つ事が難しくなります。

高齢者か食事を作れなくなった場合、その人の生活環境や身体機能、認知機能の状態によって適した対処法が異なります。

高齢者が食事を作る人と同居している場合や1人暮らしもしくは高齢者のみの世帯であっても頻繁に様子を見に行く事が可能な場合には作り置きのおかずを届けたり、身体機能や認知機能の低下が著しい場合には介護認定の申請をし、食事の用意やそれに関連する事に対してホームヘルパーに依頼するといった方法もあります。

その他、レトルトの介護食や惣菜の利用、カット野菜や缶詰等そのまま食べられる食材やキッチンバサミ等の包丁に代わる便利な器具を用意する事で対処が可能な場合もあります。

特に、噛む力や飲み込む力が低下している場合や持病があり、主治医から食事についてカロリーや塩分等の指示がある場合は、食形態に配慮されていたり、栄養価が計算されている食事の宅配サービスがおすすめです。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士