高齢者の朝食はパン献立が人気!献立・調理のポイントをご紹介!

ある企業の調査では、朝食にパンを食べる高齢者がご飯を食べる高齢者の比率を上回る等、「朝食はパン派!」の高齢者が増えつつあります。

その様な背景もあり、病院や高齢者施設においても、朝食時にパン献立が選択できるといった取り組みが行われています。

この記事を目に留めて下さったあなたも、ご自宅で介護をしている高齢のご家族が朝食にパンを食べる事が多いのではないでしょうか。

もしくは、いつもの朝食がマンネリ化してきて、少し目先を変えたいといった気持ちがあるのかもしれませんね。

しかし、高齢者に人気がある「パン献立の朝食」ですが、食べ慣れた和食の献立とは違い、おかずの内容や組み合わせ、品数といった献立の立て方に悩むという相談も多く寄せられます。

また、パンを高齢者が希望しても、その人の飲み込む力の状況によっては喉に詰まらせてしまうのではないかといった不安の声も少なくありません。

パン献立もその内容によって栄養面や安全面が左右されるため、献立作りや調理のポイントを押さえる事が大切です。

本記事では高齢者に喜ばれ、健康を支えるパン献立の作り方や調理のポイントについてお伝えします。

高齢者が朝食にパンを食べる時にチェックしたいポイント 3つ

パン献立色々

高齢者の朝食として人気のパン献立は手軽に食べられるのが魅力ですが、栄養のバランスや食形態について不安に感じている人は多くいます。

ここでは、高齢者が朝食にパンを食べる時にチェックしたいポイントをお伝えします。

チェックポイント①パンの他にもおかずは揃っている?

パン献立の朝食といえば、どの様なメニューが思い浮かぶでしょうか?

実際に私が栄養相談等でお話を伺っていると、高齢者に限らず「トーストとコーヒーのみで済ませている」「菓子パンで済ませている」といったケースが非常に多くあります。

そして高齢者は特に加齢によって食が細くなる人も多く、この様な傾向が強くなりがちです。

しかし、この様な朝食のメニューでは、タンパク源となる主菜やビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源となる野菜が不足し、栄養状態や免疫力の低下、便秘等といった体調不良に繋がります。

パン献立の朝食も、主菜や副菜等のおかずが揃っているかチェックしましょう。

チェックポイント②高齢者にとっても食べやすい食感?

高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなり、唾液の分泌量も減少します。

そのため、パンの耳等の硬い部分は噛み切る事が難しく、パン自体は水分が少ないので高齢者にとって飲み込むのに苦戦する食品でもあります。

高齢者や子供がパンを喉に詰まらせるという事故も耳にするので、高齢者にパンを食べてもらう事に不安を感じている人も多いのではないでしょうか?

高齢のご家族が安全に、スムーズに食事をするためにもパンを食べる時に時間がかかりすぎていないか、ムセたりしていないか、パンの耳やトースト等硬い部分が残っていないかといった事をチェックして、その人にとってパンはそのままでも問題なく食べられるのか、食べやすい形態にするために調理の工夫が必要なのかといった事を判断する事が大切です。

チェックポイント③充分な量は食べられている?

あなたは、ご飯1膳分のカロリーをパンに置き換えるとどれくらいの量になるか知っていますか?

ご飯1膳分を約150gとすると、それに相当するパンの分量は6枚切りの食パンであれば1.5枚、8枚切りであれば2枚です。

もしこれよりも少ない分量で食事を済ませている場合は、主食としてのカロリーやエネルギー源となる炭水化物が不足しているという事になります。

あなたが介護している高齢のご家族は、朝食にパンを食べる時に充分な量は食べられているでしょうか?

8枚切りであってもパンを2枚食べるというのは、おかずも合わせると一般的な成人でもしっかりとした量がある食事に感じるのではないでしょうか。

主菜や副菜のおかずも合わせて、パンを主食として充分な量を食べるのが難しい場合は、カロリーや炭水化物を補う工夫が必要です。

高齢者が朝食にパンを食べる時の献立・調理のポイント

高齢者が朝食にパンを食べる時の献立・調理のポイント

高齢者の朝食として人気のパン献立ですが、ここまでお伝えしてきた様に栄養面や安全面を考慮すると、パン以外のおかずを揃える事や、食べやすい形態に調理の工夫が必要な場合もある事、カロリーや炭水化物が不足しない様な食べ方をする等といった課題もあります。

そしてその課題をクリアする事でパン献立は高齢者の健康を維持する事ができる、より魅力的な朝食になります。

ここからは、高齢者が朝食にパンを食べる時の献立や調理のポイントについてお伝えします。

主食がパンの時も、タンパク源や野菜を揃える

既にお伝えしてきた様に、パンを主食とした献立でおかずが揃っていないと、タンパク質やビタミン・ミネラルの不足により栄養状態や免疫力の低下、便秘等の体調不良に繋がります。

そのため、パン献立でもご飯の献立と同様、タンパク源や野菜のおかずを揃える事が大切です。

タンパク源は肉、魚、卵、大豆製品を握りこぶし大の大きさを目安に摂りましょう。

また、不足しがちなタンパク源を補ったり、カルシウムを補給する役割を担ってくれる牛乳やヨーグルト、チーズ等はパンとの相性も良いので積極的に取り入れるのがおすすめです。

1食に摂りたい野菜の量は生野菜であれば両手に一杯分、火を通したものであれば片手一杯分が目安です。

たっぷりの野菜を柔らかく煮込んだスープや、ツナや卵等のタンパク源と野菜を具材にしたサンドウィッチ等は手軽に野菜を取り入れる事ができます。

噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合は、水分や油分で軟かくする

噛む力や飲み込む力が弱くなり、パンの耳が硬くて食べられない、パンそのものがパサついて飲み込む事ができないといった場合は、高齢者でも食べやすい、軟かく口当たりの良い食感に調理をする事が必要です。

調理の工夫としては、パンの耳を取り除き、スープや卵液等の水分を含ませて軟かくするといった方法や、マヨネーズやバター等を塗ってサンドウィッチにし、口の中でしっとりとまとまり、喉越しも良く仕上げるといった方法があります。

調理例として、フレンチトーストやパンプディング、パンの耳をはずしたサンドウィッチ等は高齢者にも食べやすい形態に調理がしやすい他、卵や乳製品等でタンパク質を補う事もできおすすめのメニューです。

食事量が少ない場合は、おかずや間食で炭水化物を補充する

パンはご飯よりも軽く、ご飯1膳分量と同じエネルギーや炭水化物を摂ろうとすると6枚切りの食パンであれば1.5枚、8枚切りであれば2枚食べる必要があります。

しかし、食が細くなりがちな高齢者にとってはこの様な枚数のパンを食べる事が難しい事も多いでしょう。

その様な場合は、例えばサラダやスープにマカロニ等を加える、間食で小さなおにぎりを食べる等、パン以外のおかずや間食で不足しているカロリーと炭水化物を補充するための工夫が必要です。

また、菓子パンも高齢者に人気があり、手軽にカロリーを摂る事もできますが、砂糖や油脂が大量に含まれるため食事全体のバランスが乱れやすくなるので主食としては不向きです。

菓子パンはできれば小さなサイズにとどめ、間食で食べるようにしましょう。

栄養がしっかり摂れる、おすすめパン献立

ここからは、栄養がしっかり摂れるおすすめのパン献立をご紹介します。

高齢者にも食べやすい、品数を抑えながらタンパク源や野菜等の栄養を手軽に摂れるメニューをご紹介していますので是非ご活用下さい。

フレンチトーストの献立

フレンチトーストの献立

高齢者にも食べやすい、口当たりの良いフレンチトーストの献立です。

パンの分量がやや少なめなので、スープにマカロニを加えてカロリーと炭水化物を補っています。

フレンチトースト

<材料 1人分>
・食パン6枚切り1枚(耳を取って4等分にする)
・卵 1個 牛乳100ml 砂糖 小匙1◆
・バター 大匙1/2

<作り方>
1.◆を混ぜて卵液を作り、食パンを浸して吸収させる。
2.フライパンにバターを熱し、弱火〜中火で両面を焼く。

蒸し鶏と野菜のサラダ

<材料 1人分>
・鶏胸肉 40g
・人参、かぶ 各40g
・ブロッコリー 20g
・ポン酢 大匙1

<作り方>
1.野菜と鶏胸肉をそれぞれジッパーパックに入れ、パックが浸るくらいの水を入れて炊飯器で蒸す。
2.鶏胸肉は蒸し上がったら手でほぐし、野菜と一緒に盛り付けてポン酢をかける。

マカロニ入りミネストローネ

<材料 1人分>
・ミックスベジタブル 大匙1
・トマトジュース 130ml
・コンソメ 小匙1/2
・オリーブオイル 小匙1
・マカロニ(乾) 5g→茹でておく
・塩・胡椒 少々

<作り方>
1.鍋にオリーブオイルを熱し、ミックスベジタブルを炒める。
2.①にトマトジュースを入れ、沸騰したらコンソメを入れて溶かす。
茹でたマカロニを加え、塩・胡椒で味を調える。

(1食分)約550kcal タンパク質29g 塩分3.5g

ロールパンサンドの献立

ロールパンサンド

パン献立はサンドウィッチにする事で手軽にタンパク源や野菜を摂る事ができます。

バターロールは口溶けが良く、高齢者にも食べやすいパンですが、マヨネーズを内側に塗り、しっとりとさせる事でより食べやすくなります、

卵とツナのロールパンサンド

<材料 1人分>
・パターロール 2個
・卵 1個(茹でて潰す) マヨネーズ 小匙1 塩・胡椒少々◆
・ツナ 30g
・玉ねぎ 10g(みじん切り)
・胡瓜(皮を剥いてみじん切り) 1/4本分
・パンに塗るマヨネーズ 小匙2

<作り方>
1.バターロールは背に切り目を入れ、マヨネーズを塗る。
2.◆を合わせておく。
3.ツナと玉ねぎを混ぜておく。
4.①にそれぞれ胡瓜を挟み、卵サラダ、ツナに分けて挟む。

野菜スープ

<材料 1人分>
・お好みの野菜 合わせて50g程度
・水 150ml
・コンソメ 小匙1/2

<作り方>
1.水を鍋に沸かし、お好みの野菜を柔らかくなるまで煮る。
2.コンソメを溶かして味付けする。

バナナヨーグルト

<材料 1人分>
・バナナ 1/2本
・プレーンヨーグルト80g

(1食分)約590kcal タンパク質25g 塩分2.6g

※高齢者が1日に必要とする栄養量は体格や活動量によって個人差がありますが、本記事ではエネルギー1500kcal前後、タンパク質60g前後、 塩分8g以下を目安としています。

高齢者の朝食で人気のパン献立で、美味しく健康サポートしよう!

近年、高齢者の朝食としてパン献立が人気です。その背景もあり、病院や高齢者施設においても、朝食時にパン献立が選択できるといった取り組みが行われています。

しかし、高齢者に人気がある「パン献立の朝食」ですが、献立の内容によっては栄養のバランスが乱れやすい、その人の噛む力や飲み込む力によってはパンが食べにくい、パンは主食として充分な量が食べられていないケースもある等、パン献立はその内容によって栄養面や安全面が左右されるため、献立作りや調理には工夫が必要です。

パン献立で栄養のバランスを整えるためには、トーストとコーヒーの様なメニューではなく、パンの他にタンパク源や野菜を使ったおかずや乳製品を揃える事が大切です。

噛む力や飲み込む力が低下し、パンが食べにくい場合は、硬くて食べにくいパンの耳は取り除き、卵液やスープ等で水分を含ませフレンチトーストにしたり、バターやマヨネーズを塗って口の中でしっとりまとまりやすくするといった方法があります。

普段主食として食べるご飯1膳分に相当するパンの分量は、食パンであれば6枚切り1.5枚、8枚切り2枚程になります。

パンだけで充分な主食量を食べられないという場合は、おかずや間食でカロリーや炭水化物を補う必要があります。

また、甘くて手軽にカロリーが摂れる菓子パンも高齢者に人気がありますが、砂糖や油脂類が多く食事の栄養バランスを乱しやすいため、主食には不向きです。食べるのであればできるだけ小さめのものを間食として取り入れましょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士