高齢者の食事、とろみ付けにありがちな失敗は!?正しいポイントを解説!

高齢になると、食べ物や水分を飲み込む力が弱くなる傾向があるため、食べ物や水分が誤って気管に流れ込んでしまう誤嚥を起こしやすくなります。

それを防ぐために、口の中でばらけやすい食べ物や粘度が少ない水分には多くの場合、片栗粉等のでんぷんや介護用のとろみ調整食品でとろみ付けが施されます。

しかし、自宅介護において、「とろみ付けが思う様に上手くいかない」といった声も多く聞かれます。

とろみが付きすぎる、食べる時には緩んでしまうといった状況は、高齢者にとってかえって危険な事もあります。

今回本記事では高齢者の食事にとろみを付ける際にありがちな失敗と、それを防ぐためのポイントについてお伝えします。

高齢者の食事、とろみ付けに起こりがちな失敗3選

高齢者の食事、とろみ付けに起こりがちな失敗3選

高齢者の食事にとろみを付ける際にはとろみを付ける食品の分量や何でとろみを付けるかによってとろみ付けに必要な片栗粉やとろみ調整食品の使用量やとろみを付けた後の性質も異なります。

そのため、適当な粘度のとろみが付かない、とろみが一定しない等の失敗も起こりやすくなります。

本章では、高齢者の食事にとろみを付ける際に起こりがちな3つの失敗をご紹介します。

とろみが付きすぎる

高齢者の食事にとろみ付けをする際に起こりがちな失敗の一つに、実際に食事をする際にとろみを確認すると、とろみが付きすぎてしまっていたという事があります。

とろみが付きすぎる事で口の中に張り付きやすくなったり、粘度が高くなった食品が喉を塞いで詰まってしまうといった危険な状況に陥る事もあります。

そのため、とろみ付けに慣れないうちは自分の感覚でとろみ剤等の使用量を安易に追加する事は避け、料理に使用されている食材の特性も理解をした上でとろみを付けるタイミング等も考慮していく必要性があります。

とろみを付けたが食べる頃に緩んでしまう

食事が出来上がってすぐ適度なとろみを付けたものの、食べる頃にはとろみが緩んでしまった、水分が分離してしまうというトラブルもよく聞かれるトラブルの一つです。

この様なトラブルは片栗粉等のでんぷんやゼラチンを使ってとろみ付けをした際に起こりがちですが、とろみが緩み粘度が少なくなったり消えてしまう事で食事や水分が誤って気管に流れ込みやすくなるため、誤嚥が起こりやすくなり危険です。

そのため、とろみを付けた後食べるまでの時間に配慮したり、とろみ付けをしてから食べるまでに時間が空く場合にはとろみ付けに使う食品を吟味する必要があります。

いつもとろみ具合が一定しない

食事や水分にとろみを付ける際に、いつもとろみ具合が一定しないというお悩みもよく聞かれます。

この場合、とろみが上手く付かないからといって後からとろみ付けのための食品を加えるとダマになり喉に詰まりやすくなるため、最初からとろみ付けをやり直す必要性があります。

そのため、とろみ付けに時間がかかってしまう他、一定ではないとろみの食事や水分が口の中に入る事で、むせやすくなるという危険性も増加します。

料理や水分ととろみ剤の分量的な基準が分かりやすい容器等を使ってとろみ付けをする事や、飲み物のとろみ付け一つをとっても、水やお茶、果汁や牛乳とその種類によって特性が異なるため、特性を理解した上でとろみ付けをする事が大切です。

高齢者の食事にとろみを付ける際の正しいポイントは!?

高齢者の食事にとろみを付ける際の正しいポイントは!?

前章では、高齢者の食事にとろみ付けをする際に起こりがちな失敗についてお伝えしました。

しかし、とろみ付けに使用する片栗粉やとろみ調整食品の特性を知る事や、とろみ付けをする際の分量的な基準を明確にする等のポイントを押さえる事によってとろみ付けの失敗を減らす事ができます。

本章では高齢者の食事にとろみを付ける際の正しいポイントについてお伝えします。

とろみ剤はしっかり溶かしてから粘度を確認する

食事や水分にとろみ付けをする際にとろみが付きすぎる原因には、とろみ付けに使用するとろみ調整食品が完全に溶けていない状態でとろみ調整食品を追加してしまった時に起こりがちです。

また、芋類等のでんぷん質を多く含む料理は温度が下がると食品自体から溶け出たとろみも加わるため、熱いうちにとろみを付けてしまうと冷めた時にとろみが付きすぎてしまうといった事もあります。

特に、とろみがなかなか付かない場合に後からとろみ付けに使用するとろみ調整食品やデンプン食品を加えるとダマになる事も、とろみ調整食品を使用する場合は説明書の分量を守った上で、とろみ調整食品が完全に溶けているか確認し、とろみを安定させるため2〜3分置いた上で粘度を確認しましょう。

とろみ調整食品を溶かす際は、ただぐるぐるかきまぜるのではなく、上下にスプーン等を動かして撹拌する様にすると溶けやすくなります。

それでもとろみが不足していると感じる場合は、とろみ剤の分量を増やしてとろみ付けを最初からやり直すか、やや強めのとろみ付けをした煮汁や水分を足して調整しましょう。

芋類等を使用した料理にとろみ付けをする際は、一度冷ましてから食べる直前に必要であればとろみ付けを行いましょう。

食べるまで時間が空く場合は、片栗粉、ゼラチンでのとろみ付けは避ける

前章では食事にとろみ付けをしてから食べるまで時間が空く場合、片栗粉やゼラチンでとろみ付けをした場合には時間の経過と共にとろみが緩んでしまう事があるとお伝えしました。

特に煮物やあんかけ等の比較的水分が多い野菜類や豆腐等を使用した料理に片栗粉でとろみをつけると、時間の経過と共に野菜から出た水分によってとろみが緩んでしまいます。

また、ゼラチンでゼリー状にした水分等は室温で放置したり、口の中に留まる事で液体に戻る性質があり、誤嚥の危険性が高まります。

一方で、介護用のとろみ調整食品は使用量を守り、充分に溶かして使用すれば時間の経過や温度変化によるとろみの変性は起こりにくいという特徴があります。

とろみを付ける食品に対する使用量や使用上の注意点は製品により異なるため確認が必要ですが、とろみ付けから提供、喫食まで時間差がある場合は片栗粉やゼラチンでのとろみ付け、固形化は避け、とろみ調整食品を使用するのが安心です。

同じ容器・器具を使ってとろみ付けをする、とろみが付きにくい食品を把握する

食事や水分に付けたとろみが一定しないというトラブルの原因は様々あり、とろみを付けたい食事や水分の量が一定ではない、とろみ付けを行うとろみ調整食品がきちんと軽量できていない、食品の特性が把握できていないといった事が挙げられます。

それを解消していくためには、一度器やコップ等の容量を水等で正確に測り、とろみ付けを行う食品や水分はその器やコップを使用するという方法があります。

そうする事で、とろみ付けに必要なとろみ調整食品の分量も正確に軽量しやすくなります。

また、とろみ調整食品等をを加えた後に撹拌するための器具も、小さい泡立て器なのか、スプーンなのか、箸なのかによってもとろみが付くまでの時間に差が出る事があるので、撹拌に使う器具も同じものを使うのがおすすめです。

また、お茶や水と比較して牛乳や果汁はとろみが付きにくいという特性があります。

この場合は安易にとろみ調整食品等を追加するのではなく、一度分量に応じたとろみ調整食品等を計量して加えよく攪拌した後、5〜10分時間を置いて再び撹拌する事でとろみが付きます。

高齢者の食事は正しいとろみ付けで初めて安全に食べられる!

高齢になると、食べ物や水分を飲み込む力が弱くなる傾向があります。

そのため、食べ物や水分が誤って気管に流れ込んでしまう誤嚥を防ぐために口の中でばらけやすい食べ物や粘度が少ない水分には多くの場合、片栗粉等のでんぷんや介護用のとろみ調整食品でとろみ付けが施されますが、とろみが付きすぎてしまう、食べる頃に緩んでしまう、とろみが一定しないという失敗も起こりがちです。

この様な状況は、誤嚥の危険性を高めてしまうため対策が必要てす。

対策としてはとろみ付けに使用する食品をよく溶かす事や、とろみ付けをしてから食べるまで時間が空く場合にはとろみが変性しやすい片栗粉やゼラチンの使用は避ける事、一定の粘度でとろみ付けをするために同じ器やコップ、器具を使用する事、牛乳や果汁等のとろみが付きにくい食品を把握し、その特性に適したとろみ付けを行う必要性があります。

飲み込む力が弱くなりがちな高齢者が安心して食事をするために食事や水分へのとろみ付けをする場合は、正しい方法で行われる事が必要不可欠です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士