高齢者でも食べやすい柔らかい肉料理、どう工夫する!?管理栄養士が解説!

肉は身体の中で効率的に利用される良質なタンパク質を多く含み、近年は高齢者の寝たきり予防等を含めた健康維持、増進の観点でも注目されています。

高齢者が肉を食べる場合、「硬くて噛み切れない」「ぱさついて飲み込みにくい」といった食べにくさが問題として挙げられる事が多くあり、もともと肉料理が好きだった高齢者も加齢により噛む力や飲み込む力が弱くなった事て肉料理を楽しめなくなったという人も少なくありません。

しかし、肉は下処理や調理の工夫によって柔らかく仕上げる事ができ、高齢者も楽しむ事ができるのです。

今回本記事では高齢者も安全に楽しめる、肉料理を柔らかく仕上げるポイントについてお伝えします。

高齢者が肉料理を食べにくく感じる理由3選

高齢者が肉料理を食べにくく感じる理由3選

肉は部位や調理法によって弾力があったり、ぱさつきがちになったりする事もあります。

その様食感が、噛む力や飲み込む力が弱くなった高齢者にとって食べにくさに繋がります。

本章では高齢者が肉料理を食べにくく感じる理由についてお伝えします。

弾力のある肉は噛み切りにくい

高齢者に肉料理が敬遠される理由として多く挙げられるのが、「硬くて噛み切れない」といった点です。

高齢になると入れ歯が合わない、顎の筋肉が衰えるといった理由で噛む力が弱くなる他、肉を加熱する事で弾力が増し、より噛み切りにくい硬さとなってしまうのです。

この場合、充分に噛み切らずに飲み込もうとする事で喉に詰まったり、よく噛まずに飲み込んでしまう事で消化不良に繋がりやすくなります。

それを防ぐためには、調理後に噛み切りやすい大きさにカットし提供する他、次の章でお伝えする下処理や調理の工夫によって加熱しても柔らかく噛み切りやすく仕上がる様な工夫が必要です。

挽肉は加熱すると口の中でばらけやすい

肉が細かくミンチにされた挽肉は一見食べ物を噛む力が弱くなりがちな高齢者にとって食べやすい形態であると認識されがちです。

しかし、挽肉はただ加熱してしまうと肉の粒がそれぞればらけてしまい、口の中に入った際もまとまりにくいという性質があります。

そのため、唾液の分泌量が少なくなりがちな高齢者は飲み込みにくく、肉の粒でむせてしまったり、誤って気管に入ってしまう誤嚥が起こりやすくなります。

高齢者も安全に食べられる形態にするためには挽肉を調理する際、滑らかにまとまる調理の工夫が必要です。

パサつく肉は飲み込めない

肉は部位や種類、調理法によって食感に大きな差が出ます。

特に脂肪が少ない部位や種類の肉や、高温で加熱した肉はパサつきやすく、高齢者にとってはいつまでも口の中に残り、飲み込みにくい形態となります。肉がパサついて飲み込みにくい事で、喉に詰まらせる危険性があったり、食事の際に飲み込みに苦労し、疲労してしまう事で食欲減退に繋がる事もあります。

この様な事を防ぐには適度に脂がのった肉の部位を選ぶ他、調理や下処理の段階で油脂を補う等、パサつきを抑える工夫が必要です。

高齢者でも肉料理が食べやすくなる工夫3選

高齢者でも肉料理が食べやすくなる工夫3選

前章では高齢者が肉料理を食べにくく感じる理由についてお伝えしました。しかし、弾力やパサつきを抑える調理法を取り入れる事で柔らかく、高齢者も肉料理を安全に楽しめる様になります。

本章では高齢者でも肉料理が食べやすくなる工夫についてお伝えします。

下処理で肉を柔らかく、噛み切りやすい状態にする

高齢者も肉料理を安全に美味しく食べるためには、肉が柔らかく、噛み切りやすい状態である必要性があります。

そのためには、豚肉であればヒレ肉、鶏肉であればささみ肉といった柔らかい種類や部位の肉を選んで調理する他に、下処理の段階での工夫によって肉を柔らかく、噛み切りやすい状態にする事もできます。

主な方法としては、皮や脂身等の弾力がる部位を取り除く、フォーク等で身に穴を空けて筋切りをする、肉の水分を閉じ込めるヨーグルトや肉のタンパク質を分解して柔らかい食感にする酵素を含むキウイや麹に漬け込むといった工夫をする事が可能です。

しかしこの方法では肉は固形の状態は保たれるため、普段から固形の食事を噛んで食べていて、飲み込みに不安がない場合に適しています。

挽肉はつなぎを加えてまとまりをもたせる

前章では挽肉は普通に加熱すると肉の粒が硬くなり、高齢者にとっては食べにくい形態になるとお伝えしました。

しかし、挽肉は調理の段階で工夫をする事で、食感は柔らかくまとまりが出て食べやすい形態になります。

その工夫とは、豆腐や卵、長芋等の食材を潰したりすりおろしたりして、「つなぎ」として使用する事です。

つなぎとなる食材は、挽肉の半量〜同量使用し、挽肉とつなぎ、マヨネーズ等の油脂類をフードプロセッサーで撹拌します。

これを型流し込み蒸す事で柔らかくまとまりがあり、そしてフードプロセッサーを使用している事によって滑らかな食感に仕上がります。

この形態は、舌や歯茎で潰す事ができるので歯が無くても食べやすく、飲み込みに不安がある場合でも飲みこみやすい形態なので、高齢者の幅広い食事の悩みに対応する事ができます。

肉のパサつきを抑えるには、調理で油脂を補ったり低温調理でしっとり仕上げる

肉のパサつきを抑え、唾液の分泌が少なくなりがちな高齢者でも飲み込みやすい食形態に仕上げるには、調理の段階で油脂を補う、低温調理でしっとり仕上げるといった工夫をする事ができます。

油脂を補う方法としては、前項でも触れた様にマヨネーズと肉を共にフードプロセッサーにかけて成形する他、盛り付けの際に上からかけるソースに生クリームを加えてとろみと油分を加える等の方法があります。

低温調理に関しては火力を弱火〜中火でじっくり焼く事の他に、鶏むね肉や豚ヒレ肉といったブロック状の肉はポリ袋に入れて一度沸騰させたお湯に40分〜1時間程度湯煎する方法でもしっとり仕上げる事ができます。

油脂を加えてフードプロセッサーにかけた形態のものは歯がない場合や飲み込みに不安がある場合でも食べやすい形態ですが、固形の肉を使用し上から油分のあるソースをかける場合や低温調理をする肉料理は、普段から柔らかい固形物を食べられている事を確認して提供する様にしましょう。

肉料理を柔らかく、食べやすい形態に仕上げる工夫

  • 柔らかい種類や部位を選ぶ(豚ヒレ肉、鶏ささみ肉等)
  • 適度に脂が乗った部位を選ぶ(ロース、挽肉等)
  • 皮や弾力のある脂身は取り除く
  • フォーク等で身に穴を空けて筋切りをする
  • ヨーグルト(肉の水分を閉じ込める)、麹、キウイ(肉のたんぱく質を分解する)等が入ったタレに漬け込み、肉質を柔らかくする
  • 塩は焼く直前に使う(置いておくと身が硬くなる)
  • 表面に小麦粉や片栗粉をまぶして焼き、肉汁の流出を防ぐ
  • 弱火〜中火でじっくり焼く(肉汁が流れにくい)
  • 挽肉はつなぎを混ぜて焼く

調理の工夫で、高齢者でも食べやすい柔らかい肉料理は実現できる!

肉は良質なタンパク質を多く含み、近年は高齢者の寝たきり予防等を含めた健康維持、増進の観点でも注目されています。

しかし、高齢になると噛む力や飲み込む力の低下、唾液の分泌量が減少する事によって硬くパサつきがちな肉料理は食べにくく感じる事が多く、敬遠されてしまう事もあります。

しかし、下処理の段階で肉を柔らかくしたり、柔らかくまとまりが出る調理法や油脂を加える、低温で調理するといったパサつきを抑える調理法を取り入れる事で高齢者でも食べやすく、柔らかい肉料理を実現する事ができます。

これまで硬い、パサつくといった理由で肉料理を避けがちだったという場合には、是非本記事を参考に高齢者の食事の幅を広げませんか?

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士