高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴とは!?健康維持のためにはどう活かす?

高齢の家族が食の嗜好が変わり、どんなメニューを食卓に出したら喜んでもらえるか悩んだ経験はありませんか?

高齢になると味を感じにくくなる、胃腸の働きが低下しがちになる、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった身体機能の変化により、食の嗜好も大きく変化する事が多くあります。

高齢者の食の嗜好やその注意点について理解する事で高齢者自身が安心して楽しみながら食事をする事が出来る様になり、健康の維持、増進にも繋がります。

今回本記事では、高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴や、その嗜好を健康の維持に活かすための方法をお伝えします。

高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴3選

高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴3選

高齢になると味を感じにくくなる、胃腸の働きが低下しがちになる、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった身体機能の変化が起こります。

それによって味付けや口当たり等、これまでとは食の嗜好が大きく変化する事があります。

本章では、高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴についてお伝えします。

濃い味のものを好む様になる

高齢になると塩味や甘み等、味に対する感度が鈍くなりがちになります。

そのため、以前と同じ味付けをして食事を提供した際に「味が薄い」と訴えたり、卓上の塩や醤油で味を足す事が多くなります。

持病がある等の理由で塩分や糖分の摂りすぎに気を付けなければいけない場合はつい周囲が「健康のため」「味を足したらしょっぱいわよ!」といった様に指摘をしてしまいがちですが、高齢者の身体機能の変化に伴った嗜好を理解し、味付けの工夫をする必要性があります。

油っこいものが苦手になる

高齢者における身体機能の変化の一つとして、食べ物が消化しにくくなるといった点が挙げられます。

そのため、高齢になると食が細くなる傾向がある他、特に油っこいものは食後のムカつき等の胃腸の不快な症状に繋がる事も多く、どうしても敬遠されがちになります。

しかし油は食が細くなった高齢者にとって、効率の良いエネルギー源になる等健康を維持する役割もあるため、油っこいものを避ける事で食事からのカロリー摂取量が不足してしまう事もあります。

そのため、普段の食事の中で油脂類を補う工夫が必要です。

軟かく口当たりが良い食品を好む様になる

高齢になり、噛む力や飲み込む力が弱くなったり、装着している入れ歯が合っていないと肉類等の良く噛んで食べる必要がある食品や野菜類等の歯応えがある食品は食べにくくなります。そのため、自然と食事の好みも「軟かくて口当たりが良く、食べやすいもの」に偏る高齢者も多くいます。

しかし、軟かくて口当たりが良いものを選んで食べていると、食事の内容がお粥等の主食に偏りがちになったり、軟らかい菓子パンを食事代わりにしてしまうといった事も起こりやすくなります。

その結果、タンパク質を豊富に含む肉や魚、ビタミンや食物繊維を豊富に含む野菜の摂取量が減ってしまい、栄養バランスが偏る原因となるため、対策が必要です。

高齢者の食事の嗜好を、健康維持のために活かすには?

高齢者の食事の嗜好を、健康維持のために活かすには?

前章では高齢者の食事に表れやすい嗜好の特徴についてお伝えしました。

しかし、その嗜好にまかせて食事をする事で、塩分や糖分等の摂りすぎ、カロリーやタンパク質、野菜不足に繋がるといった注意点もあります。

本章では、高齢者の食事の嗜好を尊重しながら健康の維持に活かす方法についてお伝えします。

味付けにメリハリを持たせて塩分や糖分の摂りすぎを防ぐ

前章では高齢になると味を感じにくくなり、濃い味付けのものを好むようになるとお伝えしました。

濃い味付けの料理は塩分や糖分が多くなりがちであるため、持病の治療等でそれらを控える様に医師から指示をされている場合は嗜好を尊重しにくいという悩みも生まれがちです。

また、塩分や糖分を控える事で全ての料理を薄味にしてしまう事で食欲の低下に繋がる事もあります。

濃い味を好みがちになる高齢者の嗜好を尊重しながら健康維持をしていくためには、おかず一品一品の味付けの濃さにメリハリをもたせ、塩分や糖分の摂りすぎを防ぐという工夫をする事ができます。

例えば、焼き魚とお浸しの組み合わせがあるとすると、焼き魚には醤油や塩等の調味料をいつも通りに使い、お浸しには醤油は使わずに鰹節の旨みで味を添えるといった方法です。

しっかりとした味付けをしつつ塩分や糖分の使用量を抑える工夫としては、肉や魚は調味液に漬け込むのではなく、調味液を加熱してタレを作り表面に塗る、汁物は具沢山にして汁の量を減らすといった方法があります。

また、鰹節等の旨味を含む食品や少量の唐辛子、にんにく、カレー粉等のスパイスを使う事で塩分や糖分を使わずに味を添える事ができます。

カロリー不足を防ぐために油脂類を補う工夫をする

高齢になると胃腸の働きの低下により食が細くなる他油っこいものが苦手になり、食事からのカロリー摂取が不足しがちになります。

しかし油は少量でエネルギー源となる事や、健康維持に一定量必要なものであるため高齢者こそ油脂類を補う食事の工夫が必要です。

油脂類を補う工夫としては、おやつのプリンやゼリーに生クリームを添える、パンはバターを使ってフレンチトーストにするといった方法があります。

生クリームやバターは10g程使用する事で100kcal程カロリーアップが可能です。

飲み込みに不安がある高齢者の場合は、肉や魚に卵や長芋等の繋ぎの他、マヨネーズを加えてフードプロセッサーで撹拌し加熱調理する事で口当たりも良い一品に仕上がります。

また、揚げ物や炒め物等の調理に使用する油を胃もたれしにくいオリーブオイルや米油にする事で胃腸の不快な症状を起こしにくく、油を使用した料理に対する苦手意識の軽減に繋がるでしょう。

1人で食事をしている場合は特に、タンパク質不足や野菜不足に注意する

前章では高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなる事で軟かく食べやすい食べ物を好む様になる事が多いとお伝えしましたが、肉類や魚、野菜料理は噛み切りにくいだけではなく独居等1人で食事をする場合は調理も手間がかかるため、タンパク質や野菜不足に陥りやすくなります。

それを防ぐためには、軟かく調理不要な魚の水煮の缶詰めや、卵や豆腐を常備しておかずの一品にしたり、野菜料理は予め軟かく調理され長期保存も可能なレトルトパウチの介護用食品を取り入れるという方法や、軟かく調理された肉や魚等の主菜と、野菜料理のおかずが冷凍の状態で届き、高齢者に必要な栄養量が計算された高齢者向け宅配弁当を利用するという方法があります。

高齢者向け宅配弁当に関しては、塩分やカロリーが調整されたラインナップもあるため、持病がある場合にも食事への配慮ができ便利です。

高齢者の食事の嗜好や注意点をを理解し、健康維持に役立てよう!

高齢になると味を感じにくくなる、胃腸の働きが低下しがちになる、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった身体機能の変化により、濃い味を好む様になる、油っこいものが苦手になる、軟かく食べやすいものを好む様になる等、食事の嗜好が大きく変化する事があります。

しかし、濃い味を好む事で塩分や糖分の摂り過ぎに繋がったり、油っこいものや噛み切りにくい肉類や野菜の摂取量が減る事で栄養バランスの偏りに繋がりやすいといった問題もあります。

その対策として、おかずの味付けは調味料の使い方にメリハリを付ける、食事やおやつで油を補う工夫をする、卵や豆腐等の軟かく調理不要な食品やレトルトパウチの介護食品、高齢者向け宅配弁当サービスを取り入れながら、タンパク質や野菜不足を防ぐといった工夫も必要です。

この様に、高齢者の食の嗜好やその注意点について理解する事で高齢者自身が安心して楽しみながら食事をする事が出来る様になり、健康の維持、増進にも繋がります。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士