高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点は!?状況別にポイントをご紹介!

現在市場に出回る栄養ドリンクは疲労を回復させやすくするものや病中病後の栄養補給など等様々な用途のものがあります。

高齢者も「栄養ドリンクを飲むと元気になる気がする」と言って日常的に飲んでいる人も少なくありません。

しかし、高齢になると水分でむせやすくなったり、持病の治療をしている人が増えたり、食事量が減り栄養不足に陥りやすくなるといった事もあります。

そのため、栄養ドリンクも選び方によっては飲み込みがうまくいかなかったり、持病の経過を悪化させたり、不足した栄養素が補えずに低栄養状態を進行させてしまう事さえあります。

また、近年は高齢者向けの栄養ドリンクの市場が広まり、インターネット上では「高齢の家族に栄養ドリンクを試してみたいが、種類が多すぎてどれを選んだらよいかわからない」といった声も多く寄せられています。

今回本記事では、高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点と状況別に押さえておきたい栄養ドリンクの選び方をお伝えします。

高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点はこの3つ

高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点はこの3つ

冒頭でもお伝えした様に、高齢になると身体機能の低下が起こりやすく、特に水分でむせこむ、持病がある、食欲不振や体重が減少しているといった場合には栄養ドリンクの選び方によっては症状や経過を悪化させる場合があるため、注意が必要です。

本章では高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点をお伝えします。

水分をむせずに飲み込む力があるか

市販されている栄養ドリンクは一般的には水やお茶の様な液体です。

しかし高齢者の中には普段から水やお茶でむせてしまい、うまく飲み込めないといった人が多くいます。

これは加齢による「飲み込む力」の低下によるものが多い事例で、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない事によって命に関わる事態を引き起こす事さえあります。

そのため、高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際は、普段水やお茶の水分や食事の汁物等をむせずに飲み込む力があるか観察し、水分や汁物でむせてしまう場合は、液体の栄養ドリンクは避け、飲み込む力が低下している高齢者も安全に飲み込める形態のものを選ぶ必要性があります。

持病の治療中ではないか

高齢者の中には持病の治療をしている、という人も少なくありません。

また、その病気によっては食事療法の一環としてカロリーや糖分、タンパク質量等に配慮が必要な場合もあります。

その場合、食事以外に栄養ドリンクを飲む事で食事で管理した栄養のバランスが乱れ、持病の経過に影響を及ぼす事もあります。

栄養ドリンクは糖分を多く含むものも多いため、特に持病の治療でカロリーや糖分の取りすぎに気をつける様に指示がある場合は飲用に注意が必要です。

高齢者に不足しがちなカロリーやタンパク質は補えるか

前項では持病の治療の一環でカロリーや糖分、タンパク質に配慮が必要な場合がある事をお伝えしましたが、近年は「高齢者の栄養不足」が問題となっており、栄養状態の低下は寿命を短縮させる事も分かっています。

高齢者が栄養不足に陥ってしまう原因の一つに、加齢と共に食が細くなり食事から充分なカロリーやタンパク質等の栄養素を摂る事ができない事が挙げられます。

その様な場合には口当たりの良い栄養ドリンクは栄養補給に便利だと思われがちですが、商品の選び方によっては食事で不足しがちなカロリーや栄養素を補うには不十分である場合も多く、栄養状態が悪化してしまう事さえあります。

栄養ドリンクは目的に合わせてその栄養成分を選ぶ事が大切です。

高齢者の栄養ドリンクはこう選ぶ!状況別のポイントとは!?

高齢者の栄養ドリンクはこう選ぶ!状況別のポイントとは!?

前章では高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際の注意点についてお伝えしました。

また、実際に栄養ドリンクを選ぶ際には、水分でむせやすい場合、持病がある場合、食欲不振や栄養状態が低下している場合それぞれの状況によって栄養ドリンクの選び方は異なります。

本章では状況別に栄養ドリンクを選ぶ際のポイントをお伝えします。

水分でむせやすい場合はゼリータイプを選ぶか、とろみ剤を併用する

飲み込む力が低下し、水分でむせやすいといった場合には、ゼリータイプの栄養ドリンクを選んだり、液体の栄養ドリンクに介護用のとろみ剤を加え、喉ごしを良くするという対処法があります。

栄養ドリンクにとろみ剤を加える場合は、スプーンですくって落とした時にヨーグルト状のとろみを目安に調整します。

しかし、とろみ剤を使用する際のデメリットとして、とろみ剤の種類や栄養ドリンクの種類、双方の量等によって一定のとろみ具合に調整しにくいといった点があるため、その都度とろみ具合の確認が必要です。

ゼリー状の状態で販売されている栄養ドリンクも、バッグ状の容器からそのまま吸い込むのは一度に多くの量が口の中に入る事で喉に詰まったり、むせの原因となる事もあり危険です。

ゼリー状の栄養ドリンクは食器等にあけた上で、ティースプーン一杯程度の量を口に運ぶのが安心でしょう。

持病がある場合は主治医に相談の上栄養ドリンクを使用する

持病の治療の一環としてカロリーや糖分、タンパク質等といった食事内容への配慮が必要な場合は、栄養ドリンクを使用する前に主治医に相談する事が必要不可欠です。

主治医に相談する際は、使用を検討している栄養ドリンクの商品名の他、「最近食事量が減っている」といった様な栄養ドリンクの使用を検討するに至った理由、自宅での水分摂取を含めた食事内容や摂取状況等を伝える事で栄養ドリンクの必要性や使用を検討している商品が的確かどうかの判断材料となります。

また、この様に持病がある事で食事内容への配慮が必要な場合には、例えば「血糖値を上げにくい」「1パック当たりタンパク質○g以下」といった病態へ配慮した商品も選択する事ができます。

病態に配慮したタイプの栄養ドリンクは市販されているものは少ないですが、インターネット通販や介護用品のカタログで購入する事が可能です。

普段利用するドラッグストアーや薬局での購入を希望する場合は取り寄せが可能な場合も多いので、インターネットの商品紹介ページを印刷したものや商品が掲載されているカタログを持参し、必要な数量と共に取り寄せが可能か問い合わせてみましょう。

病態に配慮した栄養ドリンクを選択する場合にも、必ず主治医に相談が必要です。

食欲不振や体重減少がある場合は、カロリーやタンパク質が補えるものを選ぶ

食欲不振や体重減少等栄養状態の低下が心配される場合には、食事だけでは不足しがちなカロリーやタンパク質が補える高齢者向けの栄養ドリンクを選ぶ事が大切です。

下に一般的な栄養ドリンクと高齢者向けに栄養が強化された栄養ドリンクの成分比較を示していますが、一般的な栄養ドリンクのエネルギー源は主に糖質で、タンパク質を補う事はできない事が分かります。

そのため、食事で不足しがちな栄養素をバランス良く補うためには不向きなのです。

一方で、高齢者向けの栄養ドリンクは1パックでご飯約1杯分のカロリーと卵約1個分のタンパク質の他ビタミン、ミネラルが補えます。

高齢者向けの栄養ドリンクはインターネット通販や介護食費カタログの他、ドラッグストアやコンビニエンスストアでも入手する事が可能です。

高齢者向けに栄養が強化された栄養ドリンクを使用する際の注意点は、いくらバランス良く栄養が補えるとは言っても食事の代わりにする事はできないという点です。

下記に示した高齢者向けの栄養ドリンクで高齢者に必要なおおよそのカロリーやタンパク質を計算すると1日8〜9パック程度に相当しますが、栄養ドリンクだけではビタミンやミネラルが不足する他、脂質や糖質は多くなるため体調を崩す原因となったり、持病の経過に影響を及ぼす可能性もあります。

この事を踏まえると、食事量が減少し栄養ドリンクでの栄養補助を行う場合も、量は少なくともご飯、パン、麺等の主食、肉、魚、卵、大豆製品等タンパク質食品を使用した主菜、野菜や海藻、きのこ等ビタミンやミネラルを含む食材を使用した副菜をバランス良く食べる事がベストだと言えます。

一般的な栄養ドリンクと高齢者向け栄養ドリンクの栄養成分比較

カロリー タンパク質 脂質 炭水化物(糖質)
一般的な栄養ドリンク(120ml) 約200kcal 0g 0g 約20g
高齢者向けの栄養ドリンク(125ml) 約200kcal 約8g 約6g 約30g

高齢者に栄養ドリンクを選ぶ際は、身体状況に配慮して選ぶ!

市販されている栄養ドリンクには疲労回復や栄養補給等の用途がありますが、水分を飲み込む力の低下、持病の治療のために食事内容に配慮が必要、食が細くなり栄養状態の低下が見られるといった場合も多い高齢者が使用する際はその選び方には注意が必要です。

水分の飲み込みに不安がある場合はゼリータイプのものを選んだりとろみ剤を加える、持病がある場合は栄養ドリンクの使用について現在の状況と合わせて相談する、食事量が減少し栄養状態の低下が心配される場合にはカロリーやタンパク質を補える高齢者向けの栄養ドリンクを選ぶ事が大切です。

高齢者向けに栄養が強化された栄養ドリンクも食事がわりにする事はできないため、少量であっても主食、主菜、副菜が揃ったバランスの良い食事を心がける事がベストです。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士