高齢者の水分摂取、問題点は??安全に充分な水分摂取をするための対策もご紹介!

高齢者において、身体活動での代謝を考慮すると1日に必要な水分量は約2.5ℓ程度と言われており、そのうち1.5ℓは食事以外に飲水等によって摂取する必要があります。

しかし、高齢になると喉の渇きを感じにくい、トイレの回数を気にしてしまう、飲み込みの機能によっては水分を摂ろうとするとむせてしまうといった理由で水分摂取量が不足しがちになります。

そして水分が不足すると、食欲がなくなる、活気がなくなるといった症状だけではなく、生命維持が困難になる場合もあります。

今回本記事では、高齢者の水分摂取における問題点と安全に充分な水分摂取のための対策についてお伝えします。

高齢者の水分摂取における問題点は主にこの3つ

高齢者の水分摂取における問題点は主にこの3つ

高齢になると、喉の渇きを感じにくい、頻繁にトイレに行きたくなる、食べ物や水分を飲み込む力が弱くなるといった身体機能の変化が起こりやすくなり、水分摂取量が減ってしまう原因にもなります。

本章では、高齢者の水分摂取における主な問題点についてお伝えします。

高齢者は喉の渇きを感じにくい

高齢になると身体機能の変化により、喉の渇きを感じにくくなりることもあります。

そのため、自ら積極的に水分を摂る機会が減ってしまう事で水分摂取量の不足に繋がります。

特に夏場の気温が高い環境や冬場の暖房が効いた室内等の乾燥した環境下では水分摂取量が不足する事で体調を崩しやすいため、周囲の声がけや定期的な水分の提供等で水分摂取を促していく必要性があります。

高齢者はトイレに行く回数を気にして、水分摂取を控えてしまう事もある

私たちは通常、摂取した水分は生命維持に活用する他、尿や便として排泄しています。

しかし、高齢者にとっては「トイレまで遠い」、「何度も行かないといけない」、外出先等では「トイレの場所が分からず不安だ」といった理由で排泄に関して嫌悪感を抱いてしまう場合も多くあります。

そのため、なるべくトイレに行く回数を減らすために水分摂取を控えてしまうのです。

この場合は、「トイレの時はいつでも呼んで下さいね」「トイレまで案内しますよ」といった排泄に関して安心感を与える声がけの他、水分を一度に摂る量を調整する等の対策によって水分摂取に対する抵抗感を和らげる事も可能です。

高齢者はさらさらとした水分でむせてしまう事も多い

高齢になると食べ物や飲み物を飲み込む力が弱くなり、水やお茶等のさらさらとした水分によってむせやすくなる事も多くあります。

その結果、思うように水分が飲み込めない事で水やお茶等の水分を敬遠してしまう事に繋がる他、誤って水分が気管に入ってしまい細菌が繁殖すると、命に関わる事もあります。

飲み込む力が弱くなった高齢者に水分を提供する際は、その人に合った形態で提供し、安全に水分摂取ができる様にする事で高齢者本人も安心して水分摂取ができるようになります。

高齢者が安全に充分な水分摂取をするための対策とは!?

高齢者が安全に充分な水分摂取をするための対策とは!?

前章では、高齢者の水分摂取における問題点についてお伝えしました。

しかし、水分の提供方法や声がけによって、高齢者も安全に充分な水分摂取が可能になる場合も多くあります。

本章では、高齢者の水分摂取における問題点への対策をお伝えします。

食事やおやつは必ず水分を添えて提供し、水分摂取を促す声がけをする

前章でお伝えした様に、高齢になると喉の渇きを感じにくくなるため、充分に水分を摂取してもらうためには水分を積極的に提供していく必要があります。

その方法として、3食の食事と10時、15時のおやつの際にはお茶等の水分を併せて提供するといった方法があります。

持病の治療等により塩分制限がない場合は、食事に汁物を添えるのもおすすめです。

例えば、朝食と昼食に味噌汁を添え、3食の食事と2回のおやつに180ml程度のお茶を併せて提供した場合、食物由来の水分を除いても1.2ℓの水分を摂取する事ができます。

その他に、朝起きてすぐや寝る前等にそれぞれ湯飲み一杯分の水分を摂る事で充分な水分摂取に繋がります。

その際に、「お茶でお口をさっぱりさせませんか?」「あったかい汁物で温まりましょう」等と声がけを行う事で高齢者も抵抗なく水分を摂取しやすくなるでしょう。

水分は一度に大量に摂るのではなく、常温のものを少量頻回に摂るようにする

既にお伝えした通り、高齢になるとトイレに行く回数を気にしてしまい、水分摂取を控えてしまう傾向があります。

水分を摂った後にすぐトイレに行きたくなる理由の一つに、一度に多くの水分を摂ってしまうために身体に吸収される前に排泄されてしまうといった事が挙げられます。

日常的な水分補給におけるタイミングや量の目安は、1〜2時間おきに200ml程度と言われていますが、それでもトイレにすぐ行きたくなり困ってしまうという場合は1時間おきに100mlずつ、といった様に一回量を減らして摂取回数を増やしてみましょう。

また、冷たい飲み物の摂りすぎにより身体が冷えてしまう事でもトイレの間隔は短くなりがちです。

消化気管に負担をかけないという意味でも、常温以上の水分を摂取する事を心がけましょう。

水分でむせてしまう場合は、とろみ剤でとろみを付けたりゼリーにして提供する

加齢により食べ物や飲み物を飲み込む力が弱くなり、水やお茶、味噌汁といったさらさらとした水分でむせてしまうといった場合には、介護用のとろみ剤でとろみを付ける、ゼラチンでゼリーにするといった提供方法があります。

そうする事で水分が喉元をゆっくりと通過するためむせ込みにくく、スムーズに飲み込みやすくなります。

介護用のとろみ剤は製品によってとろみを付けたい水分の量に対する使用量が異なるため、製品の説明書等をよく確認して使用しましょう。

一般的にスプーンから落とした時にプレーンヨーグルト状のとろみが一つの目安となりますが、人それぞれ飲み込みやすいとろみは異なるため、とろみを付けた水分でむせていないか、喉につっかえて飲み込みにくそうにしていないか等様子を観察し、とろみ剤の使用量を調整する事も大切です。

また、ゼラチンを使って水分をゼリーにする際には水分の量に対するゼラチンの量も1〜1.5%と目安があり、その方が飲み込みやすい硬さに調整する必要があります。

ゼラチンで固形化したゼリーは、口の中で長時間溜め込むと液体に戻り、むせてしまう事もあるため注意が必要です。

水分のゼリーを口に運ぶ際はティースプーンすり切り一杯程度の量とし、それでも飲み込みにくそうにしている場合は飲み込む力に関する評価が必要となる場合もあるため医療機関に相談してみましょう。

水分のとろみ付けに関するポイントは、以下の記事でもご紹介しております。是非参考にご覧下さい。

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高齢になると喉の渇きを感じにくい、トイレの回数を気にしてしまう、飲み込みの機能によっては水分を摂ろうとするとむせてしまうといった理由で水分摂取量が不足しがちになります。

そして水分が不足すると、食欲がなくなる、活気がなくなるといった症状だけではなく、生命維持が困難になる場合もあります。

その対策として、食事やおやつと共に水分を積極的に提供し、水分摂取を促す声がけをする、水分を摂ってすぐにトイレに行きたくなる事を防ぐために常温の水分を少量ずつ回数を増やして摂る、さらさらとした水分でむせてしまう場合には介護用のとろみ剤でとろみを付ける、ゼラチンでゼリーにして提供するといった方法があります。

この様に、高齢者一人一人の状況に合わせた対策によって、安全で充分な水分摂取に繋げる事が可能です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士