高齢者向けの食べやすい・飲み込みやすい食事のポイント&食べ物の選び方をご紹介!

高齢の家族を自宅で介護する事になった際によくあるご相談の中に、「以前と比べて食べ物を噛む力や飲み込む力が弱くなった様だが、食べやすく飲み込みやすい食事や食べ物はどんな物があるの?」といった内容です。

高齢になり噛む力や飲み込む力が弱くなった場合、硬い物の他パサつきやすいもの、口の中でばらけやすいもの、口の中に張り付きやすいもの、水やお茶、汁物等のさらさらとした水分等食べにくいものが増えてくるのが事実です。

しかし、高齢者が食べにくい食事や食べ物の形態を知り、下処理や調理を工夫する事で自宅でも高齢者が食べやすい食事を提供する事ができます。

本記事では高齢者が食べにくい食形態はどんなものか、食べやすい食べ物の選び方や調理の工夫をお伝えします。自宅介護における日々の食事の参考に、是非ご覧下さい。

高齢者が食べにくい食品にはどんなものがある?

高齢者が食べにくい食品にはどんなものがある?

高齢になると食べ物を噛む力や飲み込む力が低下する他唾液の分泌量が減少する傾向もあります。

そのため力を入れて噛んだり、口の中で唾液と絡ませてまとめる必要がある食品は食べにくい形態となりがちです。

本章では具体例をご紹介しながら、高齢者が食べにくい食品はどの様なものかをお伝えします。

生野菜やごぼう等の繊維が硬い野菜類、弾力がある食品

高齢者が食べにくいと感じる代表的な食品に、生野菜やごぼう、たけのこ等の繊維が残る野菜類、こんにゃくやきのこ等弾力があり、噛み切りにくい食品が挙げられます。

硬く繊維質の野菜類はスムーズに噛む事ができない事で食事の際の疲労感に繋がるだけではなく、充分に噛まずに飲み込む事で胃腸のトラブルを引き起こす事もあります。

また、特にこんにゃく等の弾力があり口の中で滑りやすい食品は、大きさによっては喉に詰まりやすく大変危険です。

そのため、繊維が硬い野菜や弾力がある食品は食べやすい食品に置き換える必要があります。

パン、肉、魚等口の中でパサつきやすい食品

高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなる他、唾液の分泌量が少なくなるため食べ物を口の中でまとめる事も難しくなります。

そのため、パンや焼いた肉、魚等の水分が少ない食品は口の中でパサつきやすく、スムーズに飲み込めないため喉に詰まりやすいといった特徴があります。

この様な口の中でパサつきやすい食品は、調理の際に水分を加えたり、口当たりが滑らかになる様な工夫をする事で高齢者も食べやすくなります。

刻み野菜等の口の中でばらけやすい食品

噛む力が弱くなった高齢者でも食べやすい様にと、野菜等を細かく刻んで提供するという状況を目にする事もあります。

しかし、刻んで細かくなった野菜の他、そぼろ等の加熱して粒が分離した挽肉、油揚げや高野豆腐といった口の中でばらけやすい食品は唾液の分泌量が減り、食べ物を口の中でまとめる力が弱くなった高齢者にとっては飲み込む際に誤って気管に入ってしまう「誤嚥」に繋がりやすく危険です。

噛む力が弱くなった高齢者に食事を提供する際は、食材を細かく刻むだけではなく食材同士のまとまりを持たせる工夫が必要です。

餅や海藻等口の中に張り付きやすい食品

餅は口の中でべたつき、喉に詰まりやすいため高齢者に提供する際には注意が必要である事は一般的に知られていますが、のりやわかめといったぺらぺらとした食材も口の中や喉の入り口等に張り付きやすい食材です。

一般的な成人は食べ物が誤って気管に入ったり喉の入り口に食材が張り付くと反射的に咳をして吐き出す事ができますが、高齢者はその反射が弱くなってしまうため、食べ物が喉の入り口や気管を塞いでしまう危険性もあります。

口の中に張り付きやすい食品は他の食品で代替するのが安心です。

水やお茶、粘度がない汁物等のさらさらした液体

高齢になると噛んだ食べ物や口にした液体を食道に送り込む「食べ物を飲み込む力」が弱くなる傾向があります。

特に、水やお茶、味噌汁やすまし汁といったさらさらとした液体は口から喉にかけて急激に流れ込むため、飲み込む力が弱くなった高齢者の気管に誤って流れ込みやすいといった特徴があり大変危険です。

そのため、普段の食事の様子を観察し、水やお茶、汁物を飲んだ際に喉や胸のあたりからゴロゴロという音がしたり、むせやすいという場合には水分には粘度をつけて提供し、ゆっくりと喉元へ運ばれるようにする事でむせや誤嚥を防ぐ事が大切です。

高齢者が食べにくい食品とその形態

形状 食品・料理例
硬い野菜 生野菜、サラダ等
繊維が残る野菜 たけのこ、ごぼう、ふき、セロリ等
口の中でばらける細かいもの 刻み野菜、そぼろ等
スポンジ状でぼそぼそするもの がんもどき、油揚げ高野豆腐等
水分が少なくパサつくもの パン、加熱した肉、魚
弾力が強いもの こんにゃく、きのこ等
長さがあるもの 麺類等
酸っぱいもの 酢の物、レモン等
さらさらした水分 味噌汁、すまし汁、お茶、水等
口の中に張り付くもの 海苔、わかめ、餅等

高齢者が食べやすい食品の選び方や調理の工夫

高齢者が食べやすい食品の選び方や調理の工夫

前章では高齢者が食べにくい食品についてお伝えしました。しかし、食品の選び方や下処理、調理の段階で「食べにくさ」の原因を解消する事で高齢者も食べやすい食事を提供する事ができます。

本章では高齢者が食べやすい食品の選び方や調理の工夫についてお伝えします。

野菜は煮込む、繊維を断ち切る様に切る

前章では生野菜等の硬い野菜や、繊維の長い野菜類は歯が弱くなった高齢者にとっては噛み切りにくく、食べにくい食品であるとお伝えしました。

野菜を高齢者にも食べやすくするには、煮込んで軟らかくする、繊維に垂直に切ったり格子状に隠し包丁を入れる等、繊維を断ち切る処理をするといった方法があります。

特に、大根や人参、芋類等の根菜類は煮込む事でスプーンや舌と上顎で潰せる軟らかさになるため、歯が殆ど無い場合にもおすすめの食品です。

また、繊維は皮に多く含まれるため、茄子やトマト等は皮を剥く事でも食べやすくなります。

食事の介助をする場合には、喉に詰まらない様、ティースプーン一杯分の大きさをめやすに口に運びましょう。

パサつきやすい食品にはとろみのある水分や油分を加える

パンや加熱した肉、魚等は水分が少ないため唾液の分泌が減少しがちな高齢者にとっては飲み込みにくく、喉に詰まらせてしまう危険性もあります。

それを防ぐため、パサつきやすい食品には水分や油分を加えて口当たりを良くする事が大切です。

水分を加える方法としては、食パンはポタージュスープに浸したり、牛乳と卵を合わせた卵液に浸してパンプディングにする、加熱した肉や魚はあんかけにするといった例が挙げられます。

水分を加える時のポイントは、さらさらとした水分は食品と分離しやすいため、ポタージュ、シチュー、牛乳、片栗粉やとろみ剤を使用したとろみのある水分にする事です。

また、油分を加えて口当たりや喉の滑りを良くする方法としては、肉や魚にマヨネーズやバターを加えてフードプロセッサーで細かく撹拌してから加熱をする方法や、出来上がりに生クリームを使用したソースをかけるといった方法があります。

野菜はミキサーにかけて再び固形化する、粘りやとろみでまとまりをもたせる

前章では野菜を刻んでしまうと、口の中でばらけやすく高齢者にとって食べにくい形態であるとお伝えしました。

では、歯が無く、歯茎や上顎と舌で野菜を潰したり、口の中でまとめやすくするにはどの様な工夫が必要なのでしょうか。

一つは、野菜をミキサーにかけ、ゼラチンや介護用のゲル化剤で固形化する方法です。

固形化する際にゼラチンを使用する場合、高齢者が飲み込みやすい硬さは食品の重量の1.6%程度ですが、実際に高齢者が食事をする様子を確認し、口の中で潰しにくそうにしていないか、飲み込みはスムーズかを確認し、食材によってゼラチンの量を調節する事も大切です。

また、細かく刻んだオクラや納豆、

とろろ等元々粘りのある食品と刻んだ野菜を混ぜるという方法も役立ちます。

単体では口の中でばらけやすい刻み野菜も、粘りのある食品と合わせる事で口の中でまとまりやすく、喉のすべりも良くなります。

この場合、野菜を刻む際は粘りのある食品と共にフードプロセッサーにかけるとまとまりが良くなります。

口の中に張り付きやすい食品は極力避ける、餅は介護食品を利用する

前章では餅や海藻等の口の中に張り付きやすい食品は喉を塞ぐ可能性があり危険であるとお伝えしました。

そのため、これらの食品を単体で使用する事は極力避けるのが賢明です。

もし海藻類を使用する場合は、海苔は佃煮を使用する、わかめは細かく刻んで卵でとじる等の工夫が必要です。

また、餅はおやつやお正月のお雑煮等、本来は餅を食べる事が難しい高齢者も「食べたい」という人が多くいます。

その様な背景もあり、最近では口の中でべたつきにくく、歯切れが良い介護食品としての餅も販売されています。

介護食品の餅はインターネット通販の他、介護用のカタログ通販で購入が可能です。

元々餅が好物であったという場合等は、高齢者でも安心して食べられる餅を提供する事で食事に対する楽しみが生まれます。

さらさらした水分にはとろみを付ける

水やお茶、粘度の無い汁物は急激に喉へ流れ込む事で誤って気管に入ってしまう事を防ぐには、片栗粉や介護用のとろみ剤でとろみを付ける必要も有効です。

汁物は固形の具材が入っていると口の中に残ったり、むせてしまう原因にもなるため具は除くか、具材ごとミキサーにかけてからとろみを付けます。

とろみの目安は、スプーンで落とした時にゆっくり落ちる、ヨーグルト状のとろみです。

片栗粉でのとろみ付けは温かいものに向きます。水2:片栗粉1の割合で水溶き片栗粉を作り、火を止めた状態でヨーグルト状のとろみに調整します。

冷めると粘度が増すため、ヨーグルト状よりも少しゆるい状態で一度仕上げておくのがおすすめです。

介護用のとろみ剤は温かいものにも冷たいものにもとろみ付けが可能です。

製品に記載されている使用量の目安を参考にする他、必ずとろみ具合をスプーン等で確認する様にしましょう。

高齢者が食べやすい食品の形態

形状 食品・料理例
ミンチ状で、まとまりのあるもの ハンバーグ、つくね等
ゼリー状のもの ゼリー、水羊羹等
プリン状のもの プリン、具なし茶碗蒸し、卵豆腐、ムース等
ポタージュ-ルウ状のもの カレー、シチュー、ポタージュスープ等
ピューレ状のもの 野菜、果物のピューレ等
乳化されたもの ヨーグルト、アイスクリーム等
軟らかい主食 お粥、パン粥、軟飯、煮込みうどん等
軟らかい野菜 大根、人参、芋類
葉物野菜の葉先

高齢者向けの食べやすい、飲み込みやすい食事や食べ物は調理の工夫がポイント!

高齢になり噛む力や飲み込む力が弱くなると、硬い物の他パサつきやすいもの、口の中でばらけやすいもの、口の中に張り付きやすいもの、水やお茶、汁物等のさらさらとした水分等食べにくいものが増えてきます。

そのため、自宅介護を始める際、高齢者でも食べやすい食事の形態について悩みを抱える高齢者も多くいます。

しかし、高齢者が食べにくい食事や食べ物の形態を知り、野菜類は軟らかく煮込む他野菜の繊維を断ち切る様に切る、パサつきやすい食品は水分や油分を加え口当たりや喉の滑りを良くする、水分にはとろみを付けるといった方法で自宅でも高齢者が食べやすい食事を提供する事ができます。

この様に、高齢者が食べやすい食事を提供するカギは、高齢者が食べにくい食品の特性を知り、下処理や調理の工夫であると言えます。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士