高齢者は適切なタンパク質摂取が必須!推定平均必要量はどうやって計算する?

最近テレビやインターネット等のメディアでは、「タンパク質をしっかり摂る事」を勧める記事をよく目にする様になってきました。

タンパク質は私たちの血や筋肉といった体の組織のもととなったり、免疫の維持に関わる等非常に大切な働きをしています。

特に高齢者は食欲不振や肉類が食べにくくなる等といった理由により、タンパク質の摂取量が不足しやすい状況にあり、不足した状態が長く続くと筋肉の減少により寝たきりになりやすくなったり、免疫力が低下して感染症が重症化しやすくなる等深刻な事態を招く事もあります。特に自宅介護においては介護している高齢者が食事から摂っているタンパク質が足りているのか不安に思う人も多いはずです。

しかし、その人が必要とするタンパク質量は概ねのめやす量はあるものの、実際はその人の体格や活動量、持病の有無等によっても差があります。

この事から、その人にとって必要なタンパク質がどの様な方法で計算されているのかを知る事で、現時点でタンパク質が不足していないかを確かめられたり、その時の状況に合わせて大まかなタンパク質の必要量を知る事ができます。

今回本記事では、タンパク質の推定平均必要量の基本的な考え方や計算の仕方等を交えながら、高齢者一人一人の状況に配慮したタンパク質摂取量の考え方についてお伝えします。

高齢者一人一人によって違う、必要なタンパク質量を考えるメリット

高齢者一人一人によって違う、必要なタンパク質量を考えるメリット

一括りに高齢者と言っても、性別はもちろん体格やどれくらいの活動量があるかといった状況はそれぞれ異なります。

また、一人一人状況が異なるにも関わらず安易に一定の基準を当てはめてタンパク質の必要量を考えてしまうと、摂取量の過不足が起こりやすくなります。

ここでは、高齢者一人一人について必要なタンパク質料を個々に考えるメリットについてお伝えします。

普段の食事でタンパク質が不足していないか知る事ができる

高齢者のタンパク質不足を防ぐためには、まずその人にとって必要なタンパク質量を知る事が大切です。

その人にとって必要なタンパク質量を知り、普段の食事内容や次の章にお示ししている様な高齢者におけるタンパク質の推定平均必要量が摂取できる食品構成の例と照らし合わせる事でおおむねタンパク質が足りているか、不足しているか見当をつける事も可能です。

タンパク質の摂取量に過不足がある様であれば、次の項でお伝えする様にタンパク質が適正量となる様な食事内容に変えていく事もできるのです。

その人にとって適正量のタンパク質が摂取できる食事を用意する事ができる

前の項の終わりでお伝えした様に、その人にとって必要なタンパク質量を知り、もし現状に過不足があれば適正なタンパク質量が摂取できる食事内容に変えていく事もできます。

普段の食事において良質なタンパク源となるのは肉、魚、卵、大豆製品、乳製品です。

例えばタンパク質が不足している様であれば毎食タンパク質源になる食品が取り入れられているか食事バランスの見直しをしたり、汁物に豆腐を加える、間食に卵と乳製品を使用したプリンを提供するといった方法で不足しているタンパク質を補う事もできます。

また、タンパク質がやや多いと感じる場合は、肉や魚等のメインの大きさは拳大にする、牛乳は1日コップ一杯までにするといった様なめやすを設けるとタンパク質量のコントロールがしやすくなります。

タンパク質の推定平均必要量はどのように計算されている?

タンパク質の推定平均必要量はどのように計算されている?

ここからは、日本人におけるタンパク質の推定平均必要量がどの様に計算されているかといった基本的な考えや、高齢者に焦点を当てて考えたタンパク質の必要量についての見解をお伝えします。

日本人の食事摂取基準では「窒素出納法」を参考に計算

私たち栄養士や食品を取り扱う企業等が各年代の必要栄養量のめやすとして参考にする事が多いのが、厚生労働省が編集している「日本人の食事摂取基準」です。

ここで言う推定平均必要量とはどの様な値なのでしょうか。

日本人の食事摂取基準における推定平均必要量は、「その年代の50%の人は必要量を満たす事ができる」値です。

タンパク質の推定平均必要量についてはタンパク源を摂取した際に尿中に排泄される窒素量から体のタンパク質が維持できているか、消耗しているかを判定する「窒素出納法」をもとに計算されていて、高齢者においては体重1kgあたり約0.7gのタンパク質が推定平均必要量とされています。

日本人の食事摂取基準ではこの値に高齢者の男女それぞれの平均的な体重を当てはめ、男性50g/日、女性40g/日をタンパク質の推定平均必要量としています。

・高齢者の食事1食分の食品別目安量(1500kcal タンパク質約50gを想定)

食品の分類 主な食品 1食分の大まかな目安量
主食 ごはん、パン、麺 ・ご飯茶碗1膳(約150g)
・食パン 8枚切り2枚
・ゆでうどん 1袋
タンパク源 魚、卵、豆腐 ・肉、魚 拳1つ分
・卵 1個
・豆腐 1/8丁(50g )
野菜等(きのこ、こんにゃく、海藻を含む) 野菜、きのこ、こんにゃく、海藻 ・野菜100g以上が理想
・きのこ、こんにゃく、海藻はその人の噛む力、飲み込む力に合わせて使用
乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズ ・牛乳 200ml

食事摂取基準に沿った値では、実際にはタンパク質が不足しているという見解も

前項でお伝えした様に、食事摂取基準におけるタンパク質の推定平均必要量はその年代の50%の人が必要量を満たす事ができる値です。

しかし一方で、50%の人は必要とするタンパク質に対して不足してしまう可能性もあると言えます。

実際に、高齢者におけるタンパク質の推定平均必要量よりもやや多い、0.8g/kgのタンパク質で14週間、10人の高齢者に生活してもらったところ、筋肉量の減少がみられたという報告もあり、筋肉を維持していくだけでも0.85g/kg以上のタンパク質が必要ではないかという見解もあります。

自宅介護においてもその人にとってタンパク質量か適量であるかは、身体状況を観察した上で判断する事が大切です。

体重測定や歩行の様子等の観察を普段から行い、体重の減少や歩行がゆっくりになったという場合にはタンパク質不足を疑う事も必要です。

(参考:厚生労働省日本人の食事摂取基準2020/高齢者と栄養―若年者との相違を中心に― 名古屋大学 葛谷 雅文)

持病がある場合は、主治医に相談し、指示を守ろう

タンパク質の必要量について、食事摂取基準の推定平均必要量を自己判断で当てはめてはいけないのが、持病がある場合や大きな手術の前後であるといった場合です。

この様な場合は、消化器官への負担を減らすためにタンパク質の制限が必要だったり、身体の修復のために多めのタンパク質を必要とする場合もあります。

タンパク質の摂取量について自己判断してしまうと、持病の治療に影響が出たり、タンパク質不足に陥ってしまう事もあるので、主治医に相談し指示を守りましょう。

高齢者におけるタンパク質の推定平均必要量は、個々の身体状況に配慮して計算する

タンパク質は私たちの血や筋肉等体の組織のもととなったり、免疫の維持に関わる等、大切な働きをしています。

特に高齢者は食欲不振や肉類が食べにくくなるといった理由により、タンパク質の摂取量が不足しやすい状況にあり、不足した状態が長く続くと筋肉の減少や、免疫力が低下する事で寝たきりや感染症の悪化といった深刻な事態を招く事もあります。

自宅介護においては介護している高齢者が食事から摂っているタンパク質が足りているかは判断にしくく、その人が必要とするタンパク質量は概ねのめやす量はあっても実際はその人の体格や活動量、持病の有無等によって様々です。

その人にとって必要なタンパク質がどの様な方法で計算されているのかを知る事は、現時点でタンパク質が不足していないかを確かめられたり、その時の状況に合わせた大まかなタンパク質の必要量を知る事にも繋がります。

厚生労働省が編集している日本人の食事摂取基準におけるタンパク質の推定平均必要量は、その年代の人の50%が必要量を満たす事ができる値となっており、体重1kgあたり約0.7g、標準的な体格であれば男性で50g、女性で40g程になります。

しかし、推定平均必要量のタンパク質量では筋肉の減少を認めた報告もあり、その人にとって適正量のタンパク質が摂取できているかどうかは、体重測定や歩行の様子の観察等で個々に評価をする事が大切です。

また、持病がある場合や大きな手術の前後であるといった場合には、一般的な基準を自己判断で当てはめる事は消化器官への負担やタンパク質不足に繋がる事があるため、主治医に相談の上指示を守りましょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士