高齢者における栄養指導のポイントは!?よくある問題と共に管理栄養士が解説!

持病の食事療法や、高齢者にも食べやすい、軟らかく飲み込みやすい食事の調理法、栄養を強化するための食事法等、高齢者に対して行われる栄養指導の内容は多岐にわたります。

しかし、高齢者の特徴として、身体状況や理解能力、社会的背景等の個人差が大きく、栄養指導を行う上での障害となる事も少なくありません。

そのため、高齢者に対して栄養指導を行う際には、その様な問題点ついて配慮する事がポイントとなります。

今回本記事では、高齢者に栄養指導を行う上でよく聞かれる問題や、その問題に配慮した具体的な栄養指導のポイントについてお伝えします。

現在、高齢者の栄養指導に難しさを感じているという方は、参考にご覧下さい。

高齢者に栄養指導をする上でよくある問題とは!?

冒頭でお伝えした様に、高齢者個人の身体状況や生活背景が栄養指導を行う上で障害となる事は少なくありません。

そのため、高齢者の栄養指導で起こりがちな問題を把握し、配慮する事が大切です。

ここでは、高齢者に栄養指導をする上でよくある問題についてお伝えします。

栄養指導内容の把握や理解度に個人差がある

高齢になると認知機能にも個人差が生じるようになり、それによって栄養指導の内容に対する理解度にも個人差が生じます。

また、聴覚の低下等により指導の内容が聞き取れないといった場面にもしばしば遭遇します。

そのため、栄養指導を高齢者1人で受けるといった場合には、内容の把握や理解度が不十分となり、指導内容の実践がしにくくなります。

生活の制限や経済的な制約がある事も少なくない

高齢者は年金で生活する人も多く、食材に多くのお金をかけられないというケースもありますが、野菜の量を確保したり、毎食肉や魚等のタンパク質源を食事に取り入れる事はそれなりの費用がかかります。

そのため、栄養指導によって提案された食事内容の実践が、経済的な制約によって実行が難しい場合もあります。

また、買い物をする店が近くになかったり、体力的にこまめな買い物が難しくなるといった生活の制限がある場合も多く、それによって食材を揃える事ができなかったり、食事内容の偏りが生じ、栄養指導の内容の実践に繋がらない事もあります。

自分で調理をする事が難しく、食形態の調節が必要な場合もある

加齢による身体機能の低下により、長時間立って活動する事や手先を使って細かい作業をする事ができなくなる事が多くあります。

そのため、独居の場合等に高齢者本人が調理を行う事はその人の身体状況によっては難しくなります。

また、加齢により食べ物を噛む力や飲み込む力の低下も起こりやすく、食材を軟らかく喉越しが良い状態に仕上げるために調理法を工夫する必要が出てくる場合もあります。

この様な場合、食形態の調節が自分では上手くできず、食材が噛みきれない、飲み込みにくい事によって食事摂取量の低下や誤嚥等、命に関わる事故に繋がる恐れもあります。

高齢者における栄養指導のポイントは!?

高齢者における栄養指導のポイントは!?

前章では高齢者に栄養指導をする上でよくある問題についてお伝えしました、

実際に栄養指導を行う際は、それらの問題に配慮をする事が大切ですが、具体的な栄養指導のポイントして押さえたいのはどの様な事なのでしょうか。

ここでは、高齢者の栄養指導における具体的なポイントについてお伝えします。

家族やヘルパーと共に栄養指導を受けてもらう

前章でお伝えした様に、加齢による認知機能や聴覚の低下により、栄養指導内容の理解が不十分となる事があります。

そのため、指導の際に難しい言葉は使わない、ゆっくりはっきりと話す事といった心がけの他、高齢者の家族や介護ヘルパーといった身近な人と一緒に栄養指導を受けてもらい、指導の内容を共有する事で栄養指導を実践に繋げやすくなります。

生活や経済的背景を考慮した食材やサービスの選び方を指導する

高齢者の生活背景や経済的背景には、例えば独居である、足腰が弱く頻繁に買い物に行けない、年金暮らしで食事にかけられるお金が限られる等その人によって様々な事情があります。

栄養指導はその内容を実践に繋げる事ができなければ状況の改善も見込めないため、その人の生活や経済的背景を考慮した食材やサービスの選び方を指導する事が大切です。

例えば、独居の場合や買い物に頻繁に出られないといった場合には、高齢者向け宅配弁当サービス等の配食サービスの提案や長期保存が可能な冷凍野菜や缶詰を使ったレシピを提案したり、食事にかけられるお金が限られているといった場合には、肉や魚と比較して安価であり、調理も簡単にできる上良質なタンパク質を豊富に含む卵や大豆製品を積極的に取り入れた食事を提案する等といった指導の方法があります。

その人に合った栄養量や食形態の調理済み食品を提案する

加齢による身体機能の低下によって高齢者本人が調理をする事が難しい場合は、レトルトパウチの介護食や高齢者向け宅配弁当サービス等の調理済み食品を取り入れる事を提案する事で栄養指導の内容の実践がしやすくなる場合もあります。調理済み食品を提案する際のポイントは、その人に必要なカロリーやタンパク質量を確認し、その人に合った栄養量のものを提案する事、その人の噛む力や飲み込む力について本人や介護者から聞き取りを行い、その人に合った食形態のものを提案するといった事があります。

前項でも少し触れた高齢者向け宅配弁当サービスは、献立を管理栄養士が監修し、栄養価計算がされています。

また、カロリーが段階的に選べるものや、持病がある人にも安心なタンパク質や塩分が調整されたものもあります。

また、食形態についても舌で潰せるムース食から通常の硬さのおかずまで、幅広く取り扱われています。

特に独居の高齢者の場合は火の取り扱いが心配という声もよく聞かれますが、レトルトパウチの介護食品には加熱せずそのまま食べられるものもありますが、宅配弁当は冷凍で届いたものをレンジで解凍する事が必要となります。

そのため、普段の食事の様子から調理機器がどの程度であれば安全に使用できるのかを判断し、レトルトパウチの介護食または高齢者向けの宅配弁当を提案する事も必要です。

高齢者の栄養指導は個人の状況に合わせて柔軟に対応する事がポイント!

高齢者の栄養指導は個人の状況に合わせて柔軟に対応する事がポイント!

高齢者に行われる栄養指導は、持病の食事療法の他、高齢者にも食べやすい、軟らかく飲み込みやすい食事の調理法、栄養を強化するための食事法等、その内容は多岐にわたります。

しかし、高齢者の特徴として、身体状況や理解能力、社会的背景等の個人差が大きく、栄養指導を行う上での障害となる事も少なくありません。

そのため、高齢者に対して栄養指導を行う際には、その様な問題点ついて配慮する事がポイントとなります。

高齢者に栄養指導を行う上でよくある問題として、認知機能や聴力の低下により高齢者1人では栄養指導内容の理解が不十分になりがちである事、買い物に行けない等の生活の制限や食事にかけられるお金が少ないといった経済的制約がある場合もある事、加齢による身体機能の低下により高齢者本人が調理をする事が難しい事等があります。

これらの問題に対する対策として、栄養指導の内容について理解度に不安がある場合は家族や介護ヘルパー等といった身近な人と一緒に栄養指導を受けてもらい内容を共有する事、買い物が困難である場合には長期保存が可能な食品や宅配サービス等の提案をする事、経済状況によっては安価でありながらも栄養価の高い食品の提案を行う事、高齢者本人が調理する事が難しい場合には調理が不要なレトルトパウチの介護食や高齢者向け宅配弁当等をその人に必要な栄養量や安全に食べられる食形態、調理機器使用の可否に合わせて提案するといった対策があります。

高齢者は1人1人の身体状況や認知機能、生活の背景の個人差が大きいため、その人の状況に合わせて柔軟に対応する事が大切です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士