高齢者が食べても太らない、そんな時確認したいポイントは?対処法もご紹介

「食事をしっかり食べているのに太らない」この様な相談は、インターネット上における高齢者の介護相談や、病院や高齢者施設において高齢者の家族からの相談でよく聞かれる内容でもあります。

高齢になると加齢による身体機能の変化により、食べ物を消化したり栄養を吸収する機能が低下し、「食べても太らない」といった現象は起こりやすい傾向にあります。

しかし、他の理由を疑わず全て加齢のせいにしてしまう事により、思わぬ病気を見過ごしてしまったり、必要量に対して栄養量が不足している状態が続く事で栄養状態が低下している事に気づく事が遅れてしまうといった事も起こり得ます。

そのため、もしあなたのご家庭の高齢者が食べているのに太らない、そんな時は様々な方向からその理由を探ってみる必要性もあります。

今回本記事では高齢者が食事をしっかり食べていても太らない、そんな状況において確認したいポイントや、食べても太らないその理由別の対処法についてお伝えします。

高齢のご家族が食べても体重が増えず、心配しておられる方は一度本記事で紹介しているポイントを確認してみてはいかがでしょうか。

高齢者が食べても太らない時、確認したい4つのポイント

高齢者が食べても太らない時、確認したい4つのポイント

高齢者が食べても太らない、その理由は心身の健康状態の悪化や食事からの摂取カロリー不足等様々であるため、加齢によるものと決めつけずに慎重に確認する必要性があります。

ここでは、高齢者が食べても太らない時、確認したい4つのポイントについてお伝えします。

ポイント①心身の状況は健康であるか

高齢者が食事をきちんと食べているはずなのに太らない、という場合にまず確認したい事は、身体や心の健康状態です。

例えば、悪性の腫瘍等があると栄養がうまく代謝されず、食べた食事が栄養として取り込まれにくくなる他、身体が平常時よりもカロリーを多く消費するため、痩せてくるといった事があります。

また、精神的に大きなストレスを抱えている状態でもカロリーの消費量が増えるため、食べても太らないという状況が起こりやすいと言えます。

食べても太らない、痩せてくるといった場合には心身の病気が隠れている場合もあるため、病院を受診し確認をする事も必要です。

ポイント②必要なカロリーを過小評価していないか

高齢になると生命維持に必要なカロリーである基礎代謝量が少なくなる事は一般に知られています。

それに加え、活動量が減る事や、若い頃と比べて食欲が落ち着く人も多いため、「高齢者だからあまり多くのカロリーは必要ない」と周囲や本人が自己判断しがちです。

しかし、本当にその人に必要なカロリーは、体格や性別、個々の活動量や身体状況によって異なり、一般的に高齢者に必要なカロリーと言われているその基準を鵜呑みにしてしまうと、場合によってはカロリー不足となり、「充分な食事を食べているつもりなのに太らない、痩せてくる」といった現象が起こり得ます。

そのため、その人に必要なカロリーを計算する際は、活動量や身体状況等を考慮する必要性があります。

ポイント③下痢等の症状はないか

加齢による身体的変化として、食べ物を消化する消化液の分泌量か低下したり、腸管粘膜が萎縮する事によって食べ物の消化や栄養の吸収機能が低下するといった事があります。

それによって、食事量相応のカロリーや栄養素が体内に取り込まれず、食べても太らないといった事が起こりやすくなります。

消化不良の症状として、下痢や胃のむかつき、嘔吐といった症状が現れる事があるため、その様な症状かないか、観察する必要性があります。

ポイント④活動量が低下していないか

「食べても太らない」といった事の背景には、「身体の筋肉量が減っている事に気づいていない」という事が隠れている場合もあります。

活動量の低下等により筋肉量が減ると体重も減少するため、食事をしっかり食べているつもりでも体重が増えない、体重が減るといった事が起こりやすくなります。

特に筋肉量の減少は更なる活動量の低下、活動量の低下による食欲不振といった様な悪循環を引き起こすため、まずは最近ベッドから起きる事や外出をおっくうがるといった様な活動量の低下がないか確認してみましょう。

高齢者が食べても太らない時の対処法

高齢者が食べても太らない時の対処法

前章では、高齢者が食べても太らない時に確認したい4つのポイントについてお伝えしました。

また、状況を改善するためには食べても太らないその理由に合った対処が必要です。

ここでは、高齢者が食べても太らない時の対処法のヒントについてお伝えします。

心身に病気がある場合は適切な治療と並行し医師の指示のもと食事療法を行う

食べても太らないという理由で医師に相談し、何らかの病気が見つかった場合はその病気に対する適切な治療を行う事がまずは必要になります。

治療を行う事で病気によって消耗するカロリーが減り、それだけでも食べても太らない状況は改善する場合もありますが、例えば栄養補助食品等を取り入れる事でよりカロリーや栄養を強化できる様な食事の内容を指示されたり、食材の選択や調理法を工夫する事で消化に優れ、栄養が吸収されやすい食事にする等といった食事療法の指示を受ける場合もあります。

持病がある場合、食事療法を自己判断で行ったり中断したりしてしまうと持病の予後や治療の経過に支障が出る場合もあるため、必ず主治医の指示を守り、分からない事は確認する事が大切です。

その人にとって本当に必要なカロリーを正しく把握する

心身の健康状態に問題が無いにも関わらず、食べても太らないという場合は、今一度その人にとって本当に必要なカロリーを確認し、必要に応じて現在の食事内容を見直す必要があります。

既にお伝えしている通り必要なカロリーはその人の体格や活動量によって違い、持病が無くとも一時的な発熱や怪我等によって必要なカロリーは増えるため、その様な場合は糖質とタンパク質を補える間食を取り入れたり、食事に消化の良い油を使用してカロリーを補充する必要性も考えられます。

高齢者における必要なカロリーの求め方については以下の記事をご覧下さい。

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下痢等の消化不良の症状がある場合は消化吸収が良い食事内容に配慮する

前章でお伝えした通り、高齢になると食べ物の消化機能や栄養の吸収機能が低下し、下痢や胃のむかつき等といった身体的症状が現れる事もあります。

消化不良による下痢は体液を損失するため繰り返す事で体重減少に繋がり、胃のむかつきは食欲不振を招く事により必要量に対して摂取カロリーが不足する原因にもなり得ます。

そのため、食べても太らない状況を改善するためには、消化・吸収の良い食事内容に配慮する必要があります。

下の表にも示していますが、一般的に繊維が硬いものや脂の多いものは消化しにくく、下痢や胃のむかつき等に繋がりやすい傾向があります。

また、間食を取り入れ1食あたりの食事量を抑え、回数を増やす事も食事からの栄養を消化吸収しやすくするためおすすめです。

・消化・吸収に配慮した食品の一例

消化の良い食品 消化しにくい食品
主食となる食品 白米、うどん、食パン等 ラーメン、蕎麦、玄米、チャーハン等
主菜となる食品 鶏肉等の脂身が少ない肉類、豆腐、卵 脂身の多い肉類、鰻、イカ、タコ等
野菜、きのこ、海藻 葉物野菜の刃先、人参、じゃがいも等 きのこ、海藻、こんにゃく
乳製品 ヨーグルト、チーズ 生クリーム
バター、マヨネーズ、植物油、MCTオイル 肉の脂身、揚げ油(ラード)

 ※MCTオイル…中鎖脂肪酸を含んだ油。消化にとりわけ優れ、栄養療法にも使用されるが市販で購入する事もできる。

筋肉量の減少がある場合は活動量を増やし、カロリーやタンパク質を充分に摂る

高齢者において、食べても太らないという状況があり、なおかつ腿やふくらはぎが細くなった、活動量が減った等の筋肉量の減少が疑われる症状がある場合には、カロリーはもちろん、筋肉をはじめとした私たちの身体の組織を作るタンパク質を充分に摂り、できるだけベッド以外で過ごす時間を増やす、ベッド上でも下半身の曲げ伸ばし等を行う等活動量を増やす事で筋肉量を増やす事も大切です。

筋肉量を増やすためにはタンパク質等の栄養摂取をした上で筋肉に刺激を与える活動が必要不可欠です。

ただし、タンパク質を充分に摂っていても全体的な摂取カロリーが不足していると体内のタンパク質や筋肉を分解し、カロリーとして利用されるため低栄養や筋肉量の減少に繋がりやすくなるため注意が必要です。

持病がある場合は主治医の指示を守る事が第一となりますが、タンパク質は体重1kgあたり1g(体重50kgの人であれば50g)は摂取できると良いでしょう。

高齢者におけるカロリーやタンパク質の摂取量についての考え方は以下の記事でお伝えしていますのでご覧下さい。

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高齢者が食べても太らない原因はさまざま。まずは身体状況の確認が大切!

「食事をしっかり食べているのに太らない」この様な相談は、インターネット上における高齢者の介護相談や、病院や高齢者施設において高齢者の家族からの相談でよく聞かれます。

高齢になると加齢による身体機能の変化により、食べ物を消化したり栄養を吸収する機能が低下し、「食べても太らない」といった現象は起こりやすい傾向にあります。

しかし、他の理由を疑わず全て加齢のせいにしてしまうと、思わぬ病気を見過ごしてしまったり、必要量に対して栄養量が不足している状態が続く事で栄養状態が低下している事に気づく事が遅れてしまうといった事も起こります。

そのため、もしあなたのご家庭の高齢者が食べているのに太らない、そんな時は様々な方向からその理由を探ってみる必要性もあります。食べても太らないその理由として確認したい主なポイントとして、

  1. 心身の状況は健康であるか
  2. 必要なカロリーを過小評価していないか
  3. 下痢等の症状はないか
  4. 活動量が減る

等の筋肉量が減る事で起こる症状はないかといった4つのポイント考えられ、その状況に応じた対処法が必要です。

食べても太らない事について医師に相談し、何らかの病気が見つかった場合には病気に対する適切な治療と並行して食事療法を行う事、健康状態に問題は見られないものの食べても太らないという場合は、その人に必要なカロリーを今一度確認する事、下痢等消化不良の症状がある場合は消化・吸収に配慮した食品を選ぶ事、活動量の減少等筋肉量の減少と思われる症状がある場合は適切なカロリー、タンパク質等の栄養摂取とあわせて活動量を増やす事を心がけ、筋肉量を増やす事で体重の減少を防ぐといった対処法があります。

この様に、高齢者が食べても太らない原因はさまざまであるため、まずは身体状況を確認する事が大切です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士