ねたきりの高齢者に必要なカロリーはどれくらい!?食事の注意点も解説!

高齢になると、身体機能の低下、怪我や病気をきっかけに寝たきりとなってしまう事も少なくありません。

この記事を読んでいるあなたは、寝たきりになった高齢者における1日の必要カロリーはどれくらいか想像した事はあるでしょうか。

寝たきりの状態は活動がある場合と比較して一般的に必要カロリーは少なくなりますが、その人の体格の他発熱や手術の有無といったその時の状況によっても大きな幅があります。

また、カロリーの摂取量が必要量に対して不足した状態が続くと、低栄養による床ずれの発症、認知機能を含めた全身状態の悪化に繋がる恐れもあります。

寝たきりの高齢者は例えば熱がある、手術後であるといった様に身体状況が変化しやすいといった特徴もあり、カロリーが必要量に対して不足しない様、その時の状況に合わせた必要カロリーの見直しも必要です。

今回本記事では寝たきりの高齢者に必要なカロリーの考え方や寝たきりの高齢者における食事の注意点についてお伝えします。

寝たきりの高齢者が必要なカロリーを安全に摂取するために必要な知識を身に付けましょう。

寝たきりの高齢者に必要なカロリーの考え方

寝たきりの高齢者に必要なカロリーの考え方

寝たきりの状態と聞くと、一般的に多くのカロリーを必要としないイメージがあるかもしれませんが、その人の体格や身体的状況によって大きな幅があるため、その人にとってその時必要なカロリーは状況に合わせて適切に把握する事が大切です。

ここでは、寝たきりの高齢者に必要なカロリーの考え方についてお伝えします。

基礎代謝量を計算する

どの様な身体状況の場合であっても、その人に必要なカロリーを知る上で欠かせないのが基礎代謝量を計算し、値を把握する事です。

基礎代謝量は主に、心臓の拍動や呼吸といった生命維持活動で消費するカロリーを指します。

基礎代謝を計算する際は標準体重に年代や性別によって異なる基礎代謝基準量を乗じる方法が一般的ですが、極度に痩せている等の理由で現在の体重が標準体重と大きな差がある場合は、まずは現在の体重を基準に基礎代謝量や必要カロリーを計算し、体重や皮下脂肪の付き方といった全身の状況を観察しながら標準体重あたりの必要カロリーに摂取カロリーを近づけていくという方法をとる事もあります。

標準体重は身長(m)を二乗した値に標準体重を示す体格指数である22をかけて求める事ができます。

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高齢者の必要カロリーってどれくらい?簡単な計算式もご紹介!!

例えば身長が160cmの場合は、1.6(m)×1.6(m)×22=56.32
標準体重は約56.3kgとなります。

また、70歳以上の基礎代謝基準量は男性21.5kcal/kg/日、 女性:20.7kcal/kg/日となり、先の例が男性である場合は

56.3×21.5=1210.5

基礎代謝量は約1210kcalとなります。

寝たきりでも、状況によって活動量を考慮する

寝たきりの状態では座位や立位で生活する高齢者と比較して活動量が少ない事は確かです。

しかし、寝たきりの状態だからといって一律に活動量を考慮する必要が無いとは言えません。

それは、意識が覚醒しているかどうか等によって活動レベルが異なるためです。

例えば、寝たきりであっても意識がある状態であれば下の表に示している活動係数から基礎代謝量に1.1の係数を乗じてカロリーを計算する必要があります。

前項の例を用いると、寝たきりであっても意識があり、尚且つ病気や怪我等による炎症が無い状態であれば

1210(基礎代謝量)×1.1(活動係数)=1331

必要カロリーは1330kcal〜1340kcalとみても良いでしょう。

活動レベルにおける活動係数

活動レベル 活動係数
寝たきり(昏睡下状態) 1.0
寝たきり(覚醒) 1.1
ベッド上安静 1.2
ベッド以外での活動あり 1.3〜1.4

怪我や発熱、手術の前後では炎症による消費カロリーも考慮する

必要カロリーを計算する上でもう一点考慮する必要があるのが、その人の身体状況による炎症の有無です。

例えば発熱や怪我、手術等により身体に負担がかかった状態では炎症反応によって消費するカロリーが増えるため、寝たきりであっても多くのカロリーが必要になります。

身体状況によっては下の表に示した障害係数を乗じて必要カロリーを計算する必要があります。

前項の例において、発熱がある場合等には

1210(基礎代謝量)×1.1(活動係数)×1.2(障害係数)=1597.2

約1600kcalのカロリーを要するといった計算になります。

障害係数

障害の分類 障害係数
骨折、熱傷等 1.2〜1.3
発熱(平熱から1℃上昇ごとに) 1.2〜1.3
手術(切除する部位や範囲による) 1.1〜1.8

 (参考:NPO法人PDN 必要栄養量の算出

寝たきりの高齢者における食事の注意点

寝たきりの高齢者における食事の注意点

寝たきりとなった高齢者は、食事のときに座った姿勢を取りにくい、噛む力や飲み込む力が弱くなっている、昼夜逆転等食事を含めた生活時間の乱れが生じやすいといった問題もあり、寝たきりの高齢者が安全に必要カロリーを摂取していくためには配慮が必要です。

ここでは、寝たきりの高齢者における食事の注意点についてお伝えします。

食事の際の体位や食形態をに配慮し誤嚥を防ぐ

高齢になると食事や水分を飲み込む力が弱くなる事が多いですが、寝たきりの高齢者は全身の筋力が低下するため、更にその傾向は強くなります。

そのため、体位や食形態によっては食べ物や水分が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」を起こしやすく、誤嚥性肺炎の肺炎により命を落としてしまうケースもあります。

この様な理由から、寝たきりの高齢者の場合は特に、食事の際の体位や食形態への配慮が必要です。

誤嚥をしにくい体位のポイントとして、ベッドのリクライニングを45度〜80度に起こし、首の後ろにクッションを挟む等して首を安定させるといった事が大切とされています。

食形態への配慮については汁物や飲み物には介護用とろみ調整食品や片栗粉等でとろみをつける、ムース状等の喉越しが良い介護食を取り取り入れるといった方法もあります。

また、食事介助をする際は高齢者が覚醒しているか確認してから食事をすすめるは大前提と言えます。

覚醒が不十分な状態での食事も誤嚥の原因となります。

日常的に身体を観察し、食事量や内容が適切かを確認する

寝たきりの高齢者における必要カロリーは計算によって求める事ができますが、実際に計算上のカロリーの食事がその人にとって充分であるかどうかは、体重の増減や皮下脂肪量の増減等を観察し判断する必要があります。

体重の減少や皮下脂肪の量が減り、視覚的に痩せてきたと感じる場合は必要カロリーに対して食事から摂取するカロリーが不足している可能性があるため、1食の量を増やすのが難しい場合は間食を取り入れる、少量・高カロリーの栄養補助食品を取り入れるといった方法で食事から摂取するカロリーを増やす必要性も考えられます。

同様に、風邪等で発熱があった場合等は平常時より多くのカロリーを消費しているため、摂取カロリーを増やす事が必要性もあります。

もし体重や皮下脂肪量の減少があるにも関わらず、計算上の必要カロリーをそのままに食事量や内容を見直す事がなければ、全身の栄養状態は低下し、皮下脂肪の減少による骨の突出でベッドの圧やこすれによって床ずれ等を起こしやすくなります。

しかし、寝たきりの高齢者では、立位を取る事ができる高齢者と比べて体重測定が難しいものです。

寝たきりの状態で体重を測定する方法として、小柄な人であれば入浴の際に介護者が抱き抱えて体重計に乗り、自分の体重を差し引くといった方法でも測定が可能です。

また、毎日身体を拭いたり、着替えをする際に、身体を注視する事で皮下脂肪量の減少に早く気づく事ができます。

生活リズムや体内リズムの乱れを防ぐため、できるだけ食事時間は一定にする

足腰が弱くなり、家の中に閉じこもりがちになる事で、日常生活のメリハリがなくなってしまう高齢者は少なくありません。

特にベッド上での生活を余儀なくされる寝たきりの高齢者においては、睡眠のリズム等の生活リズムが乱れやすい傾向があります。

生活リズムの乱れは自律神経等の体内リズムの乱れにも繋がり、健康状態を悪化させる原因にもなり得ます。

寝たきりの状態であっても生活リズムの乱れを防ぐ方法として、できるだけ3食の食事時間を一定にし、それに合わせて起床や就床等の時間のめやすを設けるという方法があります。

また朝食の際には、部屋に光を入れる事で覚醒のスイッチを入れる事ができます。

寝たきりの高齢者でも必要カロリーは個人差あり。定期的な見直しが必要な場合も

高齢になると、身体機能の低下、怪我や病気をきっかけに寝たきりとなってしまう事も少なくありません。

寝たきりの状態は活動がある場合と比較して一般的に必要カロリーは少なくなりますが、その人の体格の他発熱や手術の有無といったその時の状況によっても大きく幅があります。

また、カロリーの摂取量が必要量に対して不足した状態が続くと、低栄養による床ずれの発症、認知機能を含めた全身状態の悪化に繋がります。

寝たきりの高齢者発熱や手術等身体状況が変化しやすいといった特徴もあり、カロリーが必要量に対して不足しない様、体重や体脂肪量の推移を含めその時の状況に合わせた必要カロリーの見直しが必要な時もあります。

高齢になると食事や水分を飲み込む力が弱くなる傾向がありますが、寝たきりの高齢者においてはその傾向が更に強くなります。

食事や水分を誤嚥する事によって起こる誤嚥性肺炎は命に関わる事もあるため、食事の際の体位や食形態の配慮によって誤嚥を防ぐ事が大切です。

また、ベッド上での生活を余儀なくされる寝たきりの高齢者は睡眠のリズムをはじめとした生活リズムが乱れやすい状況にあります。

生活リズムの乱れは体内リズムの乱れにも繋がり、健康状態の悪化をきたす事もあるため、食事時間のリズムをできるだけ一定にし、生活リズムの乱れを防ぐ事も大切です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士