高齢者の食事バランス、気をつけたいポイントとは!?状況別対処法を解説!

毎日の食事において、栄養を過不足なく摂るためには、「バランスの良い食事」を意識する事が大切です。

バランスの良い食事とは、農林水産省が提示している「食事バランスガイド」でも示されている様にごはんやパン、麺等の「主食」と、肉や魚、卵、大豆製品等タンパク質を主に含む食品を使用した「主菜」、野菜、きのこ、海藻等を使用した「副菜」が揃った食事です。

主食、主菜、副菜はそれぞれ、主食は私たちの生命維持の他、活動や脳で思考する際のエネルギー源となり、主菜は血液や筋肉等私たちの体の組織や免疫を維持し、副菜はビタミン、ミネラルによって全身に栄養素を運搬し、生命活動を維持する働きがあり、食物繊維はお腹の調子を整え、健やかな血糖値にもつながります。

また、1日の中で、吸収の良いカルシウムを含む乳製品やビタミンを多く含み、間食としても最適な果物を取り入れる事で更にバランスが整います。

しかし、「バランスの良い食事」を実践する事は、献立や使用する食品のおおまかな量に配慮が必要であり、食が細くなったり、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった場合も多い高齢者では特に、バランスが乱れやすい背景にあるといえます。

食事のバランスが乱れる事は栄養不足に直結し、高齢者の場合は筋肉量の減少により寝たきりに繋がったり、活動性が低下する事で様々なリスクが高まる事も分かっており、高齢者が元気で過ごす事ができる「健康寿命」を短縮させてしまう事にもなりかねません。

今回本記事では、高齢者の食事バランスについて気をつけたいポイントや陥りやすい状況別の対処法について解説し、高齢者であっても食事のバランスを整えやすくするための秘訣をお伝えします。

高齢者の食事バランス、気をつけたい3つのポイント

高齢者の食事バランス、気をつけたい3つのポイント

一般的な成人と高齢者では、身体能力等の状況が異なるため、高齢者の食事のバランスについては特に配慮すべきポイントがあります。

ここでは、高齢者の食事バランスについて気をつけたい3つのポイントについてお伝えします。

高齢者の食事バランス、気をつけたいポイント①主食は充分な量か?

主食は活動や思考の他、生命維持にとっても重要なエネルギー源となる糖質を多く含みます。

食事全体のエネルギーの半分程度は主食から摂る事が望ましく、1食分のめやすとしてはご飯であれば150g程度、パンであれば8枚切り2枚、麺類であれば茹でうどん1袋(200g前後)となります。

しかし、高齢になると食が細くなる事や、持病の悪化を恐れて充分な量の主食を食べられないケースも多くあります。

主食を充分に摂る事ができないと、私たちの身体は不足しているエネルギーを脂肪の他、筋肉を燃やして補おうとするため、筋肉が痩せて活動性が低下したり、血液中のタンパク質が減少し栄養状態が低下する事に繋がります。

高齢者の食事バランス、気をつけたいポイント②主菜の有無と食べている量は?

主菜は肉や魚、卵や大豆製品等のタンパク質を多く含む食品を使用した一品で、タンパク質は私たちの体や免疫を維持する働きがあります。

タンパク質は高齢者においても一般的な成人とほぼ変わらない量が必要とされ、1食のめやす量としては肉、魚はこぶし一つ大、卵であれば1個、豆腐であれば1/4丁程です。

しかし、高齢者自身が食事を用意する場合等において、例えばご飯と漬物だけ、カップラーメンだけ、菓子パンだけ、といった様な主菜がなく、主食に偏りがちな食事であるケースもよく見られます。

また、噛む力や飲み込む力が弱くなる事で肉や魚が噛みきれなかったり飲み込めない事で充分な量を食べられないといった事もあります。

この様に主菜が欠けた食事が長く続く事でタンパク質不足を引き起こし、筋肉量が減少する事による活動性の低下、栄養状態や免疫が低下する事により感染症にかかりやすく重症化もしやすいといった事にも繋がります。

高齢者の食事バランス、気をつけたいポイント③副菜の有無と食べている量は?

副菜は野菜やきのこ、海藻を使用した一品で、ビタミン、ミネラル、食物繊維を補給する事ができます。

これらの栄養素は食事をエネルギーに変えたり、タンパク質や脂質を全身に運搬し、栄養素の吸収等にも関わる事で生命活動を維持する働きをします。

また、食物繊維もお腹の調子を整え、血糖値の急上昇を防ぐといった働きで全身の調子を整えます。

副菜の1食分のめやす量は、品数で2品程度、野菜量で見ると100g以上です。

100gの野菜は、生だと両手一杯分、加熱したものであれば片手1杯分程度となります。

しかし、先にお伝えした様に、食事を簡便化しようとして主食に偏ったり、もともと野菜を好まない場合等では副菜が欠けているケースもあります。

副菜が欠けてしまう事でビタミン、ミネラル、食物繊維が不足すると、エネルギーや栄養素が体の中で上手く利用されず、様々な不調の原因となる他、食物繊維が不足する事で便秘の原因にもなります。
(参考:農林水産省 食事バランスガイド

高齢者の食事、陥りやすい状況とその対処法

高齢者の食事、陥りやすい状況とその対処法

高齢になると活動量や消化・吸収機能が低下する事や、噛む力飲み込む力が弱くなるといった身体機能の変化によって、今まで通りに食事が摂りづらくなる事も多くあります。

高齢者の食事のバランスを維持するためには、加齢によって陥りやすい食事の状況に対処する事が必要です。

ここでは、高齢者の食事において陥りやすい状況とその対処法についてお伝えします。

主食が充分に食べられない場合は、主食以外で糖質を補う

前章において、1食分の主食のめやす量はご飯であれば150g程度とお伝えしました。

しかし、このご飯の量を聞いて、「高齢者でなくても多いな」と感じた人もいるのではないでしょうか。

実際に、高齢者の中には食が細くなる事やおかずに対して主食が余ってしまい、必要な主食の量を食べる事ができないという人は多くいます。

また、主食がお粥であるという場合は、水分によって米の重量が増えている状態なので、ご飯の重量としては半分程度になり、量の割にエネルギーを確保するのが難しいのです。

この様に、主食が充分に食べられない場合は、主食と同じく炭水化物(糖質)を多く含む芋類等を副菜に取り入れたり、汁物に素麺等の主食にもなりそうな食品を加えて炭水化物を補うといった方法があります。

その他には間食でも糖質やエネルギーを補う事ができます。

主菜や副菜が「硬くて食べられない、飲み込みにくい」場合は調理の工夫をする

高齢になると、噛む力や飲み込む力が弱くなる事で食事を思う様に食べられず、食事の摂取率が減ってしまうといったケースも多くあります。

そして「硬くて噛み切れない、飲み込みにくい」といった食品の多くは主菜に使用する肉、魚や、副菜に使用する野菜やきのこ、こんにゃく、海藻類等です。

高齢者でも食べやすい食事にするためには、下の表に示す様な軟らかいおかずに向く食品の選択や食品を軟らかく仕上げる調理の工夫を取り入れる事が必要です。

きのこ、こんにゃく、海藻等はその人の噛む力や飲み込む力によっては喉に詰まらせたり、誤嚥の危険性を伴う事もあるため、避けた方が無難な場合もあります。

その場合は代用として野菜を使用し、ビタミンやミネラルを補給しましょう。

軟らかいおかずに向いた食品
主菜
木綿豆腐、絹ごし豆腐
脂がのった肉、魚
挽肉(つなぎを混ぜて調理する)
副菜 芋・かぼちゃ
人参、大根等の根菜
ほうれん草、白菜等の葉物野菜の葉先
トマト(湯むきして種を取る)、茄子(皮をむく)、ブロッコリー

・食品を軟らかく仕上げる調理の工夫

食材 柔らかくするための下処理、調理法
主菜 肉、魚 ・フォーク等で身に穴を開けて筋切りをする
・ヨーグルト(肉の水分を閉じ込める)、麹、キウイ(肉のたんぱく質を分解する)等が入ったタレに漬け込み、肉質を柔らかくする
・塩は焼く直前に使う(置いておくと身が硬くなる)
・表面に小麦粉や片栗粉をまぶして焼き、肉汁の流出を防ぐ
・中火でじっくり焼く(肉汁が流れにくい)
・挽肉はつなぎを混ぜて焼く
・魚は焼き過ぎない様にする、煮る、蒸す
副菜 ・繊維が硬く、長さがある野菜(ごぼう、セロリ等)
・人参、大根等の根菜をある程度の大きさで煮る場合
・繊維をなるべく短く断ち切る様に切る
・隠し包丁を入れる

食事が主食に偏りがちな場合は、「複合菜」を取り入れる

手早く食事の準備をしたい時や、その人の嗜好によっておにぎりやうどん等、主食の単品メニューに偏りがちな時は、例えばうどんにほうれん草等の野菜や卵、鶏肉等を加えた煮込みうどんや、野菜と鶏肉を炊き込んだ炊き込みごはんのおにぎりにするといった様に、主食となる食品に主菜となるタンパク源、副菜となる野菜等を組み合わせた「複合菜」が便利です。複合菜であれば、一皿でバランスが取れ、見た目のボリュームも控えめなので食が細い高齢者でも食べやすいというメリットがあります。

昼食等で食事を手軽に済ませたい時にも、家族分調理しても手間が少ない事が介護者にとっても嬉しいポイントでもあります。

食事の全体量が不足している場合は、間食で糖質とタンパク質等を補う

高齢になり食が細くなると、食事のバランスは悪くなくても食べる量が少ないために全体的な栄養不足に陥りがちです。

1食分の食事量でめやすの主食や主菜の量が確保できない場合は、不足している糖質やタンパク質といった栄養素を間食で補うという方法があります。

具体的な間食の内容としては、卵や乳製品を使用したフルーツヨーグルトややカステラ等は糖質とタンパク質が一度に補えるのでおすすめです。

こちらの記事でも、高齢者におすすめな栄養価の高い間食をご紹介しています。

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高齢者向け宅配弁当なら、バランスの良い食事がすぐに食べられる!

高齢者向け宅配弁当なら、バランスの良い食事がすぐに食べられる!

ここまで高齢者の食事における「バランスの良い食事」について気をつけたいポイントやバランスが乱れやすい状況別の対処法についてお伝えしてきましたが、介護者が家を空けたり、多忙である場合等、品数が揃った食事の準備が難しいといった状況もあるでしょう。

その様な時に便利なのが、最近各社が展開している高齢者向け宅配弁当サービスです。

この高齢者向け宅配弁当は冷凍で届くため冷凍庫で保存が可能で、解凍すれば食べたい時にすぐ食べる事ができます。

また、献立は高齢者の必要栄養量に沿って管理栄養士が監修しているので、バランスが良い食事を手軽に取り入れる事ができる他、舌で潰せるムース食から通常の形態まで食形態も幅広いので、その人の噛む力や飲み込む力に合わせたものが選べるのも魅力です。

高齢者の食事バランスは乱れやすい。献立や調理に一工夫しよう

栄養を過不足なく摂るためには、毎日の食事において「バランスの良い食事」を意識する事が大切です。

バランスの良い食事とは、ごはんやパン、麺等の「主食」と、肉や魚、卵、大豆製品等タンパク質を主に含む食品を使用した「主菜」、野菜、きのこ、海藻等を使用した「副菜」が揃った食事です。

主食、主菜、副菜はそれぞれ、主食は私たちの生命維持の他、活動や脳で思考する際のエネルギー源となり、主菜は血液や筋肉等私たちの体の組織や免疫を維持し、副菜はビタミン、ミネラルによって全身に栄養素を運搬し、生命活動を維持する働きがあり、食物繊維はお腹の調子を整え、血糖値の急上昇を防ぎます。

しかし、「バランスの良い食事」を毎日続ける事は、献立や使用する食品のおおまかな量に配慮が必要であり、食が細くなったり、噛む力や飲み込む力が弱くなるといった場合も多い高齢者では特に、バランスが乱れやすい背景にあります。

食事のバランスが乱れる事で栄養不足に直結し、高齢者の場合は筋肉量の減少により寝たきりに繋がったり、活動性が低下する事で認知症のリスクが高まる事も分かっており、高齢者が元気で過ごす事ができる「健康寿命」を短縮させてしまう事にもなりかねません。

高齢者が陥りやすい食事の状況として、主食の量がが足りない、主菜や副菜が硬くて食べられない、主食の単品メニューに偏る、食事の全体量が足りないといった事が挙げられます。

しかしその様な状況に対しては、主食量が足りない場合はおかずで糖質を補う、おかずを軟らかく仕上げるために調理の工夫をする、主食の単品メニューに偏りやすい場合は一皿でもバランスが整う複合菜をメニューに取り入れる、食事の全体量が少ない場合は間食で栄養を補うといった方法もあります。

また、近年各社が展開している高齢者向け宅配弁当サービスは、解凍するだけですぐにバランスの良い食事が食べられるので、介護者が食事の用意をするのが難しい時にも便利です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士