高齢者のご飯の量、適量はどれくらい?充分に食べられない時の対処法は!?

私たちの食事において、エネルギーの源であり毎食欠かせないものの一つであるのが主食である「ご飯」です。

しかし、ご飯の量は、年齢や体格の他、例えばご飯が好きといったその人の嗜好や体重を気にしているといった健康に対する考え方等によって個人差もあります。

特に高齢者はその人によって身体機能の個人差が大きいため、食事量や食形態についても個人差が大きいという実情があります。

インターネットの介護相談においても、ご飯やお粥の適量について悩む介護者は多く見受けられ、安心、安全に毎日食事を食べてもらうためにはご飯やお粥の量を含めた食事の適量を介護者が知っておく事はとても重要です。

また、高齢になると活動性の低下等によって食欲不振が起こりやすく、適量とされる量のご飯を食べる事が難しい人も少なくありません。

今回本記事では高齢者におけるご飯の適量をはじめ、ご飯が不足した場合に起こりうる身体への影響とご飯が充分に食べられない場合の対処法についてもお伝えします。

高齢者はご飯をどれくらい食べたら良い?

高齢者はご飯をどれくらい食べたら良い?

冒頭では高齢者のご飯やお粥の量の適量について悩む介護者が多い事をお伝えしました。

では実際に、高齢者は1日にどれくらいのご飯を食べたら良いのでしょうか。

厚生労働省と農林水産省が示している「食事バランスガイド」では1日に摂りたい各食品や料理の目安量を知る事ができます。

この食事バランスガイドにおいて、主食となる食品はご飯であれば茶碗軽く1杯(100g程度)、おにぎり1つ、6枚切り食パン1枚、ロールパン2個をそれぞれ「1つ」という単位で示し、70歳以上の高齢者はこれらの食品を4〜5つ分食べる事が望ましいとされています。

4〜5つ分のご飯の量を3食に割り振ると、朝は茶碗軽く1杯、昼、夜は普通盛り(150g程度)で一杯ずつといった例を示す事ができます。

お粥の場合はご飯と比較して水分が多いため重量は約2倍程になり、1食で食べられる量は1つ分程度です。そのため主食がお粥である場合は主食量が不足しがちになるため、おかずや間食で不足したエネルギーを補う必要があります。

食事バランスガイドにおける1日の主食量のめやす(70歳以上) 「1つ分」の食品例 「2つ分」の食品例
ご飯、パン、麺等の食品から4〜5つ分 ・ご飯茶碗軽く1杯(100g程度)
・お粥茶碗1杯分(200g)
・おにぎり1個(ご飯100程度)
・6枚切り食パン1枚
・ロールパン2個
・ご飯大盛り1杯(200g程度)
・パスタ(ゆで)1人前
・うどん、そば1人前

 (参考:農林水産省:食事バランスガイド 高齢者向け解説書

ご飯が不足するとどうなる?

ご飯が不足するとどうなる?

前章では、高齢者が食べたいご飯のめやす量についてお伝えしました。

しかし実際には食が細い、もともとご飯は多く食べないといった理由でめやすの量に比べてご飯の量が不足している高齢者は多くいます。

ご飯が不足した状態が長く続くと、健康状態が悪化する事もあるため、介護者はご飯が不足する事での身体への影響を知っておく事が必要です。

ここでは、高齢者がご飯を充分に食べられない場合に起こりうる身体への影響についてお伝えします。

エネルギーが不足し、活動性が減る

ご飯を含めた主食は生命維持や身体活動に必要なエネルギーの源になる糖質を豊富に含む食品です。

よって、ご飯が充分に食べられない場合は食事全体のエネルギーが不足し、エネルギー不足によってベッドから起き上がる事や外に出るのがおっくうになるといった様に活動性が減ってしまう事もあります。

エネルギー不足はこの様な身体的な活動性の低下だけではなく、頭がボーっとするといった症状を引き起こす事も多く、思考力や集中力の低下に繋がる事もあります。

エネルギー不足により体脂肪や筋肉量が減り、体重が減る

ご飯に含まれる糖質は、身体活動だけではなく体温の維持や心臓の拍動といった生命維持のエネルギーとしても利用されます。

私たちの身体は生命を維持するためのエネルギーが不足するとまずは体脂肪から、体脂肪では足りなくなると筋肉を燃やしてエネルギーを産み出します。

その結果、体脂肪や筋肉量が減り、体重の減少が起こります。急激な体重減少や痩せの状態は全身の栄養状態を悪化させ、寿命の短縮に繋がるといった事も分かっています。

タンパク質や脂質に偏った食事で胃腸に負担がかかる

近年の健康志向により、高齢者でもご飯の量を減らしているというケースも耳にします。

ご飯を減らす事によって食事の比率で多くなるのは肉や魚といった主菜や野菜料理である副菜です。

ご飯自体は脂質をほとんど含まず、消化する際に胃腸に負担がかかりにくい食品です。

しかし加齢によって消化管の粘膜が萎縮し、タンパク質や脂質を消化するために必要な消化液の分泌が減っている高齢者にとっては、肉や魚等のおかずに偏る事は消化不良を引き起こす原因となり、胃腸に負担がかかります。

特に脂身の多い肉類や調理に使う油の摂りすぎは消化不良による下痢を起こしやすく、下痢は栄養素や体液の損失によって身体に大きなダメージを与える事にもなります。

ご飯を充分に食べられない時の対処例は?

前章では、高齢者がご飯を充分に食べられない場合に起こりうる身体への影響についてお伝えしました。

ご飯が不足する事によって健康状態を悪化させないためにはご飯が充分に食べられない事で不足する糖質を補ったり、ご飯がすすむ食事の工夫をする必要性があります。

ここでは、ご飯を充分に食べられない時の対処法についてお伝えします。

おかずに芋類や粉類を使って、糖質を補う

ご飯を充分に食べられない事によってエネルギー源となる糖質が不足してしまう場合は、芋類や小麦粉等ご飯と同じく糖質を豊富に含む食品をおかずに取り入れるといった方法があります。

具体的には、ポテトサラダやマカロニサラダ、揚げ物の衣や挽肉料理のつなぎに小麦粉を使用する事で不足している糖質を補う事ができます。

じゃがいもであれば小1個、小麦粉は大さじ2杯、マカロニやスパゲティーは乾物の状態で40gでそれぞれおよそご飯0.5つ分の糖質量になります。

間食を取り入れて、エネルギーを補う

ご飯を充分に食べられない事によってエネルギーが不足してしまう場合は、間食によってエネルギーを補う事ができます。

加齢により食が細くなると一度に適量のご飯を食べる事が難しい場合も多くありますが、間食を取り入れる事で無理なく必要な栄養量を摂りやすくなります。

間食は小さめのおにぎりやジャムサンド等でも良いですし、カステラであれば1切れ(約50g)、饅頭であれは1個、羊羹であれば2切れで約ご飯1つ分のエネルギーを補う事ができます。

おかずは一品だけ、しっかりした味付けにする

ご飯の摂取量が不足してしまう理由の一つとして、「おかずになるものか少なくてご飯がすすまない」といった事を耳にする事もあります。

高齢になると一般的な成人と比較して味覚の閾値が上がる傾向があるため、塩分等を感じにくくなる場合が多くあります。

それによってご飯を食べるためのおかずを物足りなく感じ、ご飯がすすまなくなってしまうのです。

この様な場合は、例えば焼き魚等メインになるおかずの表面に振り塩をしたりタレを塗る等しっかりと味付けをし、野菜料理は味を薄めにする等メリハリを付ける事で対処できる事も多くあります。

塩分制限が無い場合等は、少量の漬物を添えるのも良いでしょう。

※持病があり治療をしている場合等はご飯の適量はこの限りではありません。主治医の指示を守りましょう。

高齢者のご飯の量は健康維持に重要な関わりが。不足している場合は対処が必要

毎日の食事において、エネルギーの源であり欠かせないものの一つであるのが主食である「ご飯」です。

しかし、ご飯の量は、年齢や体格の他、例えばご飯が好きといったその人の嗜好や健康に対する考え方等によって個人差もあります。

特に高齢者はその人によって身体機能の個人差が大きいため、食事量や食形態についても個人差が大きいという実情があります。

インターネットの介護相談においても、ご飯やお粥の適量について悩む介護者は多く見受けられ、安心、安全に毎日食事を食べてもらうためにはご飯やお粥の量を含めた食事の適量を介護者が知っておく事はとても重要です。

高齢になると活動性の低下等によって食欲不振が起こりやすく、適量とされる量のご飯を食べる事が難しい人も少なくありません。

一般的に高齢者におけるご飯の適量は厚生労働省と農林水産省が示している「食事バランスガイド」によると1日あたり400〜500g程度です。

1日ご飯の量が不足する事でエネルギー不足により活動性が低下する他、体脂肪や筋肉量の減少により体重減少が起こり全身の栄養状態が低下する、食事における副食の割合が大きくなり、胃腸に負担がかかるといった身体への影響があるため、対策が必要です。

ご飯を充分に食べられない場合は副食に芋類や小麦粉等の粉類を取り入れエネルギー源となる糖質を補う、間食によって不足したエネルギーを補う、ご飯がすすむ味付けのおかずを1品添えるといった対処法があります。

持病があり治療をしている場合等には、ご飯の適量はこの記事の内容の限りではありません。主治医の指示を守りましょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士