アルブミンが低い時に上げる方法はある?高齢者の低栄養における食事のポイント

近年は高齢者における低栄養の危険性について各メディアで注目されるようになりました。

中でも、その人の栄養状態を表す一つの指標である血液検査における「アルブミン」の数値は医療者のみならず自宅で高齢者の介護をしている介護者も医療機関での検査結果を注意深く観察している人は多く、インターネット上の介護相談等では「アルブミンが低いと言われたがどうしたら良いか」といった内容の書き込みをしばしば目にします。

自宅介護においては高齢者の低栄養を防ぐためにも、アルブミンが低くなる原因や栄養状態の維持、向上に導く食事面のポイントを押さえる事が大切です。

今回本記事では、アルブミンが低くなる原因やアルブミンが低い場合に回復に導く自宅でも心がける事ができる食事のポイントについてお伝えします。

そもそもアルブミンとは?アルブミンが低くなる原因は??

そもそもアルブミンとは?アルブミンが低くなる原因は??

アルブミンとは、血液中に存在するタンパク質で、全身的な栄養状態を表す指標の一つです。

アルブミンは肝臓で作られ、健康な人の基準値は医療機関等によって若干の幅があるものの、3.9g/dl〜5.0g/dlです。しかし高齢者や持病がある人ではアルブミンが低くなりやすく、特に3.5g/dlを下回ると低栄養状態と判定され、栄養状態を改善させるための対策が必要とされる場合が多くあります。

ここではアルブミンが低くなる原因について、3つに分けてお伝えします。

・血清アルブミン値による栄養状態判定のめやす

3.9〜5.0g/dl 正常
3.8g/dl以下 軽度栄養不良
3.5g/dl以下 中等度栄養不良
3.0g/dl以下 重度栄養不良

(参考:厚生労働省 低栄養状態の指標について(※1)厚生労働省 栄養改善マニュアル(※2)

アルブミンが低くなる原因①栄養不足によるアルブミンの合成不足

アルブミンは血中に存在し、肝臓で作られるタンパク質ですが、その素となる食事からのタンパク質が不足すると当然作られるアルブミンは少なくなってしまいます。

厚生労働省がまとめた指針においては、食事の残食が2.5割以上である状態が続くと低栄養状態のリスクが高まるとされています。

食事の摂取量が減る事はエネルギーやタンパク質等の栄養素が不足する事に直結します。

また、提供した食事を完食している場合でも例えばご飯と漬物のみ、菓子パンのみといった様な栄養のバランスが偏った食事では多くの場合アルブミンの素となるタンパク質が不足し、アルブミンが低い状態に陥りやすくなります。

アルブミンが低くなる原因②病気によるアルブミンの合成不足

前項でお伝えした様に、アルブミンは食事からの栄養不足によっても作られる量が減りますが、病気によって作られる量が減るといった場合もあります。

特に、アルブミンを作る肝臓の機能が低下する病気ではアルブミンを作る機能も低下するためアルブミンが低い状態になりやすいです。

また、次の項でもお伝えしますが、がん等の身体の中に炎症が起こる病気の場合も、炎症によってアルブミンが消費されるだけではなく、作る機能も抑制されるため、アルブミンが低い状態となるとこの事。

アルブミンが低くなる原因③手術や発熱等の身体の炎症や体液の損失による消費

開腹手術や整形外科の手術といった大きな手術や、発熱を伴う病気等では身体に炎症が起こるため、それによって血液中のタンパク質であるアルブミンが消費される事でアルブミンが低くなる事もあります。

また、手術等による多くの出血があると、血液と共にアルブミンが体外に排出されるため、アルブミンが低くなやすいです。

また、腎機能の低下によってタンパク質が血液中にうまく取り込まれず、お腹に溜まった水等に漏れ出す事によってもアルブミンは低い値を示すことも。

低くなったアルブミンを上げるために心がけたい食事のポイントとは?

低くなったアルブミンを上げるために心がけたい食事のポイントとは?

ここまでは、栄養状態を表す指標の一つであるアルブミンが低くなってしまう原因についてお伝えしてきました。

低くなったアルブミンを上げるためには、原因となる病気の経過や状況にもよりますが、アルブミンが低くなってしまった場合でも自宅での食事の心がけによって回復が期待できる事もあるのです。

ここからは、アルブミンを上げるために心がけたい食事のポイントについてお伝えします。

まずはその人に必要なエネルギー量を確保する

低くなったアルブミンを上げるためには、アルブミンの素となる食事からのタンパク質をたくさん摂る事に着目したくなる人も多い事でしょう。

しかしそれ以前に、その人にとって必要なエネルギーが確保されていないと、人間は筋肉等の身体のタンパク質を燃やす事でエネルギーを産み出そうとするため、アルブミンは更に減少してしまいます。

この事から、まずはその人にとって必要なエネルギー量はどれくらいか知り、まずはご飯やパン、麺類等のエネルギー源となる食品が不足していないか確認する事も大切です。

厚生労働省が発行している日本人の食事摂取基準では、持病や炎症等がない、標準的な体格の高齢者が1日に必要とするエネルギー量を1500kcal程度としています。

また、小柄な人であればその人の体重に30kcalを掛けたエネルギー量をめやすにしても良いでしょう。

例えば、体重40kgの人であれば40kg×30kcalで1200kcal程度となります。

下の表に1日1500kcalをめやすとした食品の量を示していますが、アルブミンが低い高齢者の場合、食が細く1食で充分なエネルギーを確保する事が難しい場合も多くあります。

その様な場合は、炒め物やマヨネーズで和えるといった方法で調理に油を使用してエネルギーをアップさせたり、間食でエネルギーを補うのも効果的です。

※持病がある人は必要エネルギーについて自己判断せず、主治医に確認しましょう

・高齢者の食事1食分の食品別めやす量(1500kcal タンパク質約60gを想定)

食品の分類 主な食品 1食分の大まかな目安量
主食 ご飯、パン、麺 ・ご飯茶碗1膳(約150g)
・食パン 8枚切り2枚
・ゆでうどん 1袋
タンパク源 肉、魚、卵、豆腐 ・肉、魚 拳1つ分
・卵 1個
・豆腐 1/4丁(80〜100g )
・納豆 (40g)
野菜等(きのこ、こんにゃく、海藻を含む) 野菜、きのこ、こんにゃく、海藻 ・野菜100g以上が理想
・きのこ、こんにゃく、海藻はその人の噛む力、飲み込む力に合わせて使用

タンパク質が不足しないようにする

アルブミンを上げる食事のポイントとして欠かせないのが、タンパク質が不足しないようにする事です。

日本人の食事摂取基準では、持病や炎症等がない高齢者が1日に必要とするタンパク質は60g程度としています。

タンパク質は様々な食品に含まれますが、肉や魚、卵や大豆製品、乳製品には良質なタンパク質が多く含まれます。

肉や魚は拳1つ分、卵は1個、大豆製品は豆腐であれば1/4丁、納豆は1パックをめやすに、1食に1品は取り入れるようにしましょう。

歯が弱い、食が細く肉や魚を多く食べられないといった場合は、野菜のおかずにツナやしらす、卵等を加えたり、汁物の具材として豆腐や卵を加える事でもタンパク質が補えます。

乳製品は良質なタンパク質の他、吸収の良いカルシウムを豊富に含むので間食としてもおすすめです。

※持病がある人は必要なタンパク質量について自己判断せず、主治医に確認しましょう

・エネルギーやタンパク質の不足を防ぐ献立とそのポイント

メニュー  ポイント
朝食 ・ロールパン 2個
・ツナ入りソテー
・皮むきトマト
・ソテーにツナを加える事でタンパク源になります。
・油を使う事でエネルギーアップに繋がります。
昼食  ・親子丼(卵、鶏肉、玉ねぎ)
・ほうれん草のお浸し
・お茶
・親子丼には卵や鶏肉が使用され、一皿で豊富なタンパク質を摂取できます。
・箸休めの小鉢で野菜を補いましょう。
間食 ・フルーツヨーグルト  ・食が細い人は間食でエネルギーやタンパク質を補いましょう。
・乳製品は良質なタンパク質の他、吸収率の良いカルシウムが豊富なので、1日に1回は取り入れたいですね。
夕食 ・ご飯(150g)
・鮭と野菜のホイル焼き
・きゅうりとわかめの酢の物
・なめこと豆腐の味噌汁
・基本的な品数の食事です。
・汁物の具材で、豆腐等のタンパク源や野菜類等、不足しやすい食材を補う事ができます。

病中病後や大きな手術の前後にはエネルギーやタンパク質を補強する

体内に炎症を伴う病気や手術では、普段よりも多くのエネルギーやタンパク質を消費します。

その様な場合は普段通りの食事を続けているだけではエネルギーやタンパク質が不足する事でアルブミンが低くなる事にも繋がるため、状況に合わせた栄養の補強が必要です。

例えば、骨折をすると必要エネルギー量は平常時の1.2〜1.3倍となり、例えば平常時の必要エネルギー量が1500kcal程度であれば1日あたり350kcal〜450kcalのエネルギーが追加で必要になります。

同じくタンパク質も炎症の状況によって必要量が増えます。

骨折等の場合では体重1kg当たり0.2g〜0.4gのタンパク質が追加で必要になり、体重50kgの人であれば10g〜20gのタンパク質の追加が望まれます。

この様にエネルギーやタンパク質の補強が必要な時に便利なのが市販もされている栄養補助食品です。

少量ながら、1パックあたり200kcal程度、タンパク質は8g程度の補給が可能なので、食が細くなった高齢者の間食としても適しています。

手術を控えている場合等にあらかじめ栄養を補強をする事で手術のダメージによるアルブミン低下を最小限に抑えられる可能性もあります。

状況によってエネルギーやタンパク質の必要量は一人一人違うので、補助食品等を取り入れる時はどの様な場合も主治医に相談してから実行しましょう。

低栄養はアルブミンだけで判断せず、全身の状態を確認しよう

低栄養はアルブミンだけで判断せず、全身の状態を確認しよう

アルブミンは栄養状態の指標の一つではありますが、アルブミンのみで栄養状態を判定するのは危険性を伴う事もあります。

その理由の一つとして、アルブミンは2〜3週間という比較的ゆっくりなペースで変動するので、2〜3週間の長期的な栄養状態を反映するため、短期的な栄養状態を評価するのが難しいという事が挙げられます。

よって、実際にはアルブミンの値以上に栄養状態が悪化している事もあるのです。

高齢者の栄養状態はアルブミンの他、食事の摂取量が減っていないか、急激に痩せていないか、皮膚がカサついていないか等といった事を含めて総合的に判定する必要があります。

自宅介護において上記の様な変化が見られたら、かかりつけの医療機関に相談しましょう。

アルブミンが低い時に上げるには、高齢者もエネルギーとタンパク質を充分に摂ろう

アルブミンは肝臓で合成され、血液中に存在するタンパク質で、栄養状態の指標の一つとされています。

近年高齢者の低栄養について各メディアで取り上げられている事もあり、自宅介護をする人もアルブミンという検査項目には関心を寄せています。

高齢者の中にはアルブミンの値が低い事を指摘される人も多く、その事についてインターネット上の介護相談等への書き込みも多く見受けられます。

アルブミンが低くなる原因として、栄養不足や病気による合成不足、炎症や体液の損失による消費が挙げられ、食事によって低くなったアルブミンを上げるには、その人にとって必要なエネルギーやタンパク質の確保や、炎症が起こる病気や手術の際にはエネルギーやタンパク質等の栄養を補強する事がポイントとなります。しかし、アルブミンのみで栄養状態を判定するのは危険を伴う事もあり、食事の摂取状況や体重の変化、皮膚の状態等とあわせて総合的に判断する事が必要です。

食事の摂取量が減っている、急に痩せた、皮膚がカサついている等といった変調がある場合は、早めにかかりつけの医療機関に相談しましょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士