高齢者向け食品の市場調査からヒントを得る、自宅介護を快適にする介護食品とは!?

民間企業が行った高齢者向け食品の市場調査では、近年の高齢者人口の増加や介護業界の人材不足等により、その市場はこの先20年以降も拡大をみせると報告されています。

それを象徴する様に、各社が高齢者向け宅配弁当サービスを展開したり、ドラッグストアーやインターネット通販では多くの種類の高齢者向け栄養補助食品やレトルトパウチの介護食が販売される等、高齢者向けの食品は一般的にも知られる様になってきました。

この様な高齢者向け食品は人材不足や調理に手間がかかるといった介護現場での食事に関する問題を解決するだけではなく、高齢者が美味しく楽しく食事をする事に繋がったり、健康の維持・増進のための栄養管理がしやすくなるといったメリットもあります。

そのため、便利な高齢者向け食品を自宅介護に取り入れる事で、介護者の負担軽減や高齢者の食への意欲、健康の維持増進を実現しやすくなると言えます。

今回本記事では、介護現場でよく聞かれる食事のお悩みと、それを解決してくれる便利な高齢者向け食品を自宅介護で有効に活用するコツをお伝え致します。

自宅介護が快適になり、介護を受ける高齢者もより生き生きと毎日を過ごす事ができますよ。

高齢者向け食品の市場が拡大する理由。介護現場でよく聞かれる食事のお悩み3選

高齢者向け食品の市場が拡大する理由。介護現場でよく聞かれる食事のお悩み3選

近年の介護現場では、人材不足や介護者の高齢化が問題となっています。

また、高齢者向けの食事は多くの場合軟かく食べやすい食形態が求められ、調理の工程で見た目が損なわれてしまう事もあります。

その上高齢者の身体状況は個人差が大きく、状況に応じた栄養管理が必要となりますが特に自宅介護において専門知識がない人が食事作りをするのは困難です。

しかし、その様な食事の悩みを解決してくれるのが近年市場が拡大している高齢者向け食品です。

本章では、介護現場でよく聞かれるお悩みをもとに、高齢者向け食品の市場が拡大する理由についてお伝えします。

病院や施設等では高齢者向けの食事を調理する人材が不足している

近年市場が拡大している高齢者食品の一つに、主に病院や高齢者施設での導入が進んでいるスチームオーブンで蒸し上げるだけで滑らかな食感に仕上がる調理済みの介護食や、予めほぐし身にしてある魚等、調理の工程が簡便化できる下処理済みの食品が挙げられます。

医療現場や介護業界の人材不足は実際に医療行為や介護サービスを提供する人材の不足と認識されがちですが、病院や高齢者施設で提供される食事を調理する人材も同じ様に不足しており、離職率も低くないため人員の入れ替わりも激しいという事実があります。

そのため、高齢者向けの食事に関しても調理の工程や時間を短縮でき、経験が少ないスタッフでも安定した品質で調理ができる事が求められています。

そのため、高齢者向けの食事の調理をより簡便に行え、尚且つ衛生管理もしやすい調理済み・下処理済み食品の市場が拡大しているのです。

高齢者向けの食事は味や見た目を良く仕上げるのが難しい

市場が拡大する高齢者向け食品には家庭向けのレトルトパウチ介護食や冷凍の状態で配達される高齢者向け宅配弁当も挙げられます。

「軟かくて食べやすい食事のはずなのに、食事を食べてくれない」これは医療現場や介護現場に限らず、自宅介護においてもよく聞かれるお悩みです。何故、食べやすく調理したはずなのに、高齢者に受け入れてもらえないのでしょうか。

それには「味と見た目」が影響している場合が多くあります。高齢者の食事はその人の咀嚼嚥下機能の程度によりますが、食材を軟かく加熱調理する他、食材を細かく刻んだり、ミキサーにかけて仕上げる場合もあります。

その場合、長時間の加熱調理によって食材の色が褪せてしまいやすい他、細かく刻んだりミキサーにかける事によって食材の原形がなくなる事で、「何を食べているか分からず、食欲が湧かない」という高齢者の声も多く聞かれるのです。

その上、軟かく加熱調理をする工程やミキサーにかける工程で加えられるのが水分です。

料理の水分量が増える事で味がぼやけやすくなるため、軟かくて食べやすい高齢者向けの食事を美味しく仕上げるのには技術を要します。

病院や高齢者施設ではスタッフが試行錯誤を重ね、高齢者向けの食事を見た目良く美味しく仕上げる工夫がなされている他、家庭向けにはレトルトパウチや既製の弁当の形態で、食べやすく尚且つ美味しく食べられる高齢者向けの便利な食品の需要が高まっているのです。

高齢者向けの食事は栄養管理が難しい

高齢者向け食品の市場で最も高い伸び率を見せるのが飲料タイプやゼリータイプ等の高齢者向けの栄養補助食品です。

市場拡大の背景には体重や筋肉量の減少、免疫力の低下といった高齢者の低栄養状態への懸念があります。

高齢になると食が細くなり食事量が減少し、1日の食事の中で必要なカロリーや栄養量を満たす事が難しくなります。

また、前項でお伝えした様に高齢者の食事は水分量が多くなりがちで、食事量と比較してカロリーは低くなる傾向にあります。

カロリーや栄養量の不足は低栄養状態を引き起こし、それによって寿命の短縮に繋がる事がわかっています。

最近では食事では不足しがちなカロリーや栄養素を補う事ができる高齢者向けの栄養補助食品がドラッグストアーやインターネット通販において手軽に購入できる様になり、自宅介護で利用する人も増えています。

また、高齢になると持病がある人も多く、例えば主治医から塩分を控える指示を受けている等食事内容の管理が必要な場合も少なくありません。

特に自宅介護においては高齢者向けに軟かく食べやすい食形態の食事を調理する事に加え、食品や調味料の計量や栄養価計算を行う事は困難な事でもあります。

前項で触れた高齢者向け宅配弁当の中にはカロリーや塩分、タンパク質やカリウム等、疾患に応じた栄養素の調節がなされ、自宅での食事療法に特化したラインナップもあり、より高齢な年齢層への浸透が期待されています。
(参考:株式会社富士経済 プレスリリース 高齢者向け食品の国内市場を調査)

介護現場でのお悩みを解決する便利な介護食品を、自宅で有効活用するコツ

介護現場でのお悩みを解決する便利な介護食品を、自宅で有効活用するコツ

前章では、高齢者向け食品の市場が拡大している理由ともなる、介護現場でよく聞かれる食事のお悩みについてお伝えしました。

近年市場が拡大しているレトルトパウチの介護食や高齢者向け宅配弁当サービス、高齢者向けの栄養補助食品は、自宅介護に有効に活用する事で介護が快適になり、高齢者の健康維持・増進にも繋がります。

しかしそのためには高齢者向け食品それぞれの特徴や期待できる効果を理解する必要もあります。

本章では、介護現場でのお悩みを解する便利な介護食品を自宅で有効活用するコツをお伝えします。

最近では家庭向けにもレトルトパウチ介護食が充実。複雑な調理が不要に!

食事を調理する人材も不足している病院や高齢者施設では、スチームオーブンでむしあげるだけで仕上がる高齢者向け食品が重宝されていますが、自宅介護においても介護者が仕事や家事、育児等で食事の用意に時間が割けない事も多々あります。

その様な場合には湯煎、または封を切るだけですぐ食べられる、レトルトパウチの介護食が便利です。

レトルトパウチの介護食は、肉じゃが等の軟かく調理された形のあるおかずはもちろん、次にご紹介する高齢者向け宅配弁当では実現が難しいピューレ状のおかずも展開されているため、歯が無いといった噛む力や飲み込む力が極めて弱い場合でもその人に合った食形態を見つけやすいというメリットがあります。

また、他にもレトルトパウチの介護食が重宝されるのが災害時を想定した場合です。レトルトパウチの介護食は常温保存が可能で、加熱せず封を切るだけで食べられる商品も多いため、災害時の備蓄食品として便利なのです。

しかし、災害時であっても普段から食べ慣れていないものは食が進まないといった事もよくあります。

そのため、普段の食事からレトルトパウチの介護食を取り入れ、お気に入りのメニューを見つけておく事も大切です。

災害時におけるレトルトパウチの介護食の備え方、活用の方法等は以下の記事を参考にご覧下さい。

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高齢者向け宅配弁当サービスなら、食べやすく味や見た目が良い食事が叶う!

軟かく食べやすい食形態に調理すると、見た目や味が損なわれてしまうというお悩みを抱えている場合には、最近各社が展開している高齢者向け宅配弁当サービスを利用する事で食べやすく味や見た目が良い高齢者向けの食事をレンジで解凍調理するだけで簡単に提供できるのでおすすめです。

高齢者向け宅配サービスでは、咀嚼や嚥下に問題がない方向けの通常食から、歯茎で潰せるソフト食の形態まで幅広い食形態からその人に合ったものを選ぶ事ができ、メニューも和洋中、季節のメニュー等多彩なバリエーションが楽しめます。献立は管理栄養士が監修しており、高齢者に必要な標準的な栄養量を充足できます。

持病等により食事内容に制限がある人向けのラインナップも展開されているため、自宅では難しい食事の管理が簡単に行えます。

しかし、多彩な食形態と持病にも配慮したラインナップで幅広い年代に受け入れられそうな高齢者向け宅配弁当ですが、インターネットや電話、FAX等といった注文の手順や電子レンジの操作に高齢者が抵抗を感じやすいといったデメリットもあり、実際の利用者は60代の比較的若い世代が多いという事実があります。

そのため、一人暮らしの高齢者が高齢者向け宅配弁当サービスの利用を検討する場合等は、離れて暮らす家族等が注文の代行をしたり、電子レンジの操作を一緒に確認するといったサポートも必要です。

また、高齢者向け宅配弁当は7食セットからの配送が一般的なので、セットを購入する前に各社のサンプルを取り寄せ、メニューや食感等が1番食べやすいメーカーを選ぶのがおすすめです。

高齢者向けの栄養補助食品は種類が豊富。調味料やおやつ感覚で取り入れよう!

食が細くなり、食事を残しがちになる等摂取栄養量の不足が心配な場合に是非取り入れたいのがドラッグストアーやインターネット通販で多くの種類が取り扱われている高齢者向けの栄養補助食品です。

商品によって組成は様々ですが、一般的に市販されている商品は125mlの容量で約200kcal、タンパク質8g程度を補う事ができます。

これは、カロリーは約ご飯1膳、タンパク質は約卵1個分の値となります。

そのため、毎食主食と肉、魚、大豆製品、卵等を使った料理の主菜が残ってしまうという場合には、毎食後におやつ感覚で取り入れるのがおすすめです。

味はシンプルなミルク風味からコーヒー風味、フルーツ味の他、コーンスープ味といった甘くない味もあるので、おやつとしてだけではなく調理の際に調味料の代わりとして活用する事も可能です。

調理例としては、ミルク風味の栄養補助食品をフレンチトーストの卵液代わりにしたり、コーンスープ味をシチューの仕上げに加えるといった方法があります。

持病があり、主治医から食事内容に指示がある場合には、栄養補助食品を使用する際は自己判断せず、主治医に商品のパッケージを見せながら的確な摂取量等を相談する様にしましょう。

インターネット通販では血糖値を上げにくい組成のものやタンパク質やカリウム等が少ないもの等特定の疾病に特化した商品もあるため、選択肢の一つとする事もできます。

持病等のために毎食の食事管理が必要な場合には、前項でお伝えした高齢者向け宅配弁当のカロリーや塩分、タンパク質等が調整されたラインナップを食事に取り入れる事で、食材や調味料の軽量、栄養価計算といった複雑な作業から解放されます。

利用する際の注意点は、同じ疾病でもその人によって指示される食事のカロリーや塩分量等は異なるため、主治医に食事の指示内容を確認し、高齢者向け宅配弁当サービス各社のホームページに記載されている商品の栄養成分表示を照し合わせてその人に合ったラインナップを選ぶ事が重要です。

また、高齢者向け宅配弁当サービス各社では、管理栄養士が商品選びの相談を受け付け、的確な商品選びをサポートする窓口が設置されているため、相談窓口への相談が迅速かつ正確な場合もあります。

相談窓口に相談する際は、疾病やその経過、医師から受けている食事内容の指示、咀嚼や嚥下の状況を伝えられるとスムーズに的確な商品の案内が受けられるでしょう。

高齢者向け食品の市場を知り、自宅介護にも賢く活用しよう!

近年医療現場や介護業界の人材不足に伴い、病院や高齢者施設において食事を調理する人材も不足しています。

特に、軟かく食べやすい食形態に調理が必要な高齢者の食事に関しては、調理の簡便化が求められている事もあり、高齢者向けの便利な食品の市場は今後も拡大すると報告されています。

高齢者の食事に関する悩みは調理する人材の不足に留まらず、味や見た目を維持する事が難しい事や栄養管理が難しい事も挙げられます。

高齢者向け食品は利用する側がその特性を知る事で病院や高齢者施設だけではなく、自宅介護における食事の悩みを解決してくれます。

自宅介護で高齢者向けの便利や食品を有効活用するコツは、調理の簡便化や災害時の備えとしてレトルトパウチの介護食を利用する事や、軟かく食べやすい食形態でありながらも味や見た目も良い食事を叶え、持病等による自宅での栄養管理を簡単に確実に実行するためには高齢者向け宅配弁当サービスを利用する事、3食では不足しがちなカロリーや栄養を補うためにはドラッグストアーやインターネット通販で多くの種類が販売されている高齢者向けの栄養補助食品をおやつや調味料代わりに置き換えて摂取する事が挙げられます。

この様に、今や高齢者向け食品の市場は施設だけではなく、家庭でも便利に利用ができる商品の市場が拡大しているため、消費者側がその特性を知り、有効に活用していく事が賢い選択と言えるでしょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士