高齢者の中食利用が増加中!昼ごはんにも便利な中食の、魅力と注意点は!?

近年、単身世帯や高齢者のみの世帯の増加により、調理済の惣菜等を家庭で食べる「中食」の需要が高まっています。

中食には少量の食べ切りサイズである事や調理がいらない手軽さ、火を使わない安心感等高齢者にとって多くのメリットがあります。

また、中食は自宅介護の現場においても、働く世代の介護者や高齢の介護者の負担を軽減する手段の一つとなり、特に仕事等で介護者が家を空ける事が多い昼ごはんの時間帯には重宝します。

その一方で、惣菜は高齢者自身が購入するものを選ぶ事ができるため、栄養バランスが偏りやすい、カロリーや塩分の摂りすぎに繋がりやすいといった注意点もあります。

そこで今回本記事では中食の魅力の他、中食における注意点に対処し、メリットを最大限に活用するためのポイントをお伝えします。

中食は高齢者の昼ごはんに便利なその理由は!?中食の魅力をご紹介!

中食は高齢者の昼ごはんに便利なその理由は!?中食の魅力をご紹介!

自宅介護での高齢者の食事において、適量の食事を提供する事や調理の負担、介護者が留守中の火の元の管理等、特に介護者が仕事等で家を空ける事が多い昼ごはんの時間帯に関する悩みは多く聞かれます。

しかし、調理済みの惣菜等の中食にはそれを解決してくれる魅力があります。本章では、自宅介護をする方に是非知っていただきたい、中食の魅力についてお伝えします。

少量のサイズもあり、調理するより経済的で食事量の調整がしやすい

高齢になると食が細くなる事や、高齢者のみの世帯では世帯人数が少ないため、自宅で食事を調理する場合には食材を使い切る事が難しくなりがちです。

そのため、自宅で調理するよりも中食で惣菜等を利用した方が、多様な食材が取り入れられ、経済的な場合もあるのです。

実際に、スーパー等の惣菜売り場では、高齢者や単身世帯にぴったりな少量のサイズの惣菜が多彩に販売されており、好きなメニューを選ぶ楽しみもあります。

調理に手間がかかるメニューが手軽に食べられる

あなたの高齢のご家族には、お気に入りの食事のメニューはありますか?

高齢者にとって好きなものを食べる時は、食べる喜びを感じられる瞬間でもあります。

しかし、自宅介護において、食事の用意にかけられる時間は限られています。

そのため、お気に入りのメニューが揚げ物や煮込み料理といった手間と時間がかかるメニューは、頻繁に作ってあげられないというのが現実でしょう。

しかし惣菜等の中食を利用すれば、揚げ物はそのまま、ビーフシチューや煮込みハンバーグ等の煮込み料理もレンジ調理をするだけですぐに食卓に提供する事ができ、高齢のご家族に食べる楽しみを感じてもらえる機会を増やす事ができます。

調理に火を使わないため、火の元の管理が安心

介護者の中には、働きながら自宅介護をしている人も多く、これまでにも自身が留守にする昼ごはんの対処法についてのお悩みをよく耳にしてきました。

お悩みの具体的な内容は、「食事を調理する人手がない」「自身でも調理はできる様だが、火の元の管理が心配」等といった内容です。

食事を調理する人がいない事は高齢者自身が手に届く、菓子パンやカップラーメン等で食事を済ませる事に繋がり、長期的に続けば栄養不足や火の不始末による事故の危険性が高まる事もあります。

惣菜等の中食を利用すれば、冷めても美味しく、火を使わずにレンジ加熱で作りたての美味しさが味わえます。

そのため、中食は食事を準備する人や介助をする人手の確保が難しい昼ごはん時の大きな味方になります。

高齢者の昼ごはんに中食を利用する際の注意点は!?対処法もあわせてご紹介!

高齢者の昼ごはんに中食を利用する際の注意点は!?対処法もあわせてご紹介!

前章では、自宅介護における介護者の負担を減らす、中食の魅力についてお伝えしました。

しかし、中食のメリットを最大限に活用するためには、中食を利用するにあたっての注意点も知っておく事が大切です。

本章では、高齢者の昼ごはんに中食を利用する際の注意点と、その対処法についてお伝えします。

調理済み惣菜の消費期限は原則当日なので、買いだめに注意

手軽に出来立ての美味しさが味わえる調理済みの惣菜ですが、購入する際に気をつけたいのはその消費期限です。

調理済み惣菜の消費期限は原則当日なので「数日分の昼ごはんとして買いだめしておこう」といった事は避けなければなりません。

消費期限を過ぎた惣菜を食べる事によって食中毒を起こす事もあり、抵抗力が弱い高齢者は重症化もしやすいため注意が必要です。

そのため、「数日分の昼ごはんをストックしておきたい」といった場合には調理済みの状態で冷凍された冷凍食品を活用するのがおすすめです。

近年販売されている冷凍食品は調理済み惣菜に匹敵する品質や美味しさで、幅広い年代に支持されており、その人の咀嚼・嚥下機能にもよりますが、スーパー等で購入できるものの中にも高齢者でも食べやすい食形態の商品もあります。

高齢者の食事における冷凍食品の活用についてのポイントは、以下の記事を参考にご覧下さい。

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メニューの組み合わせによっては塩分やカロリーの取りすぎに繋がる

前章でもお伝えした様に調理済み惣菜等の中食は、高齢者本人のお気に入りのメニューをすぐに提供できるのが魅力です。

また、実際にスーパーの惣菜売り場に行って商品を見ると、美味しそうなものばかりで「あれも」「これも」と選びたくなってしまう事もあるでしょう。

しかし、調理済みの惣菜は1品1品がしっかりとした味付けがされており、酢豚やエビチリ等の様に下処理の段階で油で揚げる調理が施されている場合も多く、一般的に家庭で調理した料理と比較して塩分やカロリーは多くなりがちです。

そのため、お気に入りのメニューだからといってそればかり提供したり、1食の中で調理済み惣菜を何品も提供してしまうと、塩分やカロリーの摂りすぎに繋がる事も少なくありません。

健康状態を維持していくためには、野菜を使った副菜等は自宅で数日間冷蔵保存が可能な「作り置きおかず」を取り入れる等、自宅で味や調理法を調整したおかずと組み合わせる事で塩分やカロリーを抑える事が可能です。

また、高齢になると持病の治療の一環で主治医より塩分制限やカロリー制限といった食事内容の指示を受ける事も多くあります。

通常自宅で調理をする場合は食材や調味料の計量や栄養価計算を必要とする事が多くありますが、毎食それを行う事は食事を用意する人の大きな負担となります。

しかし最近では塩分やカロリー等食事の内容に配慮が必要な人も、中食の利用によって食事管理ができる様になりました。

それが、高齢者向け宅配弁当の活用です。高齢者向け宅配弁当は通常のメニューも管理栄養士が献立を監修し、栄養価計算がされていますが、塩分やカロリー、タンパク質等疾病に応じて必要な配慮がされたラインナップもあるため、食事療法をしている高齢者も安心して利用する事ができます。

特に調理する人手がなくなりやすい昼ごはんも、疾病に応じた食事管理を諦めずに行えます。作り置きおかずや高齢者向け宅配弁当については、以下の記事も参考にご覧下さい。

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食材が硬く、食べにくい事もある

スーパー等で市販されている惣菜は、一般的な成人が美味しく食べられる硬さに調理されているため、噛む力や飲み込む力が弱くなる傾向がある高齢者にとっては硬くて食べにくい、といった事も起こり得ます。

高齢者の食事は硬さや大きさ、とろみの有無等、その人の咀嚼嚥下能力に合わない食事を提供する事で誤嚥をしたり、食事がすすまず必要量に対してカロリーや栄養素の摂取不足が起こりやすくなるため、対策が必要です。

例えば固形物であっても軟らかく調理してあれば食べられるといった場合、天ぷらやフライ等の衣が厚い揚げ物は、食べやすい大きさに切ってめんつゆ等の汁で煮る事で衣が軟らかくなり食べやすくなります。

歯が無く固形物を食べる事が難しい、水分でむせやすいといった場合には介護用の食事として特化されたレトルトパウチの介護食の利用がおすすめです。

レトルトパウチの介護食はペースト状〜軟らかく煮込んだ形態まで幅広く、※「ユニバーサルデザインフード」という基準によって食形態のめやすが一目でわかる商品も数多くあります。

また、レトルトパウチの介護食は常温保存が可能であるため、保管場所を選ばず買い置きが可能であるという大きなメリットもあります。

※ユニバーサルデザインフード…日本介護食品協議会が制定。軟らかさに応じた4段階の食形態の他、とろみの有無によって食形態を区分し、料理としての形態も例として紹介されている。

食形態の段階 容易にかめる 歯茎でつぶせる 舌でつぶせる 噛まなくてよい
料理の形態の例 米飯/焼き魚 軟飯/煮魚 全粥/魚のほぐし身+あんかけ ペースト粥/煮魚の裏ごし

高齢者にとって中食はメリットが沢山!中食の活用で昼ごはんを手軽に美味しく

単身世帯や高齢者のみの世帯の増加により、調理済の惣菜等を家庭で食べる「中食」の需要が高まっています。中食には少量の食べ切りサイズである事や調理がいらない手軽さ、火を使わない安心感等高齢者にとって多くのメリットがあります。

また、中食は自宅介護の現場においても、働く世代の介護者や高齢の介護者の負担を軽減する手段の一つとなり、仕事等で介護者が家を空ける事が多い昼ごはんの時間帯には重宝します。

その一方で、調理済みの惣菜は消費期限が短い事や、高齢者自身が購入するものを選ぶ事ができるため、栄養バランスが偏りやすい、カロリーや塩分の摂りすぎに繋がりやすい、食べる人の咀嚼嚥下機能によっては硬くて食べにくく、食形態が合わない場合もあるといった注意点もあります。

これらの注意点に対処していく方法として、調理済み食品をストックしたい場合は冷凍食品を利用する事、カロリーや塩分の摂りすぎを防ぐため自宅での作り置きおかずや食事療法を行う高齢者向けの宅配弁当を利用する事、市販された惣菜の食形態が食べにくい場合は汁気を加える等して軟かく調理したり、咀嚼嚥下機能によってはレトルトパウチの介護食を利用するといった方法があります。

この様に、調理済み惣菜等を利用する際の注意点を理解し対処法を知っておけば、中食は自宅介護において人手が少なくなりやすい昼ごはん時の大きな味方となってくれるでしょう。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士