一人暮らし(独居)による孤食が高齢者の健康を脅かす!食事や料理はどうする!?

近年、高齢者の一人暮らし世帯が年々増加傾向にある事が政府(※1)や民間会社における調査(※2)でも明らかになっています。

そのため、食事を一人で食べる「孤食」の状況が高齢者にも増える事で食欲の減退や食事内容の偏りによって高齢者の栄養状態を低下させる原因にもなりうる事として懸念され、孤食の状況にある場合には特に食環境や食事内容への配慮が必要です。

今回本記事では高齢者の孤食が栄養状態を低下させる原因と、孤食傾向にある高齢者の栄養状態や健康を維持するための食事や料理の工夫についてお伝えします。

高齢者の孤食が栄養状態を低下させる3つの理由とは!?

高齢者の孤食が栄養状態を低下させる3つの理由とは!?

冒頭でもお伝えした様に、高齢者が孤食の状況にある事は食事摂取量の減少や食事内容の偏りにより栄養状態が低下する原因となります。

ここでは高齢者の孤食が栄養状態を低下させる原因となる理由についてお伝えします。

孤食により食欲が減退し、食事摂取量が減る

この記事を読んでいるあなたにも心当たりがある様に、「一人で食事を食べる事」は楽しみに欠け、食事に対する関心も薄れやすいものです。

そのため、孤食の状況は心理的に食欲不振を招きやすく、その結果食事摂取量が減り、全体的な栄養摂取量の不足に伴って栄養状態の低下が起こりやすくなります。

孤食により食事を摂る回数が減り、食事摂取量が減る

株式会社日本能率協会総合研究所が行なった高齢者の食生活に関する調査(※1)では、一人暮らしの高齢者は高齢夫婦二人暮らし、子供家族と同居している場合と比較して1日1食、1日2食といった割合が多い結果となっています。

また、一人暮らしの高齢者は食事の時間が定まらない割合も多く、(※2)の調査においても考察されている様に、孤食の状況にある事で食事への関心が減少し、食事そのものがおっくうになり、内容も同じようなものに偏りがちになるといった事が起こりやすくなります。

食事を摂る回数が減る事はカロリーや栄養素の摂取不足に直結し、低栄養状態を引き起こしかねません。

買い物や調理が充分にできず、栄養バランスが偏る

一人暮らしの高齢者の多くは、交通手段が乏しい事や身体機能の低下により、一人では買い物や調理をする事が困難です。

そのため、例えばご飯と味噌汁、菓子パン、即席麺等といった食事内容の偏りや、肉や魚、野菜を食べやすい形態に調理をする事が困難である事でタンパク源や野菜の摂取量が不足し、カロリーだけではなくタンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養素が不足し、食事全体の栄養バランスが偏りやすくなります。

カロリーやタンパク質不足は体脂肪や筋肉量の減少を招き、見た目にも分かりやすい低栄養状態を引き起こしやすいため積極的な摂取が促される事が多くありますが、ビタミン、ミネラルは栄養の代謝、吸収や生命維持活動に必要不可欠です。

そのため、孤食によって食事のバランスが偏る事でも摂取したカロリーや栄養素が上手く利用されず、低栄養状態を引き起こすこともあります。

(※1)参考:農林水産省平成29年食育白書
(※2)参考:株式会社日本能率協会総合研究所 60歳~79歳の男女に聞く「食生活と食意識に関する調査」

孤食傾向にある一人暮らしの高齢者向けの、食事や料理の工夫とは!?

孤食傾向にある一人暮らしの高齢者向けの、食事や料理の工夫とは!?

前章では、高齢者の孤食の状況が栄養状態の低下を招く原因となり得る事についてお伝えしました。

そのため、高齢者の健康を守るためには孤食による食習慣を改善する必要性があります。

近年は福祉サービスや配食サービスが増え、その様なサービスを利用する事も効果的です。

ここでは、孤食傾向にある一人暮らしの高齢者に向けた、食事や料理の工夫についてお伝えします。

作り置きおかずを家族が届ける事で、高齢の家族の様子を確認する事もできる

高齢者の家族が1人暮らしをしている場合、「普段の食事の様子を知らないけど、どうしているんだろう?」と気になる事はありませんか?

そんな時は、近隣に食事作りが可能な家族が暮らしている場合は作り置きのおかずを届ける事で、その際に少しの間会話をしたり、身の回りの様子を見届ける事等もできます。

特に高齢者1人では調理が難しい、野菜をたっぷり使った煮込み料理や肉の煮物、魚のマリネ等の軟らかく食べやすいおかずは孤食により偏りがちな食事バランスの改善に重宝します。

現在は便利な配食サービスも充実していますが、やはり安心感のある家庭の味を好む高齢者も多くいます。

作り置きおかずはしっかり加熱する事や清潔な容器に保存する事で冷蔵保存で3日程度、冷凍保存で2〜3週間保存が可能であるため、作り置きを届ける際にレンジで解凍する事で温かい食事を用意する事ができます。

作り置きおかずを調理する際のポイントやレシピ等はこちらの記事を参考にご覧下さい。

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配食サービスを利用すれば、調理せず栄養バランスが良い食事が食べられる

高齢の家族が1人暮らしをしているものの、他の家族が近隣に住んでいない、多忙であるといった事情で作り置きのおかずを届ける事ができないといった悩みはしばしば耳にします。

その様な場合には、各社が展開する「高齢者向け宅配弁当サービス」の利用がおすすめです。

この高齢者向け宅配弁当サービスは、献立を管理栄養士が監修しており、高齢者にとって1日に必要なカロリーや栄養素に配慮した内容となっています。

高齢になるとその人に適した食事の軟らかさにも個人差があり、調節が難しいものです。

しかし、高齢者向け宅配弁当は食形態も舌で潰せるムース食から通常の形態と幅広く、持病がある場合にも安心な、カロリーや塩分、タンパク質等がコントロールされたタイプを取り扱う会社もあります。

自宅にいながら、充分な栄養量とバランスが整った食事を毎日食べられる事で、孤食による食事量の減少や食事内容の偏りを防ぎ、栄養状態の低下を防ぐ事も期待できます。

また、メニューも豊富なので食べる楽しみにも繋がります。

その上、高齢者向け宅配サービスのメリットとして、配達の際にその家に暮らす高齢者の様子を確認したり、宅配弁当の食形態等が合わないといった場合に管理栄養士に電話で相談できるサービスを提供している会社もあります。

「配食して終わり」ではない心のこもったサービスも魅力的ですね。

高齢者向け宅配弁当は冷凍で届き、冷凍保存が可能ですが、食べる時には電子レンジでの解凍が必要です。

高齢者向け宅配弁当サービスを利用する際は、高齢者本人が電子レンジ等の調理家電を安全に使用できるか確認し、不安がある場合には介護ヘルパーに介入してもらい、弁当の温めを依頼するといった方法もあります。

介護ヘルパーの利用や、管理栄養士による訪問食事栄養指導を利用する

一人暮らしの高齢者は、身体機能や認知機能の低下により食事だけではなく日常生活に他者の手助けが必要である場合も多くあります。

その様な場合は、家族が早めに行動を起こし、適切な介護サービスを受ける事が高齢者の快適な生活や健康状態の維持改善に繋がります。

例えば、介護ヘルパーの利用によって、買い物の代行や調理、食事介助といった支援を受ける事ができます。

介護ヘルパー等の介護サービスを受けるには、高齢者本人が居住する市区町村の担当窓口へ申請し、介護認定を受ける事が必要です。

家族の介護を考え始めた時、何から始めたら良いか分からないといった場合も多いでしょう。

その様な場合は後にご紹介する地域包括支援センター(※3)へ相談をする事で、専門知識を持った相談員が親身に対応してくれるのでおすすめです。

また、一人暮らしの高齢者の中には持病があり食事内容について配慮が必要な場合や、咀嚼・嚥下機能や栄養状態が低下している等、食事内容の改善が必要とされるケースも多くあります。

その様な場合は管理栄養士が高齢者の自宅に訪問し、その人の身体状況や生活に合った食事内容や買い物の段階を含めた調理の指導を行う訪問食事栄養指導を利用する事も可能です。

訪問食事栄養指導はその内容によって、介護認定を受けていない場合でも医療保険で実施が可能なケースもあります。

訪問食事栄養指導を受けたいといった場合は、かかりつけの医療機関や介護や福祉に関する地域の総合相談窓口でもある「地域包括支援センター(※3)」に相談する事で訪問食事栄養指導を含めた支援の利用の流れ等を知る事ができます。

(※3)
地域包括支援センターとは:保健師や社会福祉士等専門知識を持ったスタッフが在籍し、医療保健、介護、福祉について相談を受け付けている。介護認定の有無に関わらず、対象地域に住む65歳以上の高齢者や家族が利用できる。平成29年時点で、全国にで5020施設の拠点がある。

一人暮らし(独居)高齢者の孤食。食事や料理は便利な支援を活用し、低栄養を防ごう!

近年、高齢者の一人暮らし世帯が年々増加傾向にある事が政府な民間会社における調査でも明らかになっています。

そのため、食事を一人で食べる「孤食」の状況が高齢者にも増える事で食欲の減退や食事内容の偏りによって高齢者の栄養状態を低下させる原因にもなりうる事として懸念され、孤食の状況にある場合には特に食環境や食事内容への配慮が必要です。

高齢者の孤食から起こる栄養状態の低下等における背景には、一人で食事をする事による食欲の減退や、食事に対する関心の低下、買い物や調理が困難である事による食事摂取量、食事回数の減少等といった状況があります。

また、孤食は同様の理由から食事内容の偏りも起こりやすく、カロリー、タンパク質不足のみならず、ビタミン・ミネラル不足により栄養状態、健康状態が悪化する事もあります。

孤食の状況にある高齢者の食事内容や食環境を改善する方法として、家族の状況によって可能な場合は作り置きのおかずを届ける、栄養や食形態に配慮された高齢者向け宅配弁当サービス等の配食サービスを利用する、介護ヘルパーによる買い物や調理、食事の介助といった支援を受ける、管理栄養士による訪問食事栄養指導を利用し、その人の身体状況や生活に寄り添った食事内容、食環境を整えるといった方法があります。

高齢者の孤食は、自立していると認識して放置してしまうと低栄養状態や健康状態の悪化を招くため、早めに介護支援や各企業が展開する便利な食事サービスを検討する事も大切です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士