高齢者も安全に食べられるゼリー食とは!?メリットやデメリット、対策をご紹介!

高齢者の食事において、「ゼリー食」という言葉を聞いた事があるでしょうか?

ゼリー食とは、調理済の料理や食材、水分等をミキサーにかけてゼラチンで固め、口当たりや喉越しを良くした食事です。

このゼリー食には、飲み込みに不安がある場合も食べやすい、飲み込みの状態を判断する材料になる、見た目が美しいといったメリットがあります。

しかし、これらのメリットを安心、安全な高齢者の食事に活かしていくためには、形態が安定しにくい、栄養量が不足しやすい、食材に向き不向きがあるといったゼリー食のデメリットやその対策を理解する必要があります。

本記事ではゼリー食のメリットやデメリット、その対策についてもお伝えします。

高齢者も安全に食べられるゼリー食のメリット

高齢者も安全に食べられるゼリー食のメリット

高齢になると、噛む力や飲み込む力が弱くなりこれまでと同じ形態の食事を食べられなくなる事も多くあります。

また、日常生活での刺激が少なくなったり、活動量の低下により食が細くなりがちにもなるため、「目で見て美味しそうな食事」の提供をする事も高齢者の食事にとって重要になります。

そんな時に着目したいのが今回ご紹介するゼリー食です。本章では、ゼリー食のメリットについてお伝えします。

飲み込みに不安がある場合も喉越しよく安心して食べられる

高齢者の食事におけるゼリー食のメリットとしてよく知られる事として、固形物を噛んで食べる事やさらさらとした水分の飲み込みに不安がある場合でも安心して食べられるといった点が挙げられます。

基本的に高齢者に提供されるゼリー食は食材や調理済みの料理をミキサー等で粒を無くしたものをゼラチンでゼリー状に固形化しているので、歯が無い場合でも噛んで食べる必要がなく、さらさらとした水分と比較してゆっくりと喉を通過するので飲み込みに不安がある場合にも咽せる事が少ないという特徴があります。

飲み込みの状態を判断する材料になる

自宅介護における食事シーンではあまり馴染みがありませんが、病院や高齢者施設においては、長期間口から食事を摂っていない状態から食事を再開する場合や、現在食べている食事で咽せてしまう、食べにくそうにしているといった様に食形態が合っていない可能性がある場合には食べ物や水分を口の中でまとめ、喉に送り込む機能の評価をする事も多くあります。

その際に、お茶や果汁等をゼラチンで固めたゼリー食が材料の一つとして使用されます。

飲み込みやすさに関する分類ではゼラチンで固めたゼリーは一番飲み込みやすい形態とされ、これを問題なく飲み込む事ができれば茶碗蒸しやお粥のゼリー等といった様に食形態を上げていく判断ができるのです。

見た目を美しく仕上げる事ができる

ここまでは高齢者の食事におけるゼリー食のメリットについて、食べ物を噛んだり、飲み込む機能に不安がある場合にスポットを当ててお伝えしてきました。

しかし、現時点で噛む・飲み込むに不安がない場合にもメリットがあります。

それは「見た目を美しく仕上がる」という事です。噛む・飲み込むに不安がない場合であれば、サラダ等をミキサーにかけずにゼリー寄せにする事で涼しげな見た目になります。

また、噛む・飲み込むに不安がある場合にも、ゼリー食であればドレッシングをジュレにして飾り付けをしたり、料理や食材をミキサーにかけてゼリーにしたものを型抜きにする事で見た目に変化を持たせたり、季節感を演出をする事ができます。

活動量の低下や胃腸の働きの低下によって食欲が低下しがちな高齢者にとっては、食事の見た目が美しい事は「食べる事」を前向きにしてくれます。

ゼリー食のデメリットとその対策

ゼリー食のデメリットとその対策

前章では、ゼリー食のメリットについてお伝えしました。

しかし、ゼリー食のメリットを安心・安全な高齢者の食事に活かしていくためには、仕上がりの食感や栄養量への配慮が必要不可欠です。

そのために理解しておきたい、ゼリー食のデメリットやその対策について本章ではお伝えします。

食感を均一にするのが難しく、形態が変化しやすい

一般家庭でゼリー食を作る際によく聞かれるお悩みに、出来上がりの硬さが一定しないといった事があります。

ゼリー食を作る際に使用するゼラチンの量は、水分やミキサーした食品の1〜1.5%前後(例として、200mlのお茶に対してゼラチン3g)という目安はありますが、使用する食品によって出来上がりの硬さが異なります。

その対策として、食品ごとに試作をし、高齢者本人が食べやすい硬さに仕上がるゼラチンの量に調整する必要があります。

また、ゼラチンは室温では固まらない特性があるため、ゼリー化した後に室温に放置したり、口にしばらく溜め込む事によって液体化してしまうというトラブルも起こりがちです。

ゼリー食が液体化する事で食事が誤って気管に入りやすくなるため、提供する直前まで必ず冷蔵庫で保管する様にしましょう。

高齢者本人がゼリー食を口の中に溜め込んでしまう場合は、口の中の筋力等といった「食べる機能」と、ゼリー食の形態が合っていない場合もあるため、自宅介護で自己判断せず、主治医や医療機関への相談が必要です。

ゼリー食のみでは必要栄養量を充足できない場合もある

ゼリー食は口当たりを良くするために、食品をミキサーにかける段階でだし汁等の水分を加える事も多くあります。

そのため、重量に対する栄養量が少なくなるというデメリットがあります。

ゼリー食を完食しているのにも関わらず体重が減少してしまう等といった事があれば、食事からの必要栄養量が不足している事を疑う必要性があります。

ゼリー食のカロリーやタンパク質等の栄養素を補う対策としては、同じくゼリータイプの栄養補助食品をデザートに追加したり、ミキサーにかける際の水分を飲料タイプの栄養補助食品に置き換える、汁物にプロテインパウダーを加えてゼリー化するといった方法があります。

食品に加えて使用する栄養補助食品は甘みのないものが使いやすく、多くの場合薬局やインターネット通販、介護用品のカタログからの購入が可能です。

ゼリー食に適さない食材もある

ゼリー食の特徴は口当たりと喉越しの良さですが、その分ゼリー食を調理する際に不向きな食材もあり、判断が難しいというデメリットがあります。

下の表に示した様に、いか、たこ、こんにゃく等弾力があるものはミキサーにかけても滑らかになりにくく、ゼリー食には適しません。

しかし、はんぺんや海老等柔らかい食材にだし汁を加え、ミキサーしたものをゼリーにするといった対策もあります。

また、繊維が長い野菜や野菜の種等もミキサーにかかりにくく、口にした時にもざらつきや引っかかりが起こりやすいため不向きです。

茄子や胡瓜等皮が硬い食材は皮を取り除き、トマトは湯むきにして皮と種を取り除く事で滑らかに仕上げやすくなります。

たけのこや山菜類等は加熱調理しても硬さが残るため、ゼリー食には適していません。根菜であれば大根や人参、葉物野菜であればほうれん草の葉先等柔らかく調理した上でミキサーにかけられる食材で代用するのがおすすめです。

ゼリー食に適さない食材

食材の特徴 食材 対策
弾力があり、ミキサーでペースト状にならないもの いか、たこ、こんにゃく、きのこ等 はんぺんや海老等の別の食材を使う きのこは生クリームや牛乳と混ぜてポタージュ状にしてゼリーにする
ミキサーにかかりにくい繊維が長いもの、野菜の種 茄子や胡瓜、トマトの皮、トマトの種、たけのこ、山菜類 皮や種は取り除く、加熱しても硬い野菜類は避ける

高齢者の食事はゼリー食のメリット・デメリットを理解すればもっと楽しく安全に!

ゼリー食とは、調理済の料理や食材、水分等をミキサーにかけてゼラチンで固め、口当たりや喉越しを良くした食事です。

このゼリー食には、飲み込みに不安がある場合も食べやすい、飲み込みの状態を判断する材料になる、見た目が美しいといったメリットがあります。

しかし、形態が安定しにくい、栄養量が不足しやすい、食材に向き不向きがあるといったデメリットもあります。

その対策として、規定のゼラチン濃度を基準にその人にとって食べやすい硬さになる様に試作をする、高カロリー、高タンパクの栄養補助食品を調理の段階で加えたりデザートとして提供する、ゼリー食に適さない食材を把握して食材や下処理の方法を変えて調理するといった対策が必要です。

この様に、高齢者の食事におけるゼリー食のメリット・デメリットを理解する事で楽しく安全な食事の提供に繋がります。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士