高齢者の食生活、健康的な毎日を送るための課題と対策とは!?管理栄養士が解説!

長寿大国である日本では、家族から自宅で介護を受ける人、高齢者のみの世帯で生活する人、高齢者施設で暮らす人等、高齢者を取り巻く生活環境は様々です。

また、最近では高齢者が食生活に関する環境がその人の食事内容や栄養状態にも反映される事がわかってきています。

しかし、高齢者の食生活に潜む課題や対策の詳細は多く語られていません。

そこで今回本記事では高齢者の食生活における課題とそれによって起こり得る事、課題への対策についてお伝えします。

遠方に高齢の家族が一人暮らしをしているという方や、自宅で高齢のご家族を介護しているという方は是非参考にご覧下さい。

高齢者の食生活における3つの課題

高齢者の食生活における3つの課題

近年、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯が増加している事によって、食事をする際の環境や食材の調達をする場面で課題が生まれています。

また、子世代と同居し、自宅で介護を受ける場合でも加齢による身体機能の低下や持病等によって食生活に課題が生まれるシーンは数多くあり、中でも食事内容や食事回数にも影響すると言われている食事をする際の環境や、交通手段を失いやすい高齢者が買い物をするに当たっての利便性は高齢者自身の健康状況にも大きな影響をもたらします。

また、高齢者の健康を維持していくためには、介護者の負担を軽減し、持続可能な介護環境を作る事も重要な課題となります。本章では高齢者の食生活における課題を3つに分け、お伝えします。

一人で食事を摂る「孤食」の状況によって低栄養に陥りやすい

農林水産省の調査によると、近年高齢者の一人暮らし世帯の増加により、食事を一人で食べざるを得ない「孤食」の状況が増加しています。

また、この孤食の状況にある人は、家族等と食卓を囲んでいる人と比較して、食事を欠食したり、主食・主菜・副菜が揃わない等食事内容のバランスが崩れやすい傾向にある事も分かっています。

この記事を読んでいるあなたも、自分自身の事に置き換えて考えてみると、1人で食事をする際は、「簡単に済ませてしまおう」と思う事は多いのではないでしょうか。

食事の欠食は摂取カロリーの不足に直結し、食事内容のバランスが崩れる事で摂取栄養量の不足に繋がるため、結果的に高齢者の痩せや低栄養状態を引き起こしやすくなります。

低栄養状態となると、寿命が短縮するという研究結果もあるため、高齢者の健康を維持するためには孤食の防止を含めた食生活の環境整備が求められます。

(参考:農林水産省平成29年度食育白書 3 一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の状況

高齢者の一人暮らしは買い物が困難になりやすい

高齢者の一人暮らしで大きな課題となるのが食材や調理済み食品等の調達です。

一般的にもよく知られている事ではありますが、高齢になると足腰が弱くなり、徒歩や公共交通機関での移動が難しくなるため、近くにスーパー等が無い場合には食材を調達する事が難しくなるのです。

最近では子供や親戚が遠方におり、頻繁に食材を届けてもらう事が難しいといった場合も少なくありません。

食材の調達が困難になりやすいのは地方の過疎地だけではなく、都市部でも商業施設の進出による商店の閉店や、公共交通機関が廃止されてしまい移動手段を失う等状況は深刻となっています。

買い物が困難となる事は、比較的手に入りやすい菓子パンや長期保存が可能なカップ麺、または米飯と漬物等といった偏った食事内容となりやすく、先にもお伝えした摂取栄養量の不足による低栄養状態に繋がります。

そのため、買い物が困難である場合は、長期保存ができる食品の中でも栄養のバランスに配慮して買い物をしたり、一人暮らしの高齢者を支える便利なサービスを利用するといった対策が必要です。

噛む力や飲み込む力の低下や、持病によって食事内容に配慮が必要な場合も多い

ここまでは主に一人暮らしの高齢者が抱えやすい食生活の課題についてお伝えしてきましたが、自宅で家族から介護を受けている場合でも食生活の課題は存在します。

それは、加齢に伴う咀嚼・嚥下機能の低下や持病によって食事内容に配慮が必要となる場合が多いという事です。

噛む力や飲み込む力が弱くなった高齢者にも食べやすい食形態に調理するためには、軟らかく煮込んだり、ミキサーにかけるといった工程が必要となり、持病によって食事内容に配慮が必要な場合には、カロリーや塩分、タンパク質等を調整するために食材や調味料の軽量や栄養価計算をする必要性もあります。

この様に食形態や食事内容に配慮が必要な場合に、自宅での食事の用意を負担に感じるといった介護者の悩みはよく耳にします。

自宅介護を受ける高齢者の健康を支えるためには、介護者や食事の用意をする人が食事の提供が続けられる事が必要不可欠です。

そのため、便利な食材やサービスの利用によって介護者の負担を軽減し、自宅介護の環境を整える事も大切です。

高齢者の食生活における課題、その対策は!?

高齢者の食生活における課題、その対策は!?

前章では、高齢者の食生活における課題についてお伝えしました。

高齢者が食生活に関する環境に左右されず、健康的な生活を送るためには課題への対策が必要です。

そして最近では一人暮らしの高齢者や自宅介護を支える様々な便利なサービスもあります。

本章では、便利なサービスの利用も視野に入れた課題への対策をお伝えします。

孤食の予防には、地域の配食見守りサービスや食事会等を利用する

高齢者の孤食や閉じこもりを予防する地域の取り組みとして、主に社会福祉協議会やボランティア団体が主催する配食見守りサービスや食事会があります。

この様な地域で主催するサービスは高齢者が居住する各自治体の※地域包括支援センターに相談の上、介護認定に応じた利用申請が必要となりますが、1食当たり500円前後の負担金で訪問時に高齢者の様子を確認してもらえる配食サービスや地域の高齢者が共に食事を楽しむ食事会に参加する事ができます。

特に、高齢者が集まり食事を囲む食事会は、食事を摂る場が設けられるという側面だけではなく、会話が生まれる事で高齢者本人の気持ちを前向きにし、活気を与えてくれる機会にもなります。

地域で主催されるサービスを利用する際に包括支援センターに相談する事により地域ぐるみで一人暮らしの高齢者を認知し、必要なサービスの提案を受けたり、手続きのサポートをしてもらう事も可能であるというメリットもあります。

※地域包括支援センター:市町村が設置する、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等の専門職を配置し、高齢者や児童等幅広い年代の住民に対する福祉や生活の安定に関する相談業務を行う。
医療サービスや介護サービス、ボランティアや民生委員の介入等、その人に必要な支援を多面的に展開する。(参考:厚生労働省 地域包括支援センターの業務

買い物が困難な場合には、食材の宅配サービスを利用する

スーパー等が遠方にあり、移動手段がないといった場合、一人暮らしの高齢者を支えるサービスの一つに食材の宅配サービスがあります。

食材の宅配サービスは食材のみを取り扱うもの、献立を考える手間がなく、下処理済みの食材を調理するだけでおかずが完成する「ミールキット」の取り扱いもあるもの、1食分の弁当も購入できるもの等食材の宅配サービスといっても業者ごとに内容は様々です。

配達員が注文を受けた食材を持って自宅に訪問するため、見守りも兼ねる事ができます。

一般的には下処理が必要な野菜や、加熱が必要な肉・魚が配達されるため、自身での調理が可能で、食材や火の元の管理等にも心配がない人に向いています。

また、利用の手続きは電話やインターネット等で遠方の家族が行う事も可能ですが、注文の締め切り日に合わせて高齢者本人が食材を選び、注文をする必要があります。

そのため、注文の締め切り日や注文方法の他、配達日の変更、利用を中止したい時の手続き方法等も利用者本人である高齢者と確認しておく事が大切です。

食形態や食事内容に配慮が必要な場合は、高齢者向け宅配弁当が便利!

前章でお伝えした様に、一人暮らしではなく、自宅で介護を受ける高齢者であっても噛む力や飲み込む力の低下、持病による食事制限等によって家族と同じ食事が食べられず、食事の用意をする介護者の負担となるケースも数多くあります。

その様な場合に介護者と高齢者双方の味方となってくれるのが高齢者向け宅配弁当サービスです。

高齢者向け宅配弁当では管理栄養士が高齢者に必要な栄養量に沿って献立を作成、栄養価計算をしている他、食形態も歯茎で潰せるソフト食〜通常の形態まで幅広く取り揃っているため、高齢者本人の咀嚼嚥下機能に応じて選ぶ事ができます。

また、持病に応じてカロリーや塩分、タンパク質が調整されたシリーズもあるため、自宅では困難な食事療法が実現できます。

高齢者向け宅配弁当サービスは1食のおかずが冷凍された状態で配達され、冷凍保存ができるため食材の宅配サービスと比較して保管や調理の面で管理が簡単なので、一人暮らしの高齢者にもおすすめです。

こちらの高齢者向け宅配弁当サービスも配達員が商品を持って自宅を訪問するため、見守りを兼ねる事ができます。

弁当も1週間分、7食から配達してもらえる業者が多いので、高齢者本人ではなく家族が注文する際も注文のタイミングや商品選びに迷う事が少ないでしょう。

食形態について、ソフト食よりも柔らかい、舌で潰せる程度の軟らかさの必要がある場合や、飲み込みに不安があり、とろみがついた形態が望ましい場合にはドラッグストアーやネット通販でも購入できるレトルト介護食と併用するのが安心です。

レトルト介護食であれば、舌で潰せるムース食やピューレ状の形態も揃います。

高齢者の食生活を支えるサービスの利用で、活き活きと暮らそう!

長寿大国である日本では、家族から自宅で介護を受ける人、高齢者のみの世帯で生活する人、高齢者施設で暮らす人等、高齢者を取り巻く生活環境は様々です。

また、高齢者が食生活に関する環境がその人の食事内容や栄養状態にも反映される事がわかってきています。

近年は高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯が増加し、食事を一人で食べる「孤食」や移動手段がない事によって買い物が困難になる等の課題が生じています。

高齢者のみの世帯に限らず、自宅介護においても食形態や持病に応じた食事内容への配慮が介護者の負担となるケースも増えています。

この様な高齢者の食生活に関する課題を解決するために支えとなるのが、地域や民間で提供される食事に関する便利なサービスです。

高齢者の孤食を防止するための地域の取り組みとして、高齢者の居宅に弁当を配達し高齢者本人の様子を確認する配食見守りサービスや複数の高齢者で食事を囲む食事会等があります。

利用の際は介護認定に応じた申請が必要であるため、居住地の地域包括支援センターに相談しましょう。

買い物が困難な高齢者を支えるのが食材の宅配サービスです。業者によって食材だけではなく、予め献立が決められたミールキットや弁当が取り扱われている事もあります。

調理や火の元の管理に問題がない場合は便利に利用できるサービスです。

自宅介護における介護者の負担を軽減し、手軽にその人に合った食形態や疾病に応じたカロリーや塩分、タンパク質等の調整がなされた食事の提供を叶える事も可能な高齢者向け宅配弁当サービスです。

おかずが冷凍で届くので冷凍保存か可能であり品質の管理がしやすい事や、介護者が不在の場合も配達員が弁当を配達する事で高齢者の様子を確認できるというメリットもあります。

この様に、課題も多い高齢者の食生活を支えるサービスは多くあります。高齢者の活き活きとした生活の維持や、持続可能な介護生活のためにも是非利用を検討してみてはいかがでしょうか。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士