高齢者の食事やデザート、夏場を元気に乗り切るメニューや調理法のポイントは!?

夏場は気温が高く、暑さによって食欲が低下する人が多くいます。

特に、高齢になると加齢による身体機能の変化によりその傾向は強くなり、食事量の減少による低栄養に繋がる事も少なくありません。

そのため、私が病院で勤務をしていた時の経験においても、自宅介護をする方より夏場でも高齢者が食べやすい食事の内容等を相談される事が多くありました。

しかし、高齢者が夏場を元気に乗り切るには食べやすい食事によって食事量を維持するだけではなく、栄養のバランスや適切な衛生管理を行う事も重要です。

今回本記事では高齢者が夏場に陥りやすい食事の落とし穴や、その対処法を交えた食事メニューや調理法のポイントについてお伝えします。

夏場に限らず、食欲不振時にも対応できる内容ですので、参考にご覧下さい。

高齢者が夏場に陥りやすい、食事の落とし穴とは!?

高齢者が夏場に陥りやすい、食事の落とし穴とは!?

夏場は気温が高く、一般的にも食欲が減退しやすい季節です。

しかし、身体機能が低下した高齢者にとってはより食事量が減少しやすく、栄養状態の低下や体調不良をきたす事も少なくありません。

本章では高齢者が夏場に陥りやすい、食事の落とし穴についてお伝えします。

暑さにより食欲が減退しやすい

夏場は暑さにより年齢に関わらず食欲が減退しやすい季節です。

しかし高齢になると、活動量の低下や食べ物の消化・吸収機能の低下といった身体機能の低下も起こりやすいため、食欲が減退する傾向はより強くなります。

食欲が減退する事で食事量の減少や後にお伝えする食事内容の偏りに繋がりやすく、低栄養状態の原因にもなり得ます。

水分不足により、体調不良を起こしやすい

加齢による身体機能の変化として、喉の渇きを感じにくくなる事があります。

また、トイレの回数が増える事に対する嫌悪感によって水分摂取を控える人も少なくありません。

しかし夏場は特に発汗量も多く、水分が不足する事で脱水症状による体調不良を引き起こしやすくなります。

脱水症状は生命維持活動の継続を困難にする事もあるため、安易に考えずに予防する事が大切です。

食事からのカロリー、タンパク質不足により低栄養状態になりやすい

夏場に食欲が減退した時には、食事量が減少する他喉ごしの良いそうめん等のメニューに偏ってしまうといった事が起こりやすくなります。

逆に、揚げ物や炒め物等の油を使った調理法や肉類等の動物性タンパク質は食欲減退時には敬遠される傾向が強く、それによって食事をきちんと食べている様に見えても、摂取カロリーやタンパク質量が不足している事は多くあります。

カロリー不足、タンパク質不足はどちらも筋肉量が減少する原因となるため、低栄養状態に繋がる他筋肉が痩せる事で更に活動量が減り、食欲が低下するといった悪循環が起こりやすくなります。

食品が傷みやすい気候であるため、食中毒を起こしやすい

夏場は気温が高く、食品が傷みやすく、食器や調理器具等に付着した細菌も繁殖しやすい季節です。

そのため、食中毒も起こりやすく、下痢や嘔吐、発熱といった症状によって体力を大幅に消耗し、栄養状態の低下に繋がるだけではなく命に関わる事もあります。

また、高齢者本人の認知機能の状態によっては、食事の前後の手洗い等の声がけやサポートが必要な場合も多く、高齢者1人では衛生管理が不十分になる事もあるため、行動の観察や適切な声がけが必要です。

高齢者が夏場を元気に乗り切るための食事メニューや調理法のポイント

高齢者が夏場を元気に乗り切るための食事メニューや調理法のポイント

前章では、高齢者が夏場に陥りやすい食事の落とし穴についてお伝えしました。

しかしその様な問題は、食事のメニューや調理法の工夫によって対処が可能な場合も多くあります。

本章では、その対処法を交えながら高齢者が夏場を乗り切るための食事のポイントをお伝えします。

おやつの回数を増やしたり、食欲が維持、増進する食事の味付けをする

夏場に食欲が減退し、食事量が減少してしまう場合はおやつが活躍します。

もともと、おやつは栄養補助の目的もあるため、アイスクリームやプリンといった、乳製品や卵を使用した栄養価の高いものをおやつにしたり、食事量が減少している場合はおやつの回数を1回から2回に増やす事でカロリーや栄養を補う事ができます。

しかし、持病等により甘いものを制限する必要がある場合は、おやつの内容に配慮せず回数だけを増やしてしまうと、持病の経過に支障をきたす場合もあります。

その場合は、プレーンヨーグルトにノンカロリーの甘味料を加えて食べる等、砂糖を使用しなくとも美味しく栄養補給ができる方法をとるのも良いでしょう。

また、暑い夏場でも食欲を維持するための工夫として、生姜や葱、しそ等の薬味や、カレー粉等のスパイスを調理に取り入れるといった方法があります。

薬味は麺類や冷奴等に、スパイスは肉料理や魚料理、野菜炒め等に取り入れる事で味にメリハリがつき、食欲をそそります。

普段の水分補給の他に、デザートや汁物で水分を補う

前章でお伝えした様に、高齢者は普段から水分摂取量が不足する傾向があります。

1日を通してこまめな飲水を促す声がけも必要ですが、より抵抗感を少なく水分を摂取してもらう工夫として、果物やゼリー、シャーベット、水ようかんといった水分を多く含むものをデザートとして取り入れる、冷や汁や冷製スープ等の汁物を取り入れるといった方法があります。

また、高齢になると飲み込む力の低下により、さらさらとした水分を飲もうとするとむせてしまうといった場合もあります。

その様な場合にも、お茶等の水分をゼリー状にし、デザートの様な形態で提供する事でスムーズに飲み込めるといったメリットもあります。

水分をゼリー状にする方法としてはゼラチンや寒天で固める方法の他、簡単に形態を調節できる介護用調整食品も市販されているため、コストや使い方等を比較し、使いやすいものを取り入れましょう。

持病等により塩分制限がある方は塩分や塩分を含む汁物の摂取量については状況を伝えた上で医師の指示を守る必要がありますが、すいか等の果物には少量の塩を加えてミネラルを補給できる様にするのもおすすめです。

食欲不振によって食事量が減少する事でも食事からの水分摂取量が減少し、水分不足に陥りやすいため、食事のメニューは汁物やデザートを含め、水分を補える内容を心がけましょう。

単品料理にはタンパク質食品を意識的に取り入れ、油脂等でカロリーを補う

夏場の定番メニューであるそうめんは、食欲が落ちた時にも食べやすいメニューでもあります。

しかし、そうめんに限らず、そばやうどん、お茶漬け等の一見喉越しが良く食べやすそうな単品料理は、タンパク源や油脂類が使用されていない場合も多く、タンパク質やカロリーが不足する傾向があります。

例えばそうめん等の麺類には、蒸し鶏と野菜をごま油で和えたナムルを添える等するとタンパク質と油脂が補われ、栄養のバランスが整いカロリーもアップします。

噛む力や飲み込む力が低下している場合等、麺類が食べにくいといった場合には麺を短く切る他、ご飯の単品料理を夏場でもおいしく、尚且つ食べやすい方法を知っておくと献立のレパートリーが広がり便利です。

栄養価にも配慮しながらご飯を喉ごし良く食べる工夫として、ご飯を玉ねぎやきのこ、ツナ等と共にオリーブオイルで炒め、ホールトマトで煮込んでリゾットにする方法もおすすめです。

夏場はリゾットを冷たい状態で食べるのも美味しいですよ。ホールトマトを牛乳や豆乳に置き換えると、よりタンパク質やカルシウムが豊富なメニューとなります。

食事を調理する際や保存する際には適切な衛生管理を行う

食品が傷みやすく、細菌も繁殖しやすい夏場に食中毒を防ぐには、まずは調理や食事の前後の手洗いをしっかり行う事が基本となります。

高齢のご家族にも声がけをして励行しましょう。

その上で、買い物した食品や調理済みの料理は常温で放置せず、速やかに冷蔵庫に保管をする事、調理器具や保存容器もしっかり洗浄し、乾燥したものを使用するといった適切な温度管理、衛生管理を行います。

食中毒防止のためには、細菌を手指等から「つけない」、常温での放置等で「ふやさない」、しっかり加熱調理する事で「死滅させる」事がポイントになります。

一度加熱した食品を冷たい状態で食べたい時は、冷蔵庫や氷水で短時間で冷やし、作り置きの料理を食べる時には再加熱してから食べましょう。

高齢になると食事を残す事に嫌悪感を抱き、食べかけの食事やおやつを「また後で食べる」と保管される方も少なくありません。

その場合は、食品が傷みやす傷みやすい季節である事や、万が一食中毒になってしまった時は症状が重くなってしまう事を伝え、食事を残す事を責めずに片付ける事も必要です。

高齢者の食事は、デザートも強い味方!夏場は水分補給の手段にも!

夏場は気温が高く、暑さによって食欲が低下しやすい季節です。特に、高齢になると加齢による身体機能の変化によりその傾向は強くなり、食事量の減少による低栄養に繋がる事も少なくありません。

高齢者が夏場を元気に乗り切るには食べやすい食事によって食事量を維持するだけではなく、栄養のバランスや適切な衛生管理を行う事も重要です。

夏場、高齢者の食事において気をつけたい事として、食事量の減少、水分不足による体調不良、食事内容の偏りによる栄養状態の低下、食中毒等が挙げられます。

食欲の減退によって食事量が減少している時は、間食の回数を増やす等してカロリーと栄養を補い、薬味やスパイスを使用したメリハリのある味付けの工夫によって食欲を維持できる場合もあります。

水分摂取量を増やすためには、デザートや汁物が重宝します。中でもフルーツやゼリー等をデザートに取り入れ水分を補う事で水分摂取に対する抵抗感を減らす事ができるでしょう。

夏場でも食べやすいそうめん等の単品料理はカロリー不足になる事が多く、タンパク源が欠けている場合も多いため、具材にタンパク質を多く含む肉、魚、大豆製品、卵等を必ず取り入れ、調理の工程で油脂使用する事でカロリーと栄養価を補う事ができます。

食中毒を防ぐためには調理や食事の前後で手洗いをする事をはじめ、調理器具や保存容器は清潔なものを使用する事、食品や料理を常温で放置しない事、調理の際は充分な加熱や短時間の冷却によって細菌を増殖させない事が大切です。

高齢者は活動量の減少や身体機能の低下により夏場に限らず食欲が低下しやすく、食中毒も夏場に限らず発生するため、日頃から対処法を知っておくと安心です。

>oharu(おはる)

oharu(おはる)

自身のスポーツ経験から管理栄養士を志し、大学卒業後総合病院の管理栄養士として8年勤務する中で高齢者の栄養サポートやがん患者に対する緩和ケア等のチーム医療にも参加。現在は幅広い年齢層を対象に予防医療の分野で活動中。

【所有資格】・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養専門管理栄養士・がん病態栄養専門管理栄養士